異次元、そして   作:橘花

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バルクホルンの過去

バルクホルンは夢の中でカールスラント防空戦の夢を見ていた。そのときに燃えさかるネウロイが落ちていく下に妹のクリスが泣いていた。

 

「クリス、そこから早く離れて。」

 

だが、時既に遅く、ネウロイの墜落に巻き込まれて、意識を失っていた。

 

 

 

「クリスーー」

 

バルクホルンはそう言って目覚めた。

 

「今更なぜ、あんな夢を?」

 

そして、軍服を着て、食堂に向かった。

 

 

 

食堂では、リーネと宮藤が朝食を配っていた。連合艦隊の下士官数人もリーネと宮藤の朝食を配られていた。

 

「いつもありがとうございます。皆を守る為にもしっかり食べてください。」

 

そう言って宮藤は頭を下げる。

 

「皆を守るか、」

 

バルクホルンの呟きが聞こえたらしく、宮藤は

 

「え、どうしたんですかバルクホルンさん?」

 

「いや、何でもない。独り言だ忘れてくれ。」

 

食事をさっさと摂って食堂を離れていくバルクホルンを見てミーナは、

 

(あの子、またクリスちゃんの事を思い出して)

 

そして、ミーナは改まった顔で

 

「そうそう、宮藤さん、リーネさん。今日扶桑から補給が来るから滑走路の方に出ていてね。」

 

「はい、わかりました。」

 

 

 

その昼、遠くに巨大な6発機が現れた。

 

「おっきいなー、扶桑があんな巨人機を作り上げるなんて」

 

連合艦隊の参謀も唖然として見ていた。特に、航空機が次期新戦力と考えていた山本に

 

「こちらの世界で日本は世界有数の航空大国となっているようです。」

と、副官が言ってきた。

 

「私が渡米した時にも、アメリカにこんな巨人機なんて無かったぞ。」

 

山本は海軍武官時代に渡米をしてアメリカの工業力の高さを見ていたが、こんな巨人機は見たことが無かった。

 

その巨人機は滑走路に着陸して車輪固定器に車輪を止めて停止した。巨人機のため、着陸距離が長いから車輪固定器を滑走路に付けている。

 

その操縦席から一人の男性パイロットが降りて敬礼をした

 

「自分は扶桑皇国陸軍補給物資輸送隊の佐藤武彦飛行兵長です。」

 

そう言って補給物資を下ろし始めた。芳佳とリーネ、それに整備兵や連合艦隊下士官等も手伝う。

 

積み下ろしが終わり、富嶽は短距離ロケットエンジンを取り付けて離陸した。

 

 

 

その晩、バルクホルンは部屋の明かりも点けずに窓の外をみていた。そこにミーナが入ってきて

 

「どうしたのトゥルーデ?」

 

バルクホルンはミーナに気づき

 

「眠れないんだ。」

 

「また、クリスちゃんの夢を?あれは、あなたが悪いんじゃないのよ。」

 

「クリスを守れなかったことは事実だ。それに、祖国も」

 

「国を失ったのはあなただけじゃないのよ」

 

確かに同じカールスラント出身のミーナ、エーリカ、それにガリア出身のペリーヌも皆国を失った。

 

思いつめているトゥルーデを見てミーナは

 

「そうだ、休暇も溜まっているし、お見舞いに休暇でも取って行ってきたら?最近行ってないんでしょ?」

 

「その必要は無い。私は全てを501に奉げた、クリスの知る姉はあの日、あの戦場で死んだ。次の作戦にも必ず出してくれ。」

 

そう言うと、部屋から出て行ってしまった。

 

(全くあの子たら、)

 

 

 

次の日、朝早くから警報が基地内に鳴り響いていた。

 

「敵はガリア方面より接近中、全員直ちに出撃」

 

ミーナはそう言って出撃、皆後に続く。連合艦隊の方も

 

「第一航空戦隊及び、第一戦隊所属艦艇は出港せよ、航空隊も急ぎ発艦せよ」

 

山本の号令で各艦艇は出港していく、航空隊の零戦も発艦していく。

 

零戦隊隊長の下川万兵衛大尉は

 

「我々零戦隊初の実戦である。各員奮闘せよ。」

 

そう言って501の後を追う

 

 

 

「全員、攻撃を許可する。目標ネウロイ」

 

ミーナの声に全員が了解をした。

 

この世界に来て、零戦をはじめとする連合艦隊の艦載機にはカールスラント製の優れた航空無線機を積んでいて、史実では考えられない連携攻撃を行う事ができる。だが、相手はビーム兵器をもつネウロイである。バルクホルンとエーリカはネウロイに向かって急降下する。エーリカは一離脱をするが

 

バルクホルンはそのままネウロイの近くで銃撃をする。

 

「なにしているのトゥルーデ、離れなさい。」

 

ミーナの声にバルクホルンは

 

「大丈夫だ、こんな奴直に落ちる」

 

「危ない!」

 

「えっ」

 

バルクホルンは上を見ると、燃えながら落ちてくる零戦が目に入る。そして、バルクホルンに直撃した。激突の寸前に魔力のバリアを張ったため爆風は受けなかったが、激突の衝撃と破片で気を失い、きりもみ状態で落ちていく

 

「バルクホルンさん」

 

「トゥルーデ」

 

宮藤とエーリカはバルクホルンを追う

 

「おのれ」

 

坂本等はネウロイに激しく攻撃を加える。

 

 

 

なんとか追いついて助けたバルクホルンを芳佳は治癒魔法で傷口を治す。途中、バルクホルンの意識が戻り

 

「何をしている宮藤、早くネウロイを倒せ。私に構わずはやく」

 

「嫌です。」

 

「えっ」

 

「私は傷ついた人を放っておけません。」

 

「いいんだ、私はもう、既に死んでいる。クリスを守れなかったあの戦いで」

 

「まだあなたは死んでいません。あなたは私なんかよりも多くのネウロイを落とせます。」

 

「無理だぁ、私はたった一人の、妹を守れなかった最低の姉だ。 」

 

芳佳はバルクホルンの事情を察して

 

「確かに皆を守るのは無理かもしれない。でもだからって、傷ついている人を見捨てることは出来ません」

 

そして、芳佳は気を失った。後ろでネウロイのビームに耐えていたエーリカも魔法力が尽きて倒れた。

 

バルクホルンはクリスとの思い出、そして、あの戦いがフラッシュバックした。

 

そして、二人の銃を持ち、急上昇をしてネウロイに迫った。銃を連射して、ネウロイのコアを見つけ

 

そこを狙い撃ちをして破壊した。

 

 

 

ミーナはバルクホルン傍にいき、頬を叩いた。

 

「何をやっているのトゥルーデ、私達はもう家族なのよ。皆の為にも、そしてなによりクリスちゃんの為にも絶対死に急いじゃだめ」

 

ミーナは泣き顔で言った。

 

「そうだな、」

 

しばらく間をおき

 

「休暇を貰えないだろうか?久しぶりにクリスのお見舞いに行きたい。」

 

「ええ、いいわよ」

 

そして、バルクホルンは下を向き

 

(ありがとう、宮藤)

 

 

 

その後501は、赤城に着艦をして基地へと帰った。

 

この戦闘は扶桑にも伝えられ、96式艦戦、現在試作中の12試艦戦はネウロイに敵わないと分かり、新型機の開発を各航空会社に命じた。

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