今年も追加戦士になりたくない黒騎士君をよろしくお願いしますm(__)m
2021年最初の更新。
今回も前回に引き続きコスモ視点となります。
キングレグルス。
それは、レオとボクの新たな姿。
これまではただ力という形でしか出すことのできなかったけれど、自分の戦う理由を見つけたことで真の力を発揮するに至った。
「レオ……」
スーツと装甲に包まれた両腕を見て、硬く拳を握りしめる。
ボクは、ボクだ。
ルイン様に命ぜられたことだけをするのではなく、自分のするべきことを定めて戦っていく。
『ガオ!』
「!」
レオの声が響くと同時にボクの頭にこの姿の能力と力の扱い方が流れ込んでくる。
これまでになかったことに少しばかり驚いていると、こちらに突撃してくる存在を察知する。
「おいおい、緑色になっちまったじゃねぇか!!」
「……!」
変身を終えたボクに向かって飛びかかってくるモータルグリーン。
あらゆるものを腐食させる力を戦斧に纏わせた奴を視界に納め、“目”で見極める。
「オラァぁぁ!!」
モータルグリーンの姿が幾重にも重なり、それぞれの道筋としてボクの視界に映し出される。
こちらに斧を投げる姿。
腐食の力を放つ姿。
斧で斬りかかろうとする姿。
示された可能性の未来は一つに収束し———最後に一つの確定した未来へと辿り着く。
「———」
相手の動きを能力で予知し、奴が突っ込んでくる空間に拳を叩きつける。
それと同時に誘い込まれるように移動した奴の顔面にボクの攻撃が直撃し、緑のエネルギーの光を発散する。
「がっ!? テメェ!!」
「未来を見通し、前提を覆す。それがレオの本当の力」
真似しただけの力は必要ない。
ルイン様と同じ力じゃなくて、僕たちだけの力で強くなればそれでいい。
「さっさと腐れ!!」
「もう十分不貞腐れていた!! だから、今度は前を向く!!」
振るわれる戦斧を最小限の挙動で避け、さらに拳を叩きつける。
呻き、後ずさりしながらも攻撃を繰り出そうとするモータルグリーンだが、それでも奴の攻撃そのものを予知しているボクに攻撃が届くことはない。
「い、いい加減にしろや!!」
手に纏わせた腐食の力を身体を逸らして回避する勢いでその場で一回転バックルを叩く。
『
振り向きざまに拳に纏わせたオーラをモータルグリーンの胴体へと叩き込んだ。
拳に凝縮されたエネルギーが、グリーンの体内を駆け巡り———衝撃が突き抜ける。
「なっ……!?」
『
一瞬の静寂の後に、エネルギーを叩きこまれたモータルグリーンは内部から破裂するように砕け散る。
粉々に砕け散り、爆発を引き起こした奴の姿を確認したボクは———背後からの奇襲を行おうとするモータルレッドの攻撃を予測し、振り向きざまに手の中に召喚した“武器”を振るう。
「はぁ!!」
モータルレッドが放った斥力を纏わせた刃を、その力ごと弾き飛ばす。
大きく退いたモータルレッドはボクの手に現れた双刃の大剣を目にし、驚愕を露わにさせた。
「それは……」
「これがボクの新しい武器……!!」
簡単に言い表すのなら、それは大剣と小剣を連結させたような武器だった。
持ち手は両手で持てるほどに長く、刃は緑色の光を放ったそれを、持ち手を変えると同時にぐるりと大きく回す。
そこでバックルのレオがその存在を示すかのように武器の名前を叫ぶ。
『
「……レオセイバーだ!!」
「ライオンと言っているが……?」
『
「いや、だから……」
『
「わ、分かったよぅ!」
ここで謎のネーミングセンスを発揮するレオに頬を引きつらせる。
そ、そういえばレオはカフェのテレビで動物特集を見て、喜んでいた覚えがあるけどまさかそれのせいか!?
