もう、いいでしょう。これで完結で……
カミーユはホンコンシティで出会った薄幸の少女フォウ・ムラサメに惹かれていた。
フォウ自身もまんざらでもない雰囲気だ。
だが、彼女は連邦軍ムラサメ研究所で調整された強化人間。
しかも、アウドムラの行く手を何度と阻んだサイコガンダムのパイロットだった。
過去の記憶を取り戻したいと思うフォウの心を利用され、無理矢理戦わされていたのだ。
実際にはフォウを戦いに駆り立てるため、記憶を取り戻したいという思いすらも作られたものだった。
カミーユはフォウに惹かれながらも、敵として対峙しなければならないその運命に悩む。
そんなカミーユにアムロは声をかけ、話を聞き……こんな事を聞く。
「カミーユ……、彼女に惚れたのか?」
「そんなんじゃないです。ただ……気になるんです」
「恐らく彼女は強化人間だ」
「だからって……、だからってなんなんです!」
カミーユはアムロを鋭い目つきで見上げ、声を荒げる。
「カミーユ、もう彼女には会うな」
「……ニュータイプの勘ですか?だからって、納得できるわけないじゃないですか!」
さらに声を荒げるカミーユ。
「ニュータイプの勘?違うな……予定運命だ!!」
アムロはカミーユの両肩をガシッと掴み、決め顔で声を大にする。
どうやら、カミーユはアムロの何らかの心のスイッチを押してしまったようだ。
「な!?」
「明鏡止水!!ニュータイプモーーーードッ!!」
アムロの体が突如として黄金色に輝きだす。
以前にも説明したが、再度説明しよう。
明鏡止水ニュータイプモードに達したアムロは、一切の邪念を捨て去り、心を落ち着かせる事によって、宇宙と一体化し、ニュータイプ能力を最大限に発揮できるのだ。この状態のアムロは触れた相手の過去と未来まで見え、予定運命まで見通せる…ハズ。
「ま、まぶしい」
カミーユは思わず目を閉じる。
「見える。見えるぞ!カミーユ!このまま運命に身を任せると、フォウ・ムラサメは数か月後に金髪リーゼントに撃たれ死ぬ。そしてお前自身は、全てが星に見え、頭がパッパラパーになって、幼馴染に迷惑をかけるぞ!」(TVアニメ版)
「なっ!?」
「まだだ!もう一つ見える!!カミーユよ!性格を落ち着かせればその運命が覆り、将来幼馴染とハッピーエンドを迎えるだろう。但し!フォウ・ムラサメは数日後、凶弾に倒れ死ぬ」(劇場版)
「なっなな!?」
「そうだこれが予定運命だ。どちらにしてもフォウ・ムラサメは死ぬ。早く関りを絶てば絶つほど、お前の将来は明るい!!」
「そ、そんな……馬鹿な……」
カミーユはアムロの真に迫る口調で語る予定運命を信じ始め、フォウの運命に悲嘆する。
「………だが、そんな運命を覆す方法がここに一つある」
「アムロさん、それは何ですか!!」
もはや、カミーユはアムロの手の平の上である。
東方不敗マスター・アジアが得意としていた人心掌握術を巧みに使うアムロ。
「簡単な事だ。女を物にしたいのならば!その思いを叩きつけろ!!」
アムロはカミーユにこんな事を声を大にして言う。
「フォウとは……そんなんじゃ……ただ、惹かれているのは確かですが、彼女は記憶がないんです。そのせいで戦いを強要されて、俺は……俺は彼女を………」
「このバカ弟子が!!」
アムロは、急に眼をクワッと見開き、まるで東方不敗マスター・アジアが乗り移ったかのような雄たけびを上げる。
いつの間にか、カミーユを弟子扱いだ。
「なっ!?」
そんなアムロに圧倒され、一歩下がるカミーユ。
「相手に記憶が無い?強化人間?敵と味方同士?そんなものはどうでもいい!!!!拳を交わせ!!さすれば合わせた拳から相手の心が見えるだろう!!そして拳で語れ!!自身の思いを拳に乗せ、彼女に知らしめろ!!」
アムロは拳を突きあげ、わななかせながら、熱く語りだす。
女性を口説くのに、口説く相手と拳を合わせ殴り合うなど聞いた事も無い。
何処の修羅の国のことやら。
さらに、童貞のアムロに女を口説いた経験などありようも無いのにこの自信。
どうやら全てはマスター・アジアの受け売りのようだ。
「!?」
だが、そのアムロの熱に圧倒され続けるカミーユ。
「カミーユよ!!伝授してやろう。我が流派東方不敗が誇る口伝を!」
しばらくアムロは口伝とやらを習得させるべくカミーユに特訓をつける。
そして……
カミーユとガンダムMk-Ⅱを宇宙に上げるべく手段が見つからないまま、ホンコンシティを離れたアウドムラ。
それを執拗に追って来るティターンズのアウドムラと同系の大型輸送艦スードリー。
スードリーを指揮するベン・ウッダーは遂に痺れを切らし強硬策を取り、アウドムラに特攻を仕掛けてきたのだ。
スードリーからはフォウが操縦するサイコガンダムとベースジャバーに乗るハイザック6機が発進。
