モブキャラだって意地がある!   作:水代

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最終話:勝負だ

「『運命』は崩れ落ちた」

「『世界』はただの現実へと成り果てた」

「今まで俺の邪魔をしていたものは全て無くなった」

「ならばこれから俺の躍進が始まるのか……?」

「否だよ、そんな簡単な話でも無いのさ」

「今まで俺は『運命』なんて目に見えない不確かなものと戦っていた」

「だがこれからは『ポケモントレーナー』という『運命』よりも厄介な『現実』と戦わなければならない」

「『物語』じゃねえんだ、『運命』に打ち勝ったらめでたしめでたし……なんてわけにもいかねえさ」

「俺は『主人公』じゃねえ……けど『物語』が崩れ落ちたならば、俺はもう『モブ』でも無い」

「それでも俺は俺だ。現実の俺は俺なんだ」

「今はただここに居るだけの」

「ただのポケモントレーナーさ」

 

 

 

 自分に溢れんばかりの才能があることをカルネは知っている。

 女優として、ポケモントレーナーとして、一つの頂点にまで上り詰めた実感が確かにあった。

 

 カロスを代表する女優としてのカルネ。

 

 カロスを代表するポケモントレーナー……つまりチャンピオンとしてのカルネ。

 

 どちらも同じ、自身を指す言葉でありながらけれどその中身は随分と違う。

 どちらがより『重い』かと言われると……意外かもしれないがトレーナーとしてのカルネに軍配が上がる。

 

 女優としての優劣とは意外と難しい。

 確かにカルネはこのカロスで一番売れている女優であるという実績がある。多くの人に愛された女優であるという自負もまたある。

 だが極論、女優としての優劣とは個々人の趣向であり、好みだ。

 カルネはこのカロスで最も人気のある女優であることは間違いないが、けれど全ての人間にとって一番『優れた』女優であるかと言われれば、大多数は『是』と答え、けれど少数は『否』と答えるだろう。

 

 カルネ自身それを否定することはできない。

 女優としての優秀さとはつまりそれを見ている相手にとってどれだけ『好み』であるか、ということ。

 単純な能力だけでは推し量れない『個性(キャラクター)』というものが問われる。

 万人に愛されるキャラクター性はあっても、全ての人に愛されるキャラクターというのは中々無いものだ。

 故にカルネはこのカロスにおいて最も『人気が高い』女優ではあっても、比肩するものの無い存在ではないと言える。

 

 だがそれとは逆に。

 

 トレーナーとしての優劣は明確なほどにはっきりと示される。

 冗談や比喩を抜きに、カルネというトレーナーは現状このカロスにおいて最も優れたトレーナーであるという事実を否定できるものなど存在しない。

 

 何故ならばカルネが『チャンピオン』だからだ。

 

 チャンピオンとは全てのトレーナーの頂点を指す言葉であり、チャンピオンの上に立つ存在は無く、あるのは他地方のチャンピオンという『同格』か或いはそれ以外のトレーナーという『格下』だけだ。

 だからこそカルネは『チャンピオン』であることに自負を持っている。

 同時に自らが『チャンピオン』であることに自覚を持っているし、自信を持っている。

 

 『チャンピオン』とはその地方で最強のトレーナーを指す言葉だ。

 

 つまりカルネが情けない姿を晒せばそれはカロス地方の全てのトレーナーを貶める結果にもなる。

 

 だからカルネは常に自らを『演じ』続けている。

 『チャンピオン』としてのカルネを作っている。

 

 もし万一女優として自分より上の存在が現れたとしてもきっとカルネはそれを許容できる。

 その相手に負けないように奮起し、さらに自らに磨きをかけ、もう一度返り咲こうとする、そういうモチベーションで居られる。

 

 だが『トレーナー』として自分よりも上の存在が生まれることをカルネは決して許容できない。

 自らこそが『最強』であると強く自負し、自覚し、自信を持っているからこそ自分より強い存在をカルネは決して許しはしない。

 

 余りにも『泥臭』過ぎて普段は『演じ』ることで見せないようにしているカルネの『トレーナー』としての在り方。

 

 だが所詮はカルネとて同じ穴の貉なのだ。

 

