やはり俺が盾の勇者なのはまちがっている。   作:水源+α

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何番煎じかもしれない八幡×他作品のクロスオーバーです。今作品は盾の勇者の成り上がりのアニメの展開を主に活用しながら進ませていきます。八幡なりの行動も混ぜていけたらなと思っております

今回はプロローグで、次回以降に召喚されます。次回の更新までお待ち頂ければなと思います。

また、この作品のアンチ、ヘイトタグの対象は雪ノ下や由比ヶ浜などの総武高の面々ではありません。
あくまで『盾の勇者の成り上がり』と同じように、マインや王様、勇者たちなどで構成されていくことは確定しています。奉仕部への様々な思いや葛藤も混ぜていければと考えております。

 長文、失礼いたしました。

              水源+α


プロローグ そうして彼と彼女たちはすれ違う

 ——総武高校の修学旅行先である京都。俺は今、我が愛しの故郷である千葉から新幹線に乗ってここに来ていた。

 行く前までは『修学旅行は社会生活の模倣みたいなものなんだよ』と由比ヶ浜や雪ノ下に自論を展開する程ではあったのだが、来てみればどうだろうか。いつの間にか自分なりにも、そして奉仕部のあいつらとも、言葉には出さないがこのイベントを密かに楽しんでいた。

 

 しかし、楽しんでばかりではいられないのが、現状としてあった。それは、同時期に、同じクラスメイトである海老名さんと、戸部が葉山を連れてやってきた二人による奉仕部への依頼をされたからである。

 

 海老名さんからの依頼——というのは違うかもしれない。言い換えるとするならば海老名さんからの願いとしては『葉山と三浦を中心としてつるんでいるグループの現状維持』というものであり一方、戸部たちからの依頼としては『この旅行中に海老名さんに告白したいから、その手助けをして欲しい』というものであった。

 

 海老名さんの願いと戸部からの依頼。正直言って、二人が望む結末は双方に見事なまでの逆方向である。彼女としては、今までのグループの関係性のまま、いつも通りの平穏な日々を送っていたい。しかし、いつしか普段から戸部と接していて、自分へ密かに好意を向けられているのを気付いた彼女は、色んな理由もあり、その戸部からの告白を断るつもりであった。だがそんなことをすれば、互いに気まずい関係になってしまい、これからは振った男友達へ負い目を感じながら、接して行かなければならない。

 

 結果として、葉山たちのグループはそんな二人の微妙な関係に対して、負の連鎖の如く同じように負い目を感じてしまい、仮にグループが崩壊しなかったとしても、彼を振ってしまうことで、以前のようなグループの関係性には戻れないことを、彼女自身が一番危惧していた。

 

 だから、同じグループの三浦にはこのことを相談せず、第三者である俺たち奉仕部に相談(?)しにきた。

 まあ、実際に言ってきたことはもの凄くアバウトであり、短絡的なものでもあった。

 

 ──今まで通り仲良くやりたいもん……

 

 あの海老名さんが何気なく奉仕部へ来た時にこぼしたその言葉の真意に、雪ノ下と由比ヶ浜は気付いていない様子だった。実質、海老名さんからの願いは、奉仕部への依頼ではなく、その意図に気付けた者への……俺個人への依頼だったのだろう。

 

 戸部の依頼は、そんな海老名さんの思いとは全くの逆のものだった。別に告白自体が悪いわけではない。しかし、現状維持を望んでいる彼女からすれば、戸部がこの修学旅行で起こそうとしてることに対して、余り良い印象は抱かないだろう。

 確かに海老名さんは、同じグループに居る由比ヶ浜と三浦が目立ち過ぎているだけで霞んでしまっているが、かなり顔は整っている方だ。戸部の他にも同じクラスや他クラスにも密かに想いを募らせている奴は、居るとは思う。それでいて話しやすく気さくなところもあり、人から好かれる要素が充分あると言える。

 

 しかし恋愛というのは非常に残酷である。時として最大の薬にもなり、最大の毒にもなり得てしまう。まだ、友達同士の喧嘩別れであれば補填は効くだろうが——告白を振って、振られた人間の互いの関係はその後、果たして喧嘩別れのように補填は効くのだろうか。大抵の場合、答えは否である。海老名も戸部とは友達では居たいのだろう。またこのグループを守りたかったのだろう。だからこそ、そのことを分かっていたから、修学旅行前に行動したのだ。

 

 こんな板挟みのような依頼。正直言って腹が痛くなりそうだ。だがどちらの依頼にしても、片方の依頼を反故するような真似は出来ない。しかし、この二つの依頼を同時に達成することは出来ない。この場合、双方が納得は出来なくとも上手く落とし所を見つけることが先決だ。

 

 そんな二人の思いに悩んでいる今も——俺はとある男から、個人的な依頼をされていた。

 

 

 