一方、迎撃態勢を取るアウドムラはホンコンシティで戦力を落とし、カミーユのガンダムMk-Ⅱのみとなっていた。
いや、迎撃発進するガンダムMk-Ⅱの肩には、アムロが腕を組み、白いマントたなびかせながら堂々と立っていた。
「カミーユ!!いいな!!フォウとやらが駆るデカブツガンダムと拳で語れ!!邪魔者は俺が片付ける!!」
「アムロさん!ありがとうございます」
どうやらカミーユは本気でフォウと拳で語るつもりの様だ。
「ふふふっ!!ガンダム対ガンダム、これこそ師匠が語るガンダムファイト!……ガンダムファイトッ!!レディーーーーーゴーーーーッ!!」
アムロは何故かテンションが高まり、雄叫びを上げながら、ガンダムMk-Ⅱの肩から、6機のハイザックに向けて大きくジャンプする。
スードリーのモビルスーツ隊はガンダムMk-Ⅱはサイコガンダムに任せ、6機のハイザックは予定通りアウドムラに向かった。
陣形を組み進むハイザック、だが突如先頭の指揮官機の頭の上に人が現れたのだ。
その人物が羽織るマントにはデカデカと流派東方不敗初代頑駄無と書かれ、白い鉢巻きには罵琉漢と……
そうアムロ・レイが腕を組み悠然と立っていたのだ。
アムロは口上と共に黄金に輝きだし、明鏡止水状態に移行する。
「ガンダムファイトの邪魔はさせんっ!……俺のこの手が輝って掴む!敵を倒せと!囁きかける!!流派東方不敗が秘技!!十二王方牌!!大車併っ!!!(じゅうにおうほうはい!!フィンファンネルッ!!!)」
説明しよう。流派東方不敗秘技、十二王方牌大車併とは……。
自らの気を練り、気の分身体を12体出現させ飛ばし、遠近問わず敵を攻撃するとんでもない技だ。
右手の平を前に突き出し、円を描くように動かすと、円に沿って梵字が12浮かび上がる。その梵字からは次々と人影が12体現れ、6機のハイザック目にも止まらぬスピードで襲い掛かったのだ。
その人影は本来アムロの姿か、愛機RX-78ガンダムの姿を象るはずなのだが、そこはニュータイプ。過去に戦った英霊(強敵とかいて友と呼ぶ)たちの姿を象っていた。
要するに、ランバ・ラル、ドズル・ザビ、マ・クベ、ガイア、オルテガ、マッシュ等、とんでもないおっさん達の姿をした人影が、ハイザック達に襲い掛かかったのだ。
ハイザックのパイロット達は恐怖と混乱の坩堝に入り、さらに実際にダメージを受け、次々と海に落ちる。
「帰山笑紅塵!!!」
ハイザックの撃墜を見届けたアムロは、ハイザックが乗っていた一機のベースジャバーに飛び移りながら、そう叫ぶと、過去の英霊の分身体たちはアムロの体に吸い込まれ、元の体内エネルギーである気に戻る。
おっさん共がアムロの体に吸い込まれるその姿は、余りにもシュールが過ぎるだろう。
ガンダム史上、亡くなった美女たちが主人公の力になるために、現れる事があったとしても、むさいおっさん達が現れた事は無い。これは見た目も気分も良くないため、今回限りで許してほしいところだ。
一方カミーユは、フォウが乗るサイコガンダムと対峙していた。
アムロのアドバイス通り、サイコガンダムにガンダムMk-Ⅱで殴り合いを仕掛けたのだが……、サイコガンダムとは倍程の体格差がある上、海上空中での戦闘だ。
サイコガンダムは飛行可能だが、ガンダムMk-Ⅱはベースジャバーに乗った状態での戦闘となり、ガンダムMk-Ⅱは圧倒的な不利に陥り、サイコガンダムの両腕に捕まれる。
だが、カミーユはガンダムMk-Ⅱコクピットを開き、サイコガンダムのコクピットへと……フォウに拳ではなく、自分の言葉で自身の辛い過去と今の想いを直接語り掛けたのだ。
フォウはそんなカミーユの温かい心に触れ、決意する。
カミーユを何としても宇宙に上げなければと……。
フォウはティターンズを裏切り、スードリーにあるシャトルブースターをカミーユに渡すために行動に移ろうと、カミーユを押し出し、サイコガンダムのハッチを閉める。
このままだと、アムロの明鏡止水ニュータイプモードで見た予定運命の原作通りの展開が待っているだろう。
この後フォウは、ベン・ウッダーに撃たれて死ぬか(劇場版)、もしくは撃たれるも辛うじて命拾いするが、さらに再強化されカミーユとの記憶も奪われ、数カ月後に金髪リーゼントに撃たれて死ぬか(TVアニメ版)………。
だが、此処でカミーユは閉まったサイコガンダムのコクピットの前で、自分の素直な気持ちをフォウに伝える。
「フォウ、君が好きだ……」
カミーユのその声でサイコガンダムの動きが止まる。
「カミーユ……うれしい。でもあなたを宇宙に帰さなければいけない。宇宙にはあなたが必要だから……」
そんないい場面で白いマントをたなびかせたアムロが登場!