 ポケモントレーナーである以上、勝利に対して貪欲であることは当然、それは『チャンピオン』なんて地位にいることが明確なくらいに証明しているのだ。

 

 

 分かりやすく言えば。

 

 

 カルネというトレーナーはカロスで一番の負けず嫌いだということだ。

 

 

 * * *

 

 

 近年カロスのトレーナーのレベルが落ちているのではないか。

 というような話題がポケモン協会で上がったらしい。

 否だ。正確に言えばこれに関してはどの地方でも起こり得ることであり、過去に起こったことであり、同時に明確な対策の取りようの無いことなのだ。

 

 原因も分かっている。

 

 何せどの地方でも何度も起こったことなのだ。

 つまりそれは議題の提案というよりは議題の提出である。

 どうするかなどという議論が全く意味が無いことは分かっていて、だからこそ全員の耳に一度は入れておきながら全員が何ら手を打てないままに待つしかできないもどかしさを覚える。

 

 結論だけ言おう。

 

 それはある意味()()()()()()だと言える。

 

 カルネというトレーナーは疑いようもなく天才だ。

 

 このカロスで最も才能のあるトレーナーであることは誰もが認めるところであり、女性でありながら誰よりも強さを追求し、体現している。

 だからカロスにおいてカルネに憧れるトレーナーというのは多い。

 特にシンオウもそうだが、女性のチャンピオンが誕生した地方では女性トレーナーが急増するのだ。

 

 カルネのようになりたい、と憧れた多くの人々がポケモントレーナーとなり。

 

 そうして理想と現実の差を突きつけられて挫折するのだ。

 カルネのようになるためには、カルネのような隔絶した才能が必要である。

 そんな事実が彼ら、彼女らを打ちのめし、同時にその絶対的な強さは『挑戦する心』を折ってしまう。

 

 同様の問題は実のところ世界中で起きている。

 

 ポケモントレーナーならば誰しもが『チャンピオン』という地位を一度は夢見る。

 だが同時に大半のトレーナーはそこが手の届かない絵空事なのだと気づき諦めて別の道を選ぶ。

 そして諦めきれないトレーナーたちは懸命になってたった一つの『最強(チャンピオン)』の座を巡って激しい争いに身を投じることになる。

 

 だが余りにも隔絶した才能を見せつけられると、余りにも絶対的過ぎる強さを見せつけられると、折れてしまうのだ……挫けてしまうのだ。

 

 その場所が、その座が、その地位が、自分には手の届かない夢物語だと諦めてしまうのだ。

 

 激しい闘争と厳しい競争の中にあってこそ、トレーナーの腕は磨かれ、その強さは精錬されていく。

 だが戦うことを諦めてしまったトレーナーが強くなれるはずもない。

 

 故に強すぎるチャンピオンを有した地方はトレーナーの質が低下してしまう。

 

 そういう問題が世界中で何度も起きていて、カロスもまた同様だった。

 これに対する明確な解決策は無い。

 正確には一つだけだ。

 

 最強を打ち破る誰かが現れることを待つこと。

 

 あの最強ですら負けるのだ、とみんなが思えば良い。

 最強は決して手の届かない夢ではない。ただ自分が諦めていただけで、手を伸ばせば掴むチャンスはあるのだ、と夢を見させれれば良い。

 

 強すぎるチャンピオンが打倒された地方はその後しばらくトレーナーの質が急激に上がる。

 

 やがて新しいチャンピオンが防衛を重ねれば少しずつそれも落ち着いていくのだが。

 

 地方においてトレーナーの質を上げる一番の条件は『チャンピオン』が弱いことだ。

 毎年のようにチャンピオンが変わるようなことがあれば、その座を掴むチャンスが巡ってきたと多くのトレーナーが奮起し、トレーナーの質が大幅に向上する。

 だが余りにもコロコロとチャンピオンが交代していると、今度は『チャンピオン』という座の神聖さが失われる。

 弱いチャンピオンはチャンピオンではないのだ。

 

 最強であるが故に『チャンピオン』。

 

 絶対であるが故に『王者』なのだ。

 

 こうなるとカルネとしては複雑以外の何物でもない。

 カルネは皆から『最強』であることを期待され、それに応えて『最強』であり続けたからこそ『敗北』を望まれているのだ。

 