「あはは! なにそれ、ライオン剣じゃん!!」
「うっせぇぞヒラルダ!!」
「わぁ、怒られちゃった!」
どう見てもレッドを当て馬にして様子見をしているヒラルダを怒鳴りつけながら、奴に意識を戻す。
様子見ならそれでいい。
レッドよりあいつの方が厄介だからな……。
「しかし、素晴らしいな!! コスモ君!!」
「……ん?」
武器を構えているモータルレッドが喜ぶに身を震わせている。
先ほどまでは気持ちが悪い敵だと思っていたけど……どうやら、その気持ち悪さは奴だけのせいじゃないかもしれないな。
奴の姿を“目”で見て改めてその事実を確認する。
「それだけの力があるなら、黒騎士とだって戦えるはずだ! お互いに黒騎士に辛酸を舐めさせられた身、やっぱり仲間にならないか!?」
「……本当に、お前らの目的はそれだけなのか?」
ボクの問いかけにモータルレッドは怪訝な様子で首を傾げる。
「俺の目的は最初から一貫している。正義を成す、それだけだ」
「聞いているのは
モータルレッドではない、その先にいる存在を見る。
ようやく理解できた。
「お前は何者だ。どうして、そいつの身体を
「お 前 は 危 険 だ
何を言っているんだ君は?」
レッドの訝し気な呟きから一転して、奴は突然斬りかかってくる。
斥力と引力、それらを併用しながら移動、攻撃を行う奴の行動を予測しながらライオンセイバーを振るう。
「仲間になれ! 星界の力を受け入れろ!!」
「操り人形になれって! お断りだね!!」
互いの剣を激突させるたびに轟音が響く。
力場を薙ぎ払いながら大剣の刃が逆になるように逆手に持ち替え、腰から引き抜いたエビルキーをライオンセイバーの柄、獅子の顔を模した部分に差し込む。
『ガブッ!』
『
……この音声後で変えてもらえないかなぁ!? 騒がしい上に、なんか変な音楽も鳴ってるし!?
え? 駄目? くっ、うぅ、レオの感性が分かんないよぉ……!!
泣きそうになりながら、大きく翻したライオンセイバーに光を纏わせる。
『
『
大剣に纏ったエネルギーがいくつもの球状へと変化し、振るうと同時にモータルレッドへと向かっていく。
それらはいくつも分裂し、それぞれが別の動きをしながら連鎖的に炸裂する。
「ッ、くっ!! がっ!?」
「まだまだ!!」
いくつかの攻撃が直撃しモータルレッドにダメージを与える。
さらに畳みかけるように刃から輝きを放つライオンセイバーを回転しながら振るい、エネルギーの刃を叩きつける。
「が、ああッ!?」
爆発と共に全身に損傷を受けたレッドが地面を転がる。
「とどめを……!!」
「嘗めるなぁ!!」
追撃を加えるべく、さらに攻撃を与えようとするがモータルレッドが無理やり大剣を振るい———斬撃を飛ばしてくる。
覚えのある斬撃に攻撃をやめ回避すると、ボクがさっきまでいた場所に深く斬撃が刻み込まれる。
「これは……」
「ジャスティスレッドの剣技だ!! これは防げまい!!」
あのレッドから技術を奪ったのか……?
いや、不可能な話ではない。
次々と繰り出される飛ぶ斬撃と、重力を用いた攻撃を捌きながら“目”を凝らす。
「あいつらを操っている奴がいる……」
モータルレッドとグリーンに絡みつくように伸びているその力の先に、不定形のナニカがいる。
星雲のようにあやふやなそれは、まるで人形を操るように奴らを操っており、その中でもモータルレッドは尋常じゃない濃度にまで侵食されているようにも見えた。
「なんだか分からないけど」
『ガウ!』
「ああ、まずはあいつを倒そう」
飛ぶ斬撃を大剣で消し去る。
容易く斬撃に対応したボクにレッドは驚愕の表情を浮かべる。
「な、なぜ、いくら見えているからといって……」
「ジャスティスレッドは怖いってもんじゃなかったぞ」
地球のレッドの恐ろしいところは、飛ぶ斬撃ではなくそれに乗せられた殺意だ。
“絶対に斬る”
言葉で言い表さなくとも、それを身体で理解させられる彼女の斬撃は、避けようと意識した瞬間にその殺意で強制的に動きを制限させられる。
ただの気迫とも呼べるそれが、最大の武器になっているのが恐ろしいんだ。
ぶっちゃけると、相手の攻撃を予知できるようになった今でもあいつと戦いたくない。
だって怖いもん。
「そんなバカな話があるわけない!!」
「お前はそろそろ自分が操られている自覚を持て!!」
一気に肉薄し、モータルレッドの胴体を蹴り空へと打ち上げる。
ライオンセイバーを投げ捨て、必殺技を発動させる。
『
ボクの肩と背中の装甲の隙間から金色のエネルギーが放出し、マントを形成させる。
