万能職を目指します。(異論は認めない)   作:神楽 光

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 前回はメチャクチャ文字数多かったですね。たまにこんなこともあるのでご了承願います。


五!初交……流?

 純白の装備に身を包んで、噴水の縁に腰掛けて夜雪は悩んでいた。中々レベルが上げられないのだ。

 現在の夜雪のレベルは20だ。夜雪はβテスターなため、特典としてレベルが上がりやすい。では、何故夜雪がレベルを上げられないのかというとSTRが足りないためレベルを上げられる程強力な敵がいる場所に気軽に行けない為である。

 

「うーん…」

 

 と夜雪が悩んでいると近づいて来る人影がいた。

 

「も、もしかして……夜雪?」

 

「え?」

 

 そこに立っていたのは廃人ゲーマーであり、とある少女を追い詰めることまでできるようになるペインだった。

 

「あれ? ペイン?」

 

「あぁ……やっぱり来ていたのか…」

 

 ペインは右手を頭に当てて嘆く。どうやらβテストの時に何かがあったらしい。

 

「む……それってどういう意味?」

 

 夜雪は唇を尖らせる。

 

「ああ、違う。そうじゃない」

 

 ペインは全力で首を振った。

 

「そっかぁ」

 

 夜雪は何でもないことの用にすぐに興味をうしなった。

 

「それで、どうしたの?」

 

「ん、あー何だ。何かに悩んでいる風だったからな」

 

 ペインは照れ臭そうに後頭部をかく。

 

「あ~! そうなんだ! ありがとう!」

 

 夜雪は花開いたような笑顔を見せた。

 

「あぁ。それで何に悩んでたんだ?」

 

「んーとね。レベルが上がらないなーって」

 

「レベルか…因みに今どれくらい何だ?」

 

「20だよ!」

 

「えっ…」

 

 この時、ペインはレベルを聞いたのを後悔した。なぜなら、自分のレベルよりも高かったからだ。

 ペインは負けず嫌いだ。しかし、夜雪にβテストの時に心を折られたのか青い顔をした。

 

「ん? どうしたの?」

 

「あ……いや。そ、そうなのか。ええっと、そうだな……北に行ってみたら良いんじゃないか?」

 

「……うん。わかった!」

 

 実は既に行ったことがある。白竜を倒すときに使った魔法武器を作るときに爆発テントウを狩りに行ったのだ。余談だが、魔法武器を作ったのはリズだ。このときに交流があったりする。

 

「それじゃあまたね~!」

 

 夜雪は颯爽と立ち上がり、てくてくと町の外へと歩き出した。

 

「はぁぁ……また振り回されるのか。と言うかもうレベル20か……はぁ」

 

 ペインはその場で深いため息を吐いた。

 

 >>>>

 

「明日は休みだし……泊まりで行くかな!」

 

 やって来たのは北の森。ここで狙う獲物のうち一匹は爆発テントウという自爆攻撃をしてくるテントウムシだ。

 そして、もう一種類は様々なゲームでお馴染みの、ゴブリンだ。

 

「おっし、やるぞー!」

 

 森の中を木を伝って移動していく。数分で、ゴブリンの集団を見つけた。三匹いる。

 木の上で弓を取りだし、構える。矢をつがえて弦を引き絞る。弓はユニークシリーズの『白夜の弓』。矢は普通の矢だ。そこら辺のお店で売っている。

 

「……ふっ!」

 

 スパンッ! と音が響いて、ゴブリンの頭部を貫く。それだけでゴブリンはHPを全損させた。残りの2匹は唐突にやられた仲間に驚き、慌てて周囲を警戒し出した。

 夜雪は続けて二射目の準備をして、射る。これまたクリティカルで一撃死した。

 残った一匹は訳もわからず、逃げようとする。が、三射目で倒された。

 

「……おぉ。強い」

 

 ドロップは無かったが、弓の強さを確認できた。

 移動して、狩りを再開する。何度目かゴブリンを一撃で倒すと、スキルを取得した。

 

『スキル【影撃ち】を取得しました』

 

【影撃ち】

 障害物がある場所、暗闇などの相手から自身が見えないときにクリティカル率アップ。エイム補助。

取得条件

 モンスターに悟られずに十回以上攻撃を成功させ、倒すこと。

 

「うーん……微妙。もっともっとスキル取らなきゃ!」

 

 そうして、北の森が次の狩り場となった。

 

 >>>>

 

「よーし! 今日も頑張るぞー! 「うぅ…」……ん?」

 

 夜雪がログインしたと同時に、隣から気弱そうな声が響いた。夜雪が隣を見ると、そこには赤髪の少女がうずくまっていた。

 

「ど、どうしたの……?」

 

 思わず声をかける夜雪。普通の人間だったら関わろうとはしないだろう。だが、これが夜雪なのだ。何かを考えるよりも先に他者を心配してしまう。

 

「ふぇ? ……あ、あ、えと!」

 

 途端、挙動不審に陥る少女。

 

(初心者の人かな?)