「——つまり……お前は何も変えたくないってことだな」

 

 俺は目の前の男に、最終確認としてそのように問いかけた。その質問に対して問い掛けられた男は、明らかに奥歯を噛み締めている。整った顔に似合わないようなことをしながら、悔しそうに、そして何処か俺への罪悪感も交えたような声色で。

 

「ああ……そうだ」

 

 と、言った。

 

「……」

 

 俺はその返答には何も返さずに、されども意思は受け止めて踵を返し、男に——いや、葉山 隼人に背を向けて、歩き出した。

 

 今日、俺や由比ヶ浜は協力して、戸部と海老名さんを出来るだけ二人にさせようとしてきた。しかし、所々葉山がそれを邪魔するような言動があったため、その中途半端さに不審感を抱いていたが、こういうことだったか。

 海老名さんは葉山にもこのことを相談していた。だから、戸部の恋を応援しつつ、所々俺たちの行動を妨害していた。今までのような中途半端な態度を取っていたのは、葉山としても海老名に言われなくとも、グループの現状維持をしたかった節があったからだろう。あの時、戸部と一緒に奉仕部へ依頼に来たときも、いくつか反応に不審な点があったからな。

 

「……君にだけは頼りたくなかったのにな」

 

 背後から絞り出すように呟かれた葉山のその言葉に、俺も

 

 

 

 

 ——お互い様だよ。馬鹿野郎

 

 と、心の中で返し、俺は京都の綺麗な紅葉の木々たちの風景を眺めながら、又こう決意したのだった。

 

 

 

 ——葉山が守ろうとしてることなんて、俺には分からない。分からないままでいい。だから出来ることがある……と。

 

 

 

 

 

 そして。告白の時。物陰から、由比ヶ浜と雪ノ下と一緒に、戸部と海老名さんが対面しているところを見守っていた。戸部は言葉を振り絞って、頑張ってその言葉を伝えようとしている。一方で海老名は、『……うん』と、いつものような飄々としつつ、何処か悲しげな相槌を打ち、目の前の戸部からの言葉を待っていた。

 

 俺はそんな二人の様子を窺いながら、意を決して、二人の側に早足で向かった。

 

 最善の策を取るために。

 

 

 

 

 

「……ずっと前から好きでした。付き合って下さい」

 

 ——それは、俺が海老名さんに告白することだった。

 そう。最善の策とは至って単純なものだ。戸部が振られる前に、俺が告白して振られれば良い。そうすれば、海老名さんの『今まで通り仲良くしたい』という思いは達成され、戸部からの依頼は達成とは言えずとも失敗にはなっていない。問題の先延ばしではあるが、この場であれば、これが良い落とし所だろう。

 

 海老名さんは予想通りに『今は誰とも付き合う気は無いの』という言葉を返して、そのままその場を立ち去った。その後戸部に『それは無いわ〜……』と、文句を言われたが、結果として彼は傷付かずに、これからもグループ間で海老名さんと変わらずに接し続けられるだろう。これでもう今日は寝るだけ。内心安堵しながら、そう思っていた。

 

 しかし、俺は失敗したのかもしれない。

 何故かと言えば。

 

 

 ——すまない……君は()()()()()()()しか知らないんだと、分かっていたのに。すまない

 

「……謝るんじゃねえよ」

 

 葉山はそんな行動を取った俺へ謝り。

 

 

 

 

 

 ——あなたのやり方……嫌いだわ。上手く説明出来なくて、もどかしいのだけれど。あなたのそのやり方、とても嫌い

 

「……」

 

 雪ノ下はいつものように真っ直ぐな瞳でそう言ってきた。しかし、何故かとても苦しそうに。

 

 

 

 ——人の気持ち……もっと考えてよっ! 何で色んなことが分かるのに、それが分からないの……! 

 

「——」

 

 由比ヶ浜は、涙を流しながら、俺へ悲痛の叫びを訴えた。

 

 

 

 

 

 それから、俺のこの一件で、修学旅行以降、葉山のグループの関係性は守れたものの、奉仕部の関係性は拗れてしまった。妹ともその因果で、軽い口論になってしまった。

 

 

 

 

 ——ああ、最悪だ。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 修学旅行が終わり、一週間が経過した。

 

 

 相変わらず小町とは喧嘩したまま碌に口も聞いていない。奉仕部の面々とも気まずい空気のままで、学校に行くのがこれまで以上に面倒臭くなっている。

 ただ、あの後の葉山のグループの関係性は大丈夫そうだ。教室での戸部と海老名さんの間も変わりなさそうだったからな。

 

 しかし、まぁ……

 

「……」

「……」

「……」

 

 修学旅行前までに響いていた、由比ヶ浜の明るい声と、それに反応する雪ノ下の静かで優しげな声は、現在はパッタリと止んでいる。別にそれが気になるわけではないが、少々この静か過ぎる奉仕部の教室が、不思議に思えているだけだ。

