朝、連合艦隊は出撃の準備に急いでいた。
「長官、予定通り出撃はできますが、参加する艦艇は何にしますか?」
「何を言っている?今日は全艦出撃だ。」
「しかし、それではここの守りは?」
「その必要はない。どの道これは最終決戦だ、全ての戦力で敵を叩く。」
「分かりました。各艦隊の司令官にそう伝えます。」
出撃の準備が整い山本は乗艦の赤城に向かう。本来は大和へ乗艦すべきだが、山本は赤城へ乗って指揮を執ると言ったので参謀等は許可をした。尤も山本に逆らう参謀はいないのだが。
「501空の彼女等はまだかね?」
「もうじき来るかと。・・・・あっ、見えました。」
「乗艦次第出撃する。」
ウィッチーズは自分のストライカーを履いて飛んできた。そして、赤城へ着艦する。
「501統合戦闘航空団、ただ今着任しました。」
ミーナは甲板で出迎えてくれた山本へ敬礼する。山本も答礼で返して、
「では出撃します。」
黒煙を吐き、連合艦隊水上艦は隊形を整えて出撃していく。
「全艦へ、第二戦速にて前進、前方の大艦隊へ合流する。」
前方には上陸部隊を乗せた輸送船団と上陸を支援する各国海軍の艦艇がまっすぐと向かっていく。それはまさしく1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦の様な大艦隊であった。しかも、上陸する場所がその時の一つ、オマハ・ビーチである。
「上陸地点が見えてきました。地上ネウロイが多数視認、飛行ネウロイは現時点では視認できず。」
副官が状況を報告したその時、前方を進んでいた重巡那智が地上ネウロイの砲弾を喰らい爆発、炎上した。
「重巡那智が大破、機関停止、総員退艦命令を出しました。」
「全艦へ、砲撃を開始しろ。島風は那智の乗組員の救助。」
「了解。主砲、仰角40°撃ー」
砲撃指揮官の号令で主砲が火を噴く。地上のネウロイも負けじと撃ち返してくる。
「航空隊は出撃。地上ネウロイを爆撃せよ。」
号令で航空隊は出撃していく、各国海軍も航空隊を上げて援護をさせる。
「主砲は命中。敵を数体なぎ倒したとのこと。」
「よし、直ちに次弾撃ち方用意。」
そんな時、再び爆発が起きた。
「ブリタニア海軍のキングジョージが被弾。現在、傾斜中。」
「そんな、戦艦がそんなにも簡単に沈むものなのか。」
山本は航空派だが、戦艦の頑丈さは分かっている。それを簡単に沈没させられてしまったのだから驚きを隠せない。
「さらに、カールスラント海軍のビスマルクに被弾。こちらは戦闘に支障なし。」
そんな中、航空隊はネウロイの上空に到達していた。
「左5度。少し往きすぎ、右に2度修正。」
パイロットは微妙な数字を狂い無しに修正していく。
「ヨウソロー、ヨウソロー。よーい。撃ー」
機体下部から切り離された爆弾がネウロイに向かって落ちていく。そして、ネウロイの丁度真ん中に直撃して、ネウロイは崩れ去る。
「やったー。あははは。」
爆撃手は命中したあまり嬉しくなったが、次の瞬間には機体が大きく揺れる。
「左翼に被弾。これ以上は飛べません。」
パイロットからの報告を聞き、爆撃手は外を見た。そこには一際対空機銃を撃つネウロイを見る。
「通信手、母艦に打電しろ。『我攻撃に成功するも、被弾す。我これより敵に体当たり。名誉の戦死を遂げる。』」
通信手と操縦手は覚悟を決めたのか、何も言わずに打電をした。そして、爆撃手の指差したネウロイに向かって機体を旋回させる。
「短い間だったが、どうもありがとう。」
爆撃手の最後の言葉を区切りに、機体はネウロイに体当たり。これを沈黙させた。この様子を見ていた他の機体の搭乗員は燃えさかる機体に向かって敬礼をした。
「俺も必ず逝くからな。お前等だけを逝かせやしない。」
その後も被弾、帰還が不可能な機体は次々と体当たりを行う。
「長官、未帰還機は48機です。」
「随分と落とされたな。この半分は敵に体当たりを?」
「はい。皆若くて勇敢なパイロット達でした。」
「そうか、彼等の死を無駄にしてはいけない。なんとしても上陸作戦を成功させるのだ。でなければ死んで逝った者達へ申し訳ない。」
各艦隊の司令官もこの報告を聞き、涙を呑んで突撃命令を下した。だが、ネウロイの方もそう簡単に上陸を許してくれず、複数の艦艇に被害が及ぼされていた。そんな時連合艦隊の戦艦武蔵に直撃弾が喰らうのであった。