「カミーユ!!そんなものか!!そんな気合では女一人を助ける事も出来んぞ!!」
いつの間にかサイコガンダムの肩に乗っていた。
「アムロさん?……何を?」
「カミーユよ!!今こそ、流派東方不敗のあの口伝を!!」
そのアムロの声にカミーユは一瞬躊躇するが、サイコガンダムのコクピットに顔を向ける。
「…………フォウ、君が好きだ。……フォウ、お前がほしいーーーーっ!!」
そして、とんでもない事を叫ぶ。
これこそが、アムロが東方不敗マスター・アジアから教えてもらった絶体に失敗しない女の口説き方その1だった。
多分、一番弟子である熱血赤マントもその教えを受け継いだハズ。
フォウは……
「だめよカミーユ……貴方は………宇宙に行かなくては……」
フォウはそう言って、ガンダムMk-Ⅱからサイコガンダムを離そうとする。
だが……
「ちがーーーーう!!そこはガンダムから飛び出して、涙ながらカミーユと抱き着く場面だ!!」
アムロはそんな事を言いながら、サイコガンダムのコクピットハッチを強引に剥がし、フォウを引っ張り出し、ガンダムMk-Ⅱの開いたままのコクピットハッチに立つカミーユに向かて、放り投げたのだ。
「きゃーーっ」
「フォウーーー……つっ!?」
カミーユはフォウを何とか抱き留めるも、よろけ、フォウを抱いたまま、ガンダムMk-Ⅱのコクピットに倒れ込み、ハッチがそのまま閉まる。
アムロはその様子に満足げに頷いていたが、操縦者を失ったサイコガンダムはコントロール不能となり、落下し始めようとしていた。
サイコガンダムに捕まれたままだったガンダムMk-Ⅱはその隙に脱する。
アムロはサイコガンダムのコクピットに乗り込み、再起動を試みる。
すると、サイコガンダムのサイコミュシステムが何故だかアムロの脳波と連動し、起動を開始しだしたのだ。
「これは……いい感じだ。だがこいつは邪魔だ!」
アムロは何故だか、操縦コンソールごとリニアシートを無理矢理引っこ抜いて、コクピットの外に放り出した!
アムロは広くなったコクピットに立ち、流派東方不敗の基本の型の構えをする。
するとサイコガンダムも連動し、構える。
「これが……師匠の言っていたモビルトレースシステムか?」
唯のサイコミュシステムだが、アムロのニュータイプ能力と明鏡止水がミックスして、操縦者の意思をほぼ100%反映させたのだ。
「これならば!……カミーユ!!お前は宇宙へ行け!!俺がお前を宇宙へと送り届けてやる!」
「ア、アムロさん?」
「彼女をしっかり抱き留めておけよ!!ちゃんとシートベルトを締めておけ、口を開けるな、舌を噛むぞ!!いくぞ!!」
アムロが操縦するサイコガンダムはガンダムMk-Ⅱの足を掴みながら、荒ぶる鷹の構えをする。
「な、何をするつもりですか!!」
「流派!!東方不敗が奥義!!」
アムロはそう叫びながら、ガンダムMk-Ⅱをぐるぐると回し始める。
「超級!覇王っ!!電!影ッ弾!!はいーーーーーーっ、破っ!!」
そして、竜巻の様に高速回転するガンダムMk-Ⅱを気合いの掛け声と共に空高く打ちだしたのだ。
竜巻と化したガンダムMk-Ⅱは空の彼方へと消えて行った。
恐らく、宇宙へと上がっただろうが……果たして、中のカミーユとフォウは無事だろうか?
いや、これでフォウが死に至る予定運命は回避できた可能性が高いが、これで良かったのだろうか?
宇宙にはカミーユに惚れている幼馴染のファがいる。
そのうち二人目の美人強化人間のロザミア・バダムとも会うだろう。
カミーユの明日はどっちに向かうのだろうか?
カミーユを宇宙に帰したアムロは……
「このガンダムをグレート(最高)ガンダムと名付けるとしよう」
師匠である東方不敗マスター・アジア並みの残念なネーミングセンスである。
だが、アムロは念願のモビルファイター……いや、モビルスーツを手に入れる事が出来たのだった。
そして、アムロの明日は……。
グレートガンダム(サイコガンダム)を手に入れたアムロ。一体次に何が待ち受けているのか?
第2部は……
師匠の手紙、セイラに告白、地球連邦軍潰滅、ヤザンはモテモテボクサー?、ハマーンにラブラブ天驚拳、シロッコは現実逃避がしたい。等など………
やらないよ。たぶん
もういいよね。これで完結で……
ちょっと怖いけど、質問です。
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東方不敗アムロ・レイは有り
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東方不敗アムロ・レイはそれは無いだろう
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普通にマスター×一年戦争の話作れ
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普通に一年戦争戦記もの作れ
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∀の発掘場に奴ごと赤いボルジャーノン出た