 とは言えカルネ自身それが間違っているとは言えないからこそ戸惑う。

 

 ポケモントレーナーが強くなるための一番手っ取り早い方法はバトルすることだ。

 ポケモンバトルはトレーナーとポケモンとの絆を確かめる最も手っ取り早い方法であると同時に、トレーナーとトレーナーが互いの持てる全てをぶつけ合う場でもある。

 互いの全てを晒けだし、ぶつけ合い、だからこそ高め合うことができる。

 カルネほど極まったトレーナーとなると最早普通の訓練(トレーニング)だけでは強さを保つことが精いっぱいで、向上となるとやはりバトルが必要になる。

 

 それもただのバトルではない。

 

 お互いの全てを晒けだし、ぶつけ合えるような激闘、激戦だ。

 

 だがカルネが『チャンピオン』となって幾年。

 カルネの全力を振り絞れるような『挑戦者』は待てども待てども現れなかった。

 カルネは知っている。過去にはチャンピオンに挑戦できるのはトーナメントを勝ち抜いたたった一名のトレーナーだけだったのを。

 それを四名まで引き上げていたのですらギリギリだったのに、カルネが強すぎて、勝ち過ぎたからこそ八名まで引き上げることでより多くの挑戦者を作り、『チャンピオン』の交代が起こりやすい状況をポケモン協会が整えたことを。

 

 だがそれは逆効果なのではないだろうかと思う。

 確かに挑戦者数はいきなり倍になった。

 だが挑戦者となるために積み上げるべき勝ちの数が減ったせいか、そもそもカルネまでたどり着ける挑戦者の数自体が減ってしまったように思える。

 

 全力どころか、半分の力でも勝てるような相手ばかり。

 これでは腕を磨くどころか鈍ってしまうと危惧するほどにトレーナーの質の低下は如実だった。

 

 勝利を積み上げることはトレーナーの本能に等しい。

 

 だが本当に欲しいのはその勝利に込められた『重さ』だ。

 半分の力で得られたような勝利で一体何を喜べというのだろうか。

 

 そこに『充足』は無く。

 

 そこに『満足』も無く。

 

 そこに『感慨』も無い。

 

 いっそ自らの強さに絶望すら感じていた時に。

 

 

 ―――彼は現れた。

 

 

 * * *

 

 

 四天王というのはこのカロスでもトップクラスのトレーナーである。

 正確にはトップクラスのトレーナーの中からポケモン協会が四天王へとスカウトしているというべきか。

 基本的に四天王というのは『チャンピオンリーグ』において振るい落としのために居る。

 だから一切の加減も容赦も無く挑戦者を攻め立てるし、実際過去に四天王に敗れ、王者に挑戦すら許されなかった挑戦者たちは多い。

 

 だが同時に四天王には隙がある。

 

 統一タイプのパーティというのは近年のバランス良くパーティを作ろうとするトレーナーの考えからすると真っ向から反している。

 四天王はあくまで『チャンピオン』の前座であり、振るい落としのための存在だ。

 であるが故に、これを対策することは何の問題にもならない。

 露骨なほどに相手の弱点タイプで固めてこれを破ったところでそれを卑怯などと四天王は言わない。

 

 そもそもタイプ統一のパーティを使っている時点で彼らとて『弱点タイプで固められた場合』などというのは当たり前のように想定している。

 だから普通のトレーナーが考えるよりタイプ相性による有利は大きくはならない。

 まあそれでも有利を取れるのは間違いないのだが、それとて扱っているトレーナーが超一流たちだ。

 並のトレーナーでは完全に対策を立てたところで鎧袖一触に蹴散らされるのが精々だろう。

 

 だが今年、多くの挑戦者たちが四天王を前に苦戦する中、その四天王をあっという間に降してチャンピオンの前にたったトレーナーがいた。

 

 従来のポケモンバトルとは一風変わったやり方をする彼はチャンピオン戦でカルネと戦い。

 

 そして惨敗した。

 

 ただその中身が余りにも凄惨だった。

 

