武蔵の後部甲板をネウロイの砲弾が直撃した。
「被害状況をしらせよ。」
「はっ、後部甲板に命中。格納庫の水偵全機破壊、後部機銃を使用不能。推進器も2基が停止しました。」
「浸水の方は?」
「今のところはありませんが、推進器が2基壊れたので速力は半分以下に低下しました。」
その時、武蔵の右舷甲板にまたしても砲弾が直撃した。
「今の損害は?」
「右舷に命中。右舷副砲、第2高角砲が使用不能。機銃も一部が破壊され、浸水も発生。復旧は絶望的です。」
「注排水システムは作動しないのか?」
「ポンプ室がやられていて作動させられません。」
「分かった。総員に左舷から退艦するように伝えろ。それから赤城へと打電。『我、敵からの直撃弾を受け、浸水が発生。復旧見込めず、総員退艦の命令を発令した。』と。」
そう言って武蔵の艦長である有馬(ありま) 馨(かおる)大佐は艦橋を出て行った。通信兵も打電の為に出て行く。残された艦橋指揮官も順次、退艦の為艦橋を後にする。
「長官。武蔵が直撃弾の影響で総員退艦を指示されました。」
「分かった。それよりも宇垣君、そろそろブリタニアから貰った砲弾が役に立つときがきたのではないかね?」
「時限信管式の事ですか? あれは一応対空兵器ですよ。」
「だが、地上攻撃にも使える。考えてみたまえ、あれが空から降ってくる光景を。」
「確かに仰るとおりです。」
「通信兵。大和に打電せよ『時限信管式砲弾の使用を要請すr』と」
「了解しました。」
「艦長、赤城から打電が着ました。例の砲弾の使用を要請しています。」
「分かった。 砲雷長、時限信管式砲弾の準備をさせろ。」
砲雷長は急いで伝声管のところ行き
「砲塔、弾種変更。時限信管式に変えろ。」
「砲撃指揮所、敵との距離を伝えろ。」
「はっ、距離約1600m。信管は約2秒にセット」
「聞いたか? 一発で打ちかましてやれ。」
「準備良し。撃ーー。」
その瞬間、凄まじい砲音と共にネウロイに向かって砲弾が飛翔する。そして、丁度ネウロイの真上に来たところで爆発、火柱が上った。
「命中。敵を撃滅しました。」
「上陸部隊に上陸させるように伝えろ。」
知らせを聞いた上陸部隊指揮官は輸送船団とそれを護衛する護衛艦隊を率いて前進する。
「ウィッチーズも発艦させろ。恐らく航空ネウロイがそろそろ来る頃だろう。」
山本の命令を受けて、航空参謀は急いで格納庫へ向かった。
「501空は出撃準備をお願いします。」
「分かったわ。 全機飛行甲板へ」
ミーナの指示で全員がエレベーターへ向かった。全員乗ったのを確認して、整備兵はエレベーターを上げた。
「全機発艦準備完了。順次発艦を。」
ミーナの指示でウィッチ等は次々と発艦していく。最後のミーナが発艦し終えたところへ、岩本や坂井が艦橋に入ってきた。
「我々も行かせてください。彼女等だけ戦果を上げられては男として面目が立ちません。」
「いいだろう。どうせ来ると思っていたし、止めても行くんだろう。」
「ありがとうございます、山本長官。」
そう言って二人は格納庫へと走っていき、部下らにこのことを伝えて発艦を急がした。
準備が出来て飛行甲板に零戦が並ぶ、赤城だけでなく他の空母からも出撃要請を受けて零戦が並んでいた。
「岩本さんも行かれるんですね。」
整備兵は岩本の元に来て尋ねた
「ああ、彼女等ばかりに戦果を上げられては男としての面目が立たないからな。」
「本当の所は違う理由なんでしょう?」
「お前には敵わんな。確かに違う理由がある。どうやら、俺はこの世界を守りたいらしいな。」
「貴方らしいですね。でも、生きて帰ってきてくださいよ。」
「もちろんだよ。」
それを聞き、整備兵は敬礼をして岩本の乗機から離れた。
「よーし、発艦始めー。」
整備兵の帽が振られる中、岩本機は母艦を離れて上昇していく。その後も次々と発艦していき、最後の坂井機まで帽振りは続いた。