エジプトのピラミッドを目指して、ウィッチとブリタニア海軍、日本海軍の航空隊は低空を飛んでいた。
「なあミーナ、こんなにも低空で飛ぶ必要があるのか?」
バルクホルンはミーナに疑問を投げかける。
「ええ、私達の接近の発見を出来るだけネウロイ達に悟られてはいけないの。この作戦の内容はあくまで
も奇襲です。」
前方を飛ぶ彩雲は攻撃隊とウィッチ達を無事にピラミッドまで誘導する任務を任されていた。
この日の為に機長と偵察員兼航法士はエジプトの地理に詳しい人の講義を受け、さらには彩雲にブリタニ
ア製の新型高速電算機が搭載され、首都では首都解放作戦の成功の報告をラジオで流していた。これらを
頼りに彩雲はウィッチと攻撃隊の誘導を行っている。
「機長、攻撃隊とウィッチ達は優秀な人達が集まっています。この低空飛行の中でも全く編隊が乱れませ
ん。」
彩雲の電信員は機内無線で機長に話しかけた。
「ああ、こんな砂漠を低空で飛ぶんだ、少しは編隊が乱れると思っていたのだが、要らぬ心配のようだ
な」
彩雲の機長である野中重雄少尉は彩雲での飛行時間は1200時間とベテランパイロットであり、このよ
うな低空飛行など朝飯前である。
「もう間もなく首都上空に到達します。各機、武装の点検をしてください。」
ミーナの言葉にウィッチ達は安全装置を外し、一連射をした。航空隊も機銃の試射を行う。
「点検完了、各機の武装に異常なし。」
航空隊指揮官である岩本徹三はミーナ中佐に合図する。
「了解、」
ミーナが答えたその時、前方を飛ぶ彩雲がバンクを振った。
「ネウロイ接近!距離約2000、数52」
彩雲の機長はそう言って、この空域から離れようと旋回をする。
「航空隊は全機攻撃せよ。」
「ストライクウィッチーズ、全機攻撃許可、目標は敵ネウロイ。」
ウィッチーズ、ゼロ戦隊、シーファイアー隊は自由戦闘に入った。
ゼロ戦は巧みな機動でネウロイの後方に回り込んで1機、また1機と撃墜するが、シーファイアーは機
動力が弱く、ゼロ戦みたいな常識外れの機動を行えないため苦戦している。
「エイラ、そっちに敵が四機行ったは」
サーニャの声に反応してエイラは体を強引に捻って、ダダダダダダと機銃を連射する。3機を落とすが、
1機は軸線をずらして離脱した。
「ありがとな、サーニャ。」
「どういたしまして、エイラ。」
エイラの顔が真っ赤になった。
(ああ、サーニャがあんな事を言ってくれた。これはもうここで死んでも悔いは無い)
「エイラさん、危ない。」
宮藤の声にエイラは我に返る。いつの間にかエイラは5機のネウロイに囲まれている。
(私としたことが、サーニャの事で頭がいっぱいになり魔法で気づいていても頭が理解しなかったか)
エイラは心底悔しがる。が、宮藤がエイラとネウロイの間に入り、シールドで守った。
「宮藤。」
「エイラさん大丈夫ですか?」
「すまん宮藤。」
サーニャがフリーガー・ハマーでエイラと宮藤の周りにいるネウロイを倒した。
「エイラ、宮藤さん。大丈夫?」
サーニャが近くにきて心配そうに尋ねる。
「うん、ありがとうサーニャちゃん。」
サーニャは少し恥ずかしそうになり、頬に赤みが現れる。
「エイラさんも大丈夫ですか?」
「ああ、すまんサーニャ、宮藤。」
何とか全機を撃墜することが出来たが、シーファイアーはほぼ全滅の状態である。ゼロ戦はまだ戦力に余
裕を残している
「高岡さん、犬塚さん、大丈夫ですか?」
二人は既に息切れの状態であった。
「これくらい大丈夫です。」
「私も大丈夫です。」
二人は息絶え絶えで答える。
「無理はしないように。戦闘が困難だと思ったら、すぐに戦闘空域から離脱すること。」
後方で待機していた彩雲は再び攻撃隊とウィッチの誘導の為に前方へ出る。
「各機へ、もう直ぐピラミッドが見える。そうすれば後は君達の仕事である。」
彩雲の機長はそう告げた。