あらすじはタイトルの通りです。
とても説明ができない。辺り一面真っ白の大地が広がり、人どころか生物の一匹も視認できない。空だけはいつも通り澄んだ青色をして、何食わぬ顔で雲が流れていく。
どれだけ歩いて来ただろう。手持ちの水はまだ少しばかり残ってるが、食べ物はもうしばらく口にしていない。既に歩きすぎて疲れという感覚も無くなってきたようだ。自分自身がここにちゃんと存在しているかどうかも分からなくなってくる。
思えば、最後の記憶はなんだっただろうか。大地が白くなる前何をしていただろうか、すごく曖昧だ。まるで粗く削られたように不明瞭になっている。それもこの現象が引き起こした弊害なのか。
はっきりしない頭では視界に何を収めても気付くことは困難らしい。気づけば目の前に建物が建っていた。現代アートのように、いくつもの建物を子供のブロック遊びが如くめちゃくちゃに合わせた建物だ。そしてそれは、この大地と同じく真っ白だった。病的なまでに。
中を物色してみたが特になにか役に立つものは見つからなかった。かろうじて寝ぐらくらいにはなるだろうか。だがここにいつまでもいてはいけない気がする。休憩もそこそこに早く向かわなくては。
どこに? はて、俺はどこへ向かっていただろうか。さっきまで歩き詰めだったがいったい何を目指して歩いていたのか。目的はないはずだ、多分。そもそも何をすればいいのかわからない。ただ、あっちへ行くのが良いと思う。自分で何を考えてるのかよくわからなくなってきている。しかしこの状況では命も長くないだろう。自分のなんとなくに付き合ってやろう。
再び歩き出す。その男は極限状態で気付けなかったが、その進路には暴風が渦巻く嵐の壁が待ち受けていた
「先輩、これは強盗……いえ、物色したあとでしょうか」
白紙化した地球に降り立ち、わずかに残った建造物を探索していたカルデア一行は不審なものを見つけた。何かを探し回った後のような。タンスの引き出しが全て開け放たれ、家具が倒れている。そして、不審な足跡だ。
マシュ・キリエライトは何か手がかりはないかと探索をしていると、あるものを発見した。全てが白いこの世界だからこそわかるようなものだ。
「これは毛髪でしょうか」
黒い長い毛だった。マシュの指先から肘あたりまである。
マシュと藤丸立花はストームボーダーに戻り、報告をした。ダヴィンチちゃんによりすぐに鑑定が行われ、結果が出された。
「これは人間の毛だね、一応」
「一応?」
藤丸が疑問を述べた。一応だなんてなにか含みがありそうで怪しさぷんぷんだ。
「遺伝的には人間なんどけど、妙な違和感あるんだ。なんかこう、隠し絵みたいな」
「それって勘?」
「うん、勘。でも、この天才の勘なんだバカにしちゃいけないよ」
重要な手がかりを見つけたが、すぐにこの件はあと回しにされた。異聞帯に突入して空想樹の伐採をしなくてはならないからだ。これこそが彼らカルデアの使命であるがゆえに。
これから突入する異聞帯にはどんな強敵が待ち受けているのかは彼らには知る由もないが、この毛髪の持ち主にはこの先の異聞帯で出会うことになる。
ボーダーは虚数の海へと潜って行く。
多分続かないです