空高く跳躍したボクは、エネルギーで作り出した足場を蹴りレッドへと迫る。
「このぉぉ!!」
視界一面を覆うほどの斬撃と斥力。
それらの動き、軌跡を全て予測し、最短距離を突き進みながら蹴りの体勢へと移行する。
「とどめ、だぁぁ!!」
『
「ま、また俺は負け———」
胴体へと蹴りが直撃すると同時に金色のエネルギーが獅子の頭を形作り、モータルレッドの身体をかみ砕いた。
そのままレッドの胴体を貫きながら、ボクは地面へと着地した瞬間、頭上でレッドが爆発する。
「……次はお前だな、ヒラルダ」
「いやー、強くなったね。コスモ」
安堵はしない。
まだ一番厄介な敵が残っている。
当のヒラルダは公園の遊具に座りながら、暢気にこちらに手を振っている。
「復活するのに手間取っているねぇ」
「……どうせお前がなにかしたんだろ?」
「あはっ、バレちゃった? ちょちょーっと細工してレッドとグリーンの復活を邪魔しているんだぁ」
こいつがなにをしたいのか分からない。
愉快犯ならそれでいいけれど、問題なのはレッドとグリーンを操っていた何かの力がこいつには及んでいないことだ。
こいつは一方的に星界エナジーとやらの力を引き出している。
「力に覚醒することで見えるようになったようだね」
「……」
「私は別に見えてないよ? でも分かるよ。私のアルファとしての能力の原点は、そういうものだったからね!」
確信があるのか愉快気に語るヒラルダ。
「宇宙の平和を守る星界戦隊ぃ? 笑っちゃうよねぇ。まさか正義を成すと思っていた自分たちの大本が“悪”に由来する侵略者だったなんてねぇ」
「侵略者……?」
「正確に言うなら、星界エナジーと呼ばれる力の供給を乗っ取ったやつってことかな? まあ、どうでもいいけど」
虎視眈々と機を狙っている存在がいるってことか。
それがルイン様が支配する星将序列に紛れ込んでいた。
……いや、ルイン様が気づいていないはずがない。
きっと、分かっていて放置しているのか。
「あぁ、でもブルーは素直に凄いと思うよ。彼、星界存在の干渉からイエローを守って“ああ”なったんだから。ああいう家族愛もいいものだね」
「御託はもういい。お前はここで始末する」
「……うーん、でもなぁ」
ヒラルダがわざとらしく時計を見るようなそぶりを見せて肩を竦める。
「もう時間切れみたいだから帰るね」
「逃がすと思っているのか?」
「そのための星界エナジーだよ。星と星を繋ぐ力、これを使えばワームホールとは別口の転移を行えるってわけ」
それと同時にヒラルダの身体が光に包まれる。
ゆっくりと見せているのは奴の嫌がらせだろうか、それでもボクが攻撃を行おうとすると奴は厭味ったらしく手を振ってくる。
「ッ!」
「じゃ、カツミくんによろしくねー!」
攻撃が当たる瞬間に奴の姿が消える。
ッ、駄目だ、予知しても間に合わなかった!
なんて性格が悪い女だ!!
「おい」
「ッ!!?」
すぐ後ろから聞こえる声に心臓が跳ねる。
誰だ、なんて尋ねるまでもない。
「進藤さんの店を爆破したのはテメェか。つまらねぇ陽動しやがって」
対応を間違えれば、攻撃が飛んでくる。
というより、今のボク緑色だから白騎士の記憶があっても分かってもらえてない……!!
背後で剣呑な声を響かせる黒騎士———ホムラの気配に、深呼吸をして気分を落ち着かせながら変身を解除する。
「……ん!?」
変身を解除したボクの顔を見たホムラは黒騎士としての姿のままぎょっとした様子で驚く。
ちょっと気まずくなりながら、答える。
「ぼ、ボクです……」
「ソラァ!?」
そういえば、ボクはコミドリ・ソラって偽名を名乗っていたんだった。
なぜか敬語になってしまうボクにホムラは混乱した様子だ。
ちょっとしてやったりな気分になる。
「は? いや、なんでお前が変身してんの?」
「いや、あのさ。ボク、コスモだよ」
「はぁ!? あのクソ面倒くさい奴がお前!?」
……。
「クソ面倒くさいとはなんだとこの野郎!!」
「事実だろうが! お前のせいで死にかけたんだぞ!」
「ぐっ、そ、それは、悪かったって思ってるけど……」
「お、おう……」
あの時のボクは本当に弁護できないくらいに駄目だったので言い訳のしようがない。
なんだか奇妙な空気になってしまっていると、周りを見たホムラが困ったように額を手で押さえた。
「人が集まってきたな。顔を見られたかもしれんから、ここを離れるぞ。シロ」
『ガウ!』
黒騎士のベルトの側面に取り付けられた見慣れない箱のようなものから、レオに近い姿をしたオオカミが顔を出す。
