異次元、そして   作:橘花

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訓練 後編

朝の赤城の飛行甲板は忙しかった。訓練をするパイロットの為の零戦が並べているからだ。

 

「整備兵、機体の調子の方はどうだ?」

 

「はい、今日も機体の方は良好です。燃料の方もオクタン価が高いのでエンジンとの相性も抜群です。」

 

「そうか、宜しく頼むぞ。」

 

「お任せください。」

 

今日の飛行訓練の隊長を務める坂井三郎(坂本少佐の元ネタの人)一等飛行兵曹が整備兵に機体の調子を聞くと、出撃待機所に戻っていった。

 

 

 

-加賀- 飛行甲板

 

ミーナ中佐は加賀の壇上の上に上り

 

「皆、今日は海軍航空隊との訓練、すなわち模擬戦の日です。訓練だからといって気を抜かないようにしてくださいね。」

 

ミーナは相変わらずいつもの笑顔で言う。

 

(気を抜いてやったらその笑顔がいわゆるブラック・スマイルに変わるんだろうなー。)

 

シャーリは心の中でそう思うのであった。

 

9時58分

 

赤城の飛行甲板では零戦がエンジンを回して出撃準備を整えていた。甲板の帆柱にゆっくりと旭日旗が上っていく。

 

「出撃用意よし。」

 

そう言って坂井は旭日旗を見る。それが、下り始めた。

 

「坂井機、発艦します。」

 

エンジンを唸らせて零戦が甲板を滑走していく。その脇には整備兵などが帽を振って答えている。坂井機に続いて、次々と零戦が発艦していく。

 

 

 

 

-加賀-  飛行甲板

 

「こちらスペードのエース、発艦します。」

 

自分の事をスペードのエースと言うのは久しぶりだと感じながら発艦していく。それに続きほかのウィッチも発艦していく。

 

 

零戦の搭載機銃とウィッチーズの持っているのは全て訓練用のペイント弾である。ルールは単純で相手にペイント弾を当てれば撃墜である。

 

高度3000で両方とも編隊を組みなおした。零戦隊とウィッチーズ隊は共に11機、3機を基本に1つだけ2機の編隊を組んだ。

 

しばらく飛行をして双方がすれ違った。その瞬間、模擬戦が開始された。ウィッチーズ隊は早くも零戦の後方に回り込んで距離を詰め始めた。零戦は加速して一気に上昇を始める、これにウィッチーズ隊は釣られる。零戦は急激に減速をして左横転をした。日本海軍航空隊の伝家の宝刀、左捻りこみである。

 

「どうだ、これぞ訓練で培った機動だ。」

 

坂井はそう言うと機銃を連射する(もちろんペイント弾である)

 

「全機散開、個々に相手をして。」

 

ウィッチーズ隊は攻撃をかわして、それぞれが自分の目標と決めたものに向かっていく。そしてエイラの後方に付いたパイロットは

 

「なぜ後ろをとったのに回避機動をしないんだ?」

 

そう思いながらも機銃を連射する。だが、エイラはこれを最小限の全く無駄のない機動で回避する。そして、右旋回を始めた。これについていくパイロットは

 

「しまった。」

 

エイラは零戦が右旋回に弱いことを知っていた。そしてそのまま急降下に移行する。パイロットは頭では分かっているがつい釣られてしまう。エイラは急上昇に移るが、速度の付いてしまった零戦はこれに追いていけなくて、あっさりと後ろに入られた。

 

「いいパイロットだが、残念だけどその機体の弱点は分かっているんだよね。」

 

その上、未来予知まで使えるエイラを落とす事などそうそうできるわけがない。エイラは機銃を撃った。それは、まるで零戦に吸い込まれていくかのように命中する。

 

「一機撃墜。サーニャを助けに行くか。」

 

だが、サーニャはあっさりと撃墜していた。

 

「サーニャ凄いじゃないか。」

 

「エイラも撃墜したんでしょう。宮藤さんとリーネさんが苦戦しているみたいだからエイラはリーネさんをお願い。」

 

「あっ、ああ分かった。」

 

エイラはリーネの方に向かって、サーニャは宮藤の方に向かって飛行した。

 

サーニャは宮藤と何とか合流する。それを見たパイロットは

 

「くそ、もう撃墜された奴がいるのか。」

 

そしてサーニャは零戦の弱点を突く機動を行う。宮藤もそれについて行く。

 

「なぜ、彼女等は零戦の弱点を知っている?」

 

それは、以前エイラとサーニャは一度零戦を触っていた。そして、装甲の薄さと巨大な補助翼を見て弱点を知っていたのだ。すなわち、急降下での性能が悪いことや高速時の旋回性能の悪さに気づいているという事だ。

 

「仕方がない。なんとか左旋回戦に持ち込もう。」

 

パイロットはサーニャ等の機動を無視して左旋回を始める。

 

「サーニャちゃんどうする?」

 

「仕方がないわ宮藤さん。」

 

そう言ってサーニャと宮藤は零戦の左旋回にのる。だが、徐々に速度を上げて高速域に入った所で

 

「まずい。」

 

パイロットは気づいたが、もう遅くて後ろに回られ機銃を撃たれた。

 

「これでやっと1機だよ。ありがとうサーニャちゃん。」

 

サーニャは頬を赤く染めて照れる。坂本を除く全員が既に撃墜していた。

 

「あとは美緒だけね。」

 

「多分、助けに行っても『手出し無用』と言われるだろうしな。」

 

それを裏付けるかのように無線がはいる。予想通り

 

「手出し無用。」

 

であった。だが、相手も相手である。坂本少佐の相手しているのは坂井1飛曹であるから苦戦していた。

 

(このパイロットはなんて技量なのだ。後ろに付くことができん。)

 

坂井も

 

(彼女は全く隙がないな、 中国軍機と比べ物にならない。)

 

っと、双方が思っていた。坂井機は一気に勝負を賭けようと一直線に坂本に向かっていく

 

「面白い、受けてたとう。」

 

双方が間合いを詰める。そして、射程に入った所へ機銃を撃ち合うが、機銃を回避するために左滑りを行っていたため被弾をしなかった。そこで両者は左旋回を始める。だが、坂本の方は航空機と違い急旋回が出来るので後ろへ付くことができた。

 

「これで訓練終了だ。」

 

坂本は機銃を連射して零戦に命中させた。この機動力の差はストライカーユニットと戦闘機との違いであり、実際に同じものを使ったどうなるか分からなかった。

 

 

 

-加賀- 飛行甲板

 

模擬戦を終えて、ウィッチーズが次々と着艦していく。

 

「まさか美緒をあそこまで苦戦させるなんて。」

 

「ああ、ストライカーユニットじゃなければ多分、負けていただろうな。後で名前を聞いておきたい。」

 

坂本は赤城の着艦していく零戦隊の方を向きながら言った。

 

 

 

-赤城- 飛行甲板

 

「坂井1飛曹、今日は残念でしたね。」

 

坂井の傍に整備兵がやって来て言った。だが、坂井はやけに清々しい顔をしていた。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、初めて強敵に会えた気がしてな。」

 

「あの士官服を着たウィッチのことですか?」

 

「ああ、後で名前を聞きたいものだな。」

 

その後、赤城から艦上攻撃機と艦上爆撃機が発艦して爆雷撃訓練をして、ドーバーのウィッチーズ基地に帰港した。

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