 ポケモンバトルに『運』という要素はトレーナーには手は出せずとも必ずしも排除しきれないものとして存在する。

 たった一度の『運』の偏りでバトルが一変することすらあるとカルネは知っているし、実際まだ未熟だったころのカルネもその『運』によって敗北したり、『運』によって勝利を得たりしたこともあったので『運』という一種手の出しようの無い要素にポケモンバトルが振り回されていることを理解していた。

 

 だがだ。

 

 さすがにここまで酷いのは初めてだった。

 

 凡そ運に絡む要素全てがカルネの味方をし、挑戦者の『彼』の敵となった。

 

 もしその全てが逆だったとしたら、カルネとて敗北を免れないだろうと思えるほどに『運』の偏りとは恐ろしいものがある。

 

 実力云々以前の勝負だった。

 

 四天王との激戦を制しただけあってそれなりに実力があるトレーナーだったのだろうが、寄りにも寄ってこのチャンピオン戦において余りにも運に見放されていた。

 

 凄惨の一言しか口にできないカルネもまたいたたまれない様相で『彼』を見ていた。

 

 そうして、呆然とする『彼』を後目にその場を立ち去り。

 

 

 

 翌年、『彼』は再びカルネの前に現れた。

 

 それも去年よりも容易く四天王を降して。

 同じレベル帯の挑戦者がひしめき合うチャンピオンリーグトーナメントでは毎年のように優勝者が変わることは珍しくも無い。

 『運』の振れ幅一つで勝敗が変わってしまう程度の力量差しかなく、同じ顔が二度並ぶとは珍しい物だと思った。

 

 そうして二度目の『彼』との戦いは驚愕の連続だった。

 

 強い。

 

 久方ぶりにその感想を抱いた。

 一体一体の育成度合いはカルネをも上回っている。

 純粋な能力値でカルネのポケモンが力負けするなどいつ以来だろうか。

 しかもここに来るまでにどれだけ勝利を積み重ねたのか、熟練度も高い。

 何よりも対峙していても分かるほどにポケモンとトレーナーの絆が深い。

 

 昨今の勝つことだけを追い求めたトレーナーではない。

 

 本当の意味でポケモンと共に戦うことのできる『ポケモントレーナー』だった。

 

 『読み』で上回っているはずなのに、少しずつ少しずつ自身のポケモンたちが倒れていく。

 六体目、サーナイトを出したのは本当に久しぶりのことだった。

 

 久々に心躍る戦いだった。

 

 一つ残念なことを言うならば。

 

 相変わらず振り切れたように『運』が無かった。

 

 まるでそんなこと百も承知だとでも言わんばかりに『彼』の指示は『運』という要素を極力排除した物だったが、それでもポケモンバトルから『運』は排除しきれない要素である。

 去年よりも圧倒的に少ないながらもそれでも要所要所でちらつく『運頼り』な部分がことごとく裏目に出て、結局その差が埋まりきらなかった。

 

 もし『運』が平等に働いていたら……果たしてどうなっただろう。

 

 そんなことを考えさせられるほどに『彼』は強かった。

 

 ただ二年連続の失敗である。

 折れたり、挫けたりしていたら……そう思い見つめた先で。

 

 『彼』は悔しそうにしながらも強い意思を込めた瞳でこちらを見つめ返していた。

 

 

 ―――思わず笑みが零れた。

 

 

 ああ、何と言うことだろうか。

 自分としたことが『彼』を侮り過ぎていた。

 折れたり、挫けたりしていたら?

 『彼』をそんな弱いトレーナーだと思うこと自体、『彼』に対する侮辱だ。

 

 『彼』は来年必ずまたここに来る。

 

 素直にそう思えたし、確信できた。

 きっと来年『彼』はさらに強くなって自らの前に立ちふさがるだろう。

 長年停滞していた自分とは違う、『彼』は挑戦者として激戦を潜り抜け、さらにレベルアップし、そして最強の挑戦者として必ず立ち塞がる。

 

 また『運』が振り切れたとしても、それすら織り込み済みと『彼』は突き進んでくるだろう。

 

 そんな『彼』に勝てるのだろうか。

 もし来年『運』が平等に働いた時、果たして今よりも強くなった『彼』に自分は勝てるだろうか。

 

 そんなことを考えて……()()()()()()

 