すると、その目から光を放つと何もない空間にバイクが転送される。
これは白騎士がいつも乗っていたバイクだな。
「ほれ」
「わっと……」
投げ渡されたヘルメットを受け取る。
バイクに跨ったホムラはこちらを振り返る。
「乗れ」
「……強引だなぁ」
「仕方ねぇだろ」
ため息をつきながらホムラの後ろに乗り、胴体に手を回す。
なぜか集まった人だかりが妙なざわめきが立つが、ホムラはそれを気にせずにバイクを発進させる。
バイクはあっという間に空へと舞い上がり、迷彩効果で透明になる。
『カツミ、乗りたかっただけだよね』
「うん」
『素直……!』
チェンジャーとホムラの会話を聞きながら、ボクも話しかける。
「シンドウは無事か?」
「ああ。店が壊されてめっちゃショック受けてるけど。今はうちの仮の拠点に避難させてる」
「そっか、よかった……」
ボクのせいでシンドウになにかあれば申し訳ないじゃ済まないからな。
無事で本当によかった。
「これから向かう場所ってのも仮の拠点なのか?」
「ああ。本部はまだ準備中だが、そこに俺たちの司令塔もいる」
恐らくゴールディだろうな。
レオを作った凄腕の科学者で、父上の友人だったと聞いている。
「……自分を受け入れることはできたか?」
「……!」
不意に話しかけられた言葉に驚く。
そうか、こいつは白騎士としての記憶を思い出しているんだよな。
……。
「とりあえずだけど、ボクは今の自分を受け入れられた。お前にも、感謝してる」
「そうか、そりゃよかった」
「……うん」
「……。もう襲ってくんなよ?」
「しないわぁ!!」
心の重荷がなくなったような感覚だ。
それから互いに無言になりながら数分ほど空を進んでいると、目的地に到着したのだろうか、バイクが地上へと降りていく。
着地したのはどこかの古いビルの屋上であった。
それなりに大きいが、ほぼ廃墟同然の場所を見回しながら訝し気にホムラを見る。
「……なんだこのボロイ建物」
「中は綺麗だから安心しろ」
こんな幽霊とか出そうなところが仮の本部とかどうなってんだ?
そう思っていると、ボク達の立っている足元が不意に沈み、建物内へと入っていく。
「……どうやら本当のようだ」
「俺もここを知ったのは昨日だからな。驚くのも無理はねぇよ」
頭上の穴が閉じ、明かりがともされるとボロイ外観から想像できないくらいに綺麗な内装が広がる。
ここは整備室かなにかか? ジャスティスクルセイダーのビークルを整備しているように見えるけど……。
「ご苦労だった! カツミ君!!」
「!」
「ああ。レイマ」
突然の大きな声に驚きながらそちらを見ると、扉から背の高い金髪の男がこちらへ近づいてくる。
あれがゴールディか? 地球人ではないのは分かるが、どことなく変人っぽい雰囲気がするな。
「アカネ達は?」
「彼女たちは先ほど帰還した。君が帰ったとなればすぐにここに来るだろうな。……さて、君がコスモ君か、初めまして。私は金崎令馬、ゴールディと名乗った方が君には分かりやすいかもしれないかな?」
「……ああ」
「そして、そこにいるのが
「ガオ」
ボクからレグルスへと視線を移したゴールディ……レイマはなにを思ったのか、床に降り立ったレオに飛びかかった。
「レグルスゥゥ!! 久しぶりだなぁぁ!!」
「ガオッ!!」
「ぐはぁぁ!?」
「レ、レイマー!?」
驚くほどの拒絶反応を見せてレイマに体当たりを叩きつけるレオ。
怒った様子で頬を押さえて悶絶する彼の頭の上で跳ねている。
……まあ、レオからしてみればこいつは、スーツに自分を組み込んだ元凶みたいなものだからなぁ、怒るのも無理はないか。
慌てふためくホムラ達を見て、ぼんやりとそんなことを考えていると———なんの気配もなく、後ろから肩に手を置かれる。
「はじめまして、コスモちゃん。私、レッド、覚えているかなぁ?」
「ひぅっ……!?」
「忘れてへんよなぁ。そら、敵同士だったんやからなぁ」
「バイクで相乗りした件についてお話しようね」
な、なんでこいつらこんな恐ろしい気配発しているのに近づくまで気づけないんだ……!?
地球人ってやっぱり理不尽じゃないか!?
というより、ホムラ、こっちに気づいて!? 助けて!?
コスモ、合流の後に今日一番のピンチに陥る。
キングレオは“見る”分野に特化した形態といった感じです。
これまで目が曇っていたコスモが、成長した姿とも言えますね。
ライオンセイバーはレオの遊び心が発揮した結果、ああなりました。
うるさいしめっちゃ楽しい武器です。