異次元、そして   作:橘花

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帰還、そして

連合艦隊は501基地の港に生き残った全ての艦艇が停泊していた。

 

「私は総司令部にて今後の処遇について話し合ってくるので暫く休んでいてくれ。」

 

大和の会議室にて山本は皆にそう伝えて下艦した。

 

基地の入り口に車の用意を終えていた副官の崎水特務少尉は山本が来るのをみてエンジンを掛ける。

 

「長官はこれからどうなると思いますか?」

 

「恐らく一度扶桑に艦隊を率いて入港することになるだろう。」

 

「こちらの世界の人間は歓迎してくれると思いますか?」

 

「ガリアが解放されたニュースは届いているはずだ。艦隊が入港すればいやでも歓迎をされるよ。」

 

ロンドンの街並みがいつもよりも綺麗に見える。

 

「これからガリアも復興に力を入れていきますね。」

 

「ああ、早く復興してほしいものだ。戦争で傷ついた街も復興すれば何とかなる。だが、失われた命は返ってこない。人は死んでほしくないよ。」

 

一歩間違えれば軍人らしくないと思われるが崎水は山本の気持ちを理解して何も言わなかった。

 

総司令部の入り口に着き、山本は車から降りる

 

「崎水君はここで待っていてくれ。」

 

そう言って山本は憲兵に敬礼して中に入っていった。

 

 

 

チャーチルの副官のマロニーが逮捕されたため、新たな副官に第一海軍卿のアルフレッド・ダドリー・ピックマン・ロジャーズ・パウンドが任命されていた。

 

「まず、我々は貴方に謝らなければなりません。マロニーの最初の実験がどうやらあなた方をこの世界に来させてしまったようです。」

 

「いえいえ、起こってしまった事は仕方がありません。」

 

「山本さん、あなた方の支援のおかげでガリアが解放されました。よって、あなた方は任務から解放されて一度扶桑に艦隊を移動させてください。」

 

「では、我々は一応扶桑に歓迎されるということですか?」

 

 

「ええ、正午にそちらに向かう第一遣欧艦隊と共に扶桑へと向かってもらいます。」

 

「了解しました。では、私はこれで。」

 

山本は振り返って部屋から退出した。外で待っている崎水の車に乗って基地まで帰り。

 

「我が艦隊は正午に第一遣欧艦隊と共に扶桑へと出港する。」

 

全艦艇にこの事を伝えて自室に篭った。

 

 

正午になり、第一遣欧艦隊が見えた為、艦隊が一斉に出港した。

 

「全艦。遣欧艦隊に続け。」

 

第一遣欧艦隊の赤城には宮藤と坂本も扶桑へと帰還のため乗艦していた。

 

荒波を越えてインド洋に入った。すると、いやな知らせが艦橋に入った。

 

「南西より台風接近。」

 

「!。」

 

「もしや。」

 

全艦艇の乗組員はあの時と同じだと思った。

 

「台風は本艦隊に向けて接近中。」

 

「全艦へ、両舷停止命令を。」

 

山本の指示を通信士官は発光信号で伝えた。

 

 

 

「坂本さん、台風が近づいているって。」

 

「心配するな宮藤。赤城が台風なんかで沈んだりしない。」

 

「でも心配です。」

 

宮藤は台風が来ることに不安を抱いている。だが、坂本の言うとおり台風なんかで赤城が沈むことなど考えられない。

 

そして、台風は艦隊を飲み込んだ。その時、坂本は連合艦隊が揺れているのに気が付く。台風による影響ではなく船が曲がって見える。

 

「何だあれは?」

 

「坂本さん。船が歪んでいます。」

 

遣欧艦隊は不審に思い、連合艦隊に無線通信を試みるが

 

「ダメです。全周波数で試しましたが無線が通じません。」

 

「どういう事だ?。もう一度試せ。」

 

通信士官は何度も試すが通じなかった。そうしている間に連合艦隊は消滅した。

 

「艦隊が消えたぞ。」

 

「一体何が起こったんだ。」

 

だが、何処にも連合艦隊は見当たらず、台風も消えていた。遣欧艦隊は連合艦隊の消失を全世界に伝えて扶桑へと帰還した。

 

「しかし、連合艦隊はどこへ?そして、何故突然台風が消えたのだ?」

 

赤城の艦長である杉田は連合艦隊の消えた地点を見ながらそう独り言を言った。

 

その頃、連合艦隊は異次元の中を進んでいた。だが、乗組員は全員意識を失っていて無人航行状態だった。異次元を抜けて、少しずつ目を覚まし始めた。

 

「こっ、ここは?」

 

艦橋の窓の外を見ると、見慣れた呉の景色が広がっていた。

 

「戻ってきたのか?」

 

「ええ、恐らく我々は戻ってきたのでしょう。」

 

将兵等は桟橋に歩いていくと、憲兵や守備隊、軍令部総長の永野修身などの軍令部所属将兵などが向かってきた。

 

「貴様等は一体何処に行っていた?」

 

永野は怒りぎみに言ってきたが、山本は

 

「日米開戦は取りやめだ。艦隊の損失が多すぎる。」

 

「なっ、それはどういう事だ?」

 

「我々は開戦しないということだ。開戦したければ、陸軍で勝手にやってくれ。」

 

半分投げ出しぎみに言った。これに陸軍は猛反発したが、海軍なしでは輸送の護衛ができないため渋々承諾した。一部は政府に反旗を起こそうとしたが、天皇が開戦取りやめの命令をした為失敗する。

 

そして米国に日独伊三国軍事同盟破棄を発表。中国から撤兵を行って講和をし、中国からの石油輸入を本格化した。大英帝国も軍事同盟破棄を確認して日本を支持、石油の輸出を許可した。ソビエト連邦は突然スターリンが失脚し、後任のアドレラ・ヴァンスキーが国家元帥となり、日本への友好条約を結んだ。アメリカに英中ソからの再三に渡る説得を行い、アメリカ国民も日本支持者が増えて親日世論へと傾いていったが、ルーズベルトは断り続ける。それを見た両議院は大統領への失脚文書を提出し、ルーズベルトは失脚。後任の副大統領であったトルーマン大統領は日本の天皇へ直接交渉を行うと要求。これに日本陸軍は反発するが、天皇自らが承認。両国のトップ同士の話し合いで(勿論、双方ともに外務大臣はついてきているが)交渉は成立。続き、アジアの植民地政策は終わりを告げ始めた。ヨーロッパでは戦争が終結。だが、大量の資金を使ってしまった列強は植民地維持すら経済破綻を受けてしまう逆転現象が発生。列強は植民地を手放していった。その為近衛文麿が唱えた大東亜共栄圏は開戦無しで実現することができた。

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