 ああ、ようやくだ。

 ようやく自分を脅かす存在が現れてくれた。

 そうだ、考えろ。勝つための手を考えろ。

 まだ一年ある、もう一年しかない。

 来年『彼』はどうやって自分を()()()()()

 さあ、時間は少ないぞ。

 

 そんなことを考えれば考えるほどに、じっとしてられなくて、じっとしていることが()()()()()

 長年惰性のように戦い続けていたせいで錆びついていた心が、『チャンピオン』として君臨していた時以来凍り付いていた時間が、動きだしたような錯覚すら覚えた。

 

 

 * * *

 

 

 ―――完璧だった。

 

 一年間、ずっと考え続けていた展開。

 『彼』がどうやって私を殺しに来るのか、考えて、考えて、考えて。

 本当にそれでいいのか、他に何かあるんじゃないのか。

 そんな不安に駆られながら、それでもやると決めた『奇襲』は見事なまでに的中して。

 驚愕し、呆然とする『彼』の表情を見て、してやったり、と内心で笑った。

 

 三度目のチャンピオン戦は、またしても自分の勝利だった。

 

 だがその勝利は薄氷の上のものだった。

 最早自身を脅かすどころではない。

 今の『彼』はもう『チャンピオン』であるはずの自分と『対等』なトレーナーだった。

 それだけの力があると認めている。

 それはつまり、そうつまりだ。

 

 ようやく自分を満たしてくれるトレーナーが現れたのだ。

 

 『彼』からの勝利は自身を『充足』させ『満足』させ、『感慨』を抱かせた。

 恐ろしいほどの激戦だった。

 カルネ自身これほどギリギリの戦いなるとは思ってもいなかった。

 もし『奇襲』が決まらなければ、負けていたのは自分のほうだったかもしれないと思うほどに。

 

 手を差し出す。

 

 勝者がやるには少しばかり嫌味かもしれない、なんて心の中では思いながらも。

 

 差し出した手を『彼』がきょとん、とした表情で見つめる。

 

 そんな『彼』の表情に少し愛嬌があるかも、なんて考えながらさらに手を伸ばし。

 

 嘆息一つ、『彼』がその手を伸ばし。

 

 握り合う。

 

「また来年、待っているわ」

 

 そんな自身の言葉に『彼』がふっと笑って。

 

「ああ、来年こそ勝ってやるからよ……首を洗って待ってな」

 

 ぎゅっと互いの手に力が籠る。

 

「ふふ」

 

 笑い。

 

「ふん」

 

 笑い。

 

「「勝負だ」」

 

 誓い合った。

 

 

 




大して書くことが無いのでこちらでちょっとだけ語るあとがきコーナー。

興味無い人は飛ばして良いです。作品作る時の裏事情とかあとは作品語りながら意味深で思わせぶりなこと言うだけの蛇足オブ蛇足なので。






というわけでまたしても思いつきで作った短編小説でした。

なんか全体的にエモな感じ出てるのは自分でも予想外だけど、具体的な部分が少ないから実際は中身がすかすかな感じがしなくも無い。

個人的に一番語りたいのはね。

「三年目の主人公のチャンピオン戦の勝敗」の部分。

勝ってチャンピオンになるって予想した人多いんじゃないかな。
ぶっちゃけ俺も最初勝つつもりだったんだ。
でもいざ書こうとしたら思ったんだよね。

「これって勝ったら流れ的にただの『主人公交代』では?」

なんかこうさ、『運命』という見えない物に翻弄されて、それでも諦めきれずに『運命』に抗い、そして『運命』を打破して見事チャンピオンになった!!!

って書くとこいつもう「モブ」じゃなくて『主人公』じゃん、と思った。
モブ君はね、あくまでモブ君なんだ。
モブ君自身もね、『主人公』になることは望んでないよ。確かに『主人公』になれば一転して『運命』が味方してくれるよ?
カルネさんとの差もそこまで無いし、『運』が良いほうに振り切れるならほぼ確実にチャンピオン戦勝てるよ?

でもそれをモブ君が喜ぶかな???