 

 これで夜雪が考えたのは初心者という発想。こう考えるのは当然と言える。実際、この少女は初心者だ。しかし、挙動不審になったのはこれが理由ではない。────ただの人見知りだ。

 

「ええええとととっと」

 

 目茶苦茶吃る少女────もといミィ。そう。この人見知りの赤髪少女はいずれ超有名ギルド『炎帝の国』を率いることになる少女だ。

 

「大丈夫。落ち着いて?」

 

「あああ」

 

 夜雪が落ち着くよう言うが、ミィは落ち着けない。

 

「深呼吸。吸って~」

 

「は、はいっ! すぅ~……」

 

「吐いて~」

 

「はぁ~……」

 

「もう一回吸って~」

 

「すぅ~.……」

 

「吐いて~」

 

「はぁ~……。あ、ありがとうございます。落ち着きました」

 

 夜雪の言う通りに深呼吸をすること二回。ミィは落ち着きを取り戻した。

 

「良かった~」

 

 夜雪は胸を撫で下ろす。それを見てミィは申し訳なさそうな顔をした。

 

「……すみません。私、人見知りでして……」

 

「ん~? それで何で謝るの?」

 

「……え?」

 

 ミィは驚く。そう返されたのは初めてだった。誰かに自分が人見知りだと言うと必ず、直せやそれを言い訳にするな、と言われ続けてきた。だが、夜雪は違った。人見知りが悪いことではないと言う風に。

 

「人見知りも立派な個性だよ。人見知りってことはほとんどのこと自分でしちゃうでしょ?」

 

「え、ああ、はい……」

 

 まさに、その答えは的を射ていた。ミィは自分の仕事を誰にも頼らずにできる。それは人見知り故に、独りだったからだ。

 

「ならそれは長所じゃないの?」

 

「え……」

 

「人見知りって言うのは相手をよく観察するんだ。その人が自分に害を及ぼすかどうか、とかね。いろんな性格があるけど、どれもこれも短所にも長所にも言い替えれる」

 

「────」

 

 ミィはその一言で救われた気がした。今まで短所を無くせと言われ続けて、自分もそのように努力した。でも、人見知りだけはなおらなかった。ずっとそこをつつかれた。だけど夜雪はそれは長所だと言った。

 

(あぁ……この人、スゴいなぁ)

 

「まぁ、僕が言えた義理じゃないんだけど」

 

「……ぷ」

 

 夜雪は最後に和ませるように自虐する。それがなんだか面白くて、ミィは笑った。

 

「……あ! す、すみません!」

 

「良いですよ! 全然。笑っていた方が可愛いですよ」

 

「ふぇぇ!?」

 

 さらっとキザなことを言う夜雪。天然ジゴロとはこのことだ。

 

「それで、何か困り事があるんですよね?」

 

「は、はい! 実は────」

 

 こうしてミィと夜雪は会合した。

 

 >>>>

 

 またまた別の日。噴水広場にて、夜雪はとある少女とばったり会った。と言うよりも夜雪側が少女を見つけた。

 

「あ、やべ」

 

 思わずそう口に出してしまう。すぐに方向転換して颯爽とその場を立ち去ろうとする。────が、逃げられなかった。

 

「なぁ~にがヤバいの?」

 

「や、やぁ────フレデリカ……」

 

 ガシッと夜雪の腕を掴んだのは、金髪のサイドテールが可愛らしい少女────フレデリカだった。

 

「うん。久しぶりー。それで? 何で逃げるの?」

 

 ニコリと笑うフレデリカ。目が笑っていない。ギリギリと夜雪の腕を掴む手に、力を加える。

 

「べ、別に逃げたわけじゃないよ? ただ少し用事を思い出しただけで────」

 

「ふ~ん……」

 

 苦しい言い訳を言う夜雪にジトッとした目を向けるフレデリカ。

 実はフレデリカもペインの時と同様、βテストの時に出会っており、一時期パーティーを組んでいた。パーティーというのは、大体5~6人ぐらいで徒党を組、互いのスキルなどで弱点を補って戦闘などをするチームのようなものだ。

 

「ま、いいや。フレンド登録しよー」

 

 どうやらフレデリカは諦めたようで、夜雪にフレンド申請をした。

 

「う、うん」

 

 夜雪はビクビクしながら、承認する。なぜに夜雪がこんなにも怯えているのか? 実は振り回しすぎて怒られたことが一度ある。それ故に苦手意識があるのだ。────一度怒られても直らない天然はどうしたらいいのだろうか? 

 

 こうして、フレンドが増えていく夜雪だった。

 

 

 

 

 ────そして、物語は動き出す。

 

「よし! ここは…」

 

 とある少女がNWOの世界に降り立った。




 次回は遂に原作主人公兼本作ヤンデレヒロイン候補が登場ですね。
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