よくあるテンプレみたいな転生者だけどね、モブ君。
でも人格に関する記憶無いんだよ。モブ君にとって現実は今いる世界一つであり、モブ君からしたら今自分がいる世界が『物語』なんて定まった未来への流れの中にいて、それを『運命』によって変えられずにいるってのは耐えがたい話なんだ。

分かりやすく言うとそれを認めるのはモブ君にとって「お前のいる現実は誰かに設定されたものであって、お前らの生きる現実に意味なんて無いんだよ」って言われてるようなもの。
なまじ『原作』を知ってて実機知識持ってるからこそ、モブ君は「ここは現実だっての、原作なんて知らん、運命によって最初から決められた未来なんて糞食らえだ!」って思ってる。

『主人公』になるってのはモブ君からすれば『運命』に、つまり『原作』に迎合するようなものなんだよ。

つまり『モブ』君が『主人公』になるってのは分かりやすく言うと『女主人公(セレナ)』の代役で『男主人公(カルム)』になるような感じ。そうなれば『主人公』が『チャンピオン』を倒すという図式は変更されないので『運命』は、『原作』は正しく機能する。
特に考えてそうしてたわけじゃないけど、『セレナ』ちゃんが出て来て『カルム』君は登場してないのがちょうどいい感じに見えてくるだろ???

まあ色々言ったが三年目にカルネさんに勝ってしまうのは「この物語の趣旨に反するのでは?」と思ったので負けてもらった。
それもただ負けるだけなら『運命』に負けただけだから、『運命』には勝ったけど試合には負けた感じにしたくて考えた結果。

じゃあカルネさんが自分から『チャンピオン』という役割から降りればいいじゃん。

という結論になった。
舞台女優が舞台から降りるという皮肉も個人的にエモだったのもある。

そしてモブ君は敗北し……。

それで終わりだったんだよ!

当初の予定では四話の終わりにエピローグ追加して、それで終わりの予定だったのになんか思ったより文字数多いから分割するかあって思ったら全然ネタ思い浮かばなくてカルネさん視点オンリーになってしまった。
まあいい感じに纏まってくれたんじゃないかなって思う。

余談だがモブ君は育成以外割と才能乏しい側なので、そんな存在が天才側のカルネさんと渡り合っているという事実に周りのトレーナーも奮起してる。
なのである意味カルネさんここからがトレーナーとしての春である。やったねカルネさん、強豪トレーナーが増えるよ!

ああ、あとサーナイト外したことを批判されるんじゃないかって感想もありましたが、そもそも全力で相手を倒しに行くことが『トレーナーとしての礼儀』ですし、そもそも『勝利すること』こそがチャンピオンにとってもっとも大事なことなので、別に問題無いです。
育成によって対策となるメタポケモンを作っても、対策となるように育成できること自体がトレーナーの腕の一つ。そもそもレート対戦とかだって環境トップはメタられるじゃん、それを卑怯って相手に言うか?って話。
育成得意なトレーナーはメタポケモンよく育てるけど、じゃあ育成得意じゃないけど読みが得意なトレーナーとかが「お前俺のポケモンメタるなよ、正々堂々戦え」っていうのは違わない?自分のできることやって何が悪いの???って話になる。


そして裏話だが、当初の予定ではセレナちゃんとの絡みがメインでした(

こう長年トレーナーとしてそこそこ強い程度でやってたんだが、原作主人公セレナちゃんとバトルしたら『運命』補正でぼっこぼこに負けて、「ふざけんな、主人公に負けてやるか!」って奮起するような話だった。
なんか一話何も考えずに書いてたらいつの間にかチャンピオン戦が主軸になっちゃってたけどな。

というかね、もっと根本的な話だが。




この小説、擬人化要素あったんだ(



ち、違うんだ。ネットで見つけた「カロス御三家」の擬人化画像が余りにも可愛かったんだ。
「おやかたさま!」って呼んでくれる忍者風蛙娘とか、「あるじさま」って呼んでくれる巫女風狐娘とか、「おにーさん」って呼んでくれる短髪元気娘とか、そんな可愛い子を書きたいという俺の欲望が渦巻いて始まった今作なのに気づいたらシリアス過ぎて擬人化入れられなかったという悲しい話がある(

これらに関しては以降別作で書きたい所存。

だってかわいいもの みずお


まあ、そんなどうでもいい決意表明はどうでもいいとして、一応今作これで終了になりますので、ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
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