 

 これも普段から何も変わらない光景だ。

 俺は依然として黙って本を読んでいるし、由比ヶ浜は携帯を弄っているし、雪ノ下も偶に紅茶を交えながら、黙々と本を読んでいる。

 

 だからこそ、こんな状況を鑑みてふと思ってしまうのだ。

 

 ——この部活が存在している意味はなんだろうかと。

 

 かと言って、奉仕部の定義を忘れたわけではない。ただ、俺たちがなぜわざわざこうして三人集まって、無為な時間を過ごしているのか。また、何でそのような時間を過ごし、今まで心地良いとさえ心の内で思ってしまっていたのか。

 

 この場は、ただの馴れ合いなのだろうか。ただ、こうして三人と一緒に居るだけで良いという、漠然とした理由で俺たちはここにいるのだろうか。

 

「……」

 

 

 そう思い耽っている時だった。突然、コンコンと空き教室の扉がノックされた。

 

「邪魔するぞー。少し頼みたいことがあるんだが」

 

 平塚先生が奉仕部にやって来たようだ。

 

「「「……」」」

「……ん? 何かあったのかね」

 

 妙な静寂が包み込んでいる奉仕部の雰囲気に不思議に思った平塚先生がそう聞いてきたので俺が応える。

 

「……いや、何も。それよりも何か用ですか」

「ああ……入ってきて良いぞ」

 

 と、何やら誰かの引率できたようだ。

 平塚先生の声に応じて入ってきたのは、城廻先輩と……なんかケバケバしてる一年女子だった。

 

「ちょっと相談したいことがあって……」

「城廻先輩?」

 

 雪ノ下にとってもこの時期に城廻先輩がここに来ることは予想してなかったのか驚いた様子だ。

 

「あ、いろはちゃん!」

「結衣先輩! こんにちは〜!」

 

 そして、何やら由比ヶ浜とこのケバい一年生は知り合いのようだ。

 

「……」

「ふふっ」

「……っ」

 

 ……なんで初対面なのに笑いかけてくるんだよこいつ。ビッチか。

 

 

 

 

 …………

 

 ………

 

 ……

 

 

 

 

 依頼者である城廻先輩と一色というあざとい後輩から話を聞いた限りでは、また厄介な依頼だった。

 何でも、一色が同級生に勝手に生徒会長として担ぎ上げられたらしい。要は嫌がらせというか、軽いいじめに近いことをされている。だから、どうにかして一色とやらを会長候補から外して欲しいという依頼がしたいとのこと。

 

 というか、中々に女子っていう生き物はえげつないことするよな。下手したらドラマでよくある男社員の権力闘争よりも闇深いんじゃねえの。

 

「私、結構悪目立ちっていうんですか〜? サッカー部のマネージャーとかもやってたりするので、葉山先輩とかとも仲が良いイメージとかも付いちゃってるみたいで〜」

 

 しかも、この一色という一年生。こりゃ如何にも女子から嫌われてそうだな。見事な猫撫で声だ。

 中学の時にも居たな。それもジャグラーばりに男子を手玉に取ってたやつが。

 

 一色の言ったことに、雪ノ下が反応する。

 

「悪戯にしても随分と手が込んでますね。立候補には確か三十人以上の推薦が必要だったと思うんですが」

 

「そんなに!? よく人集めたね〜……」

 

「無論、しでかした生徒にはこちらで指導する」

 

 ということは、一色は三十人以上の女子から嫌がらせで推薦したという単純計算が出来上がる。由比ヶ浜はそんな実態に驚き、平塚先生も呆れた様子でそう答えた。

 

 そんな中、思いついた事を口にしてみる。

 

「……やりたくないなら選挙に落ちれば良い。というか、それしかないだろ」

「うーん。ただ、立候補者が一色さん一人だけだし……」

 

 しかし、咄嗟の城廻先輩の言葉で、この案は封じられる。

 

「となれば、信任投票ですね」

「信任投票で落選って……超カッコ悪いじゃないですか〜」

 

 雪ノ下の出した案も、依頼者である一色により渋られる。

 であれば、少々荒削りだが、このような策はどうだろうか。

 

「応援演説をやる奴は決まってるのか?」

「……? いえ」

 

 一色にそう聞けば、まだ応援演説をする人は決まってないらしい。第一関門突破。あとは——

 

「なら簡単で手っ取り早い」

「えっと、どういうこと?」

「……最悪、信任投票になっても確実に落選出来て、一色はノーダメージで切り抜けられれば良いってことなんじゃねえの。要は一色が原因で一色が落選したってみんなが分かってりゃいい」

「そんなこと出来るの?」

 

 由比ヶ浜の期待が篭った目に、少し罪悪感が募る。

 

 

 

 

 

 

 

「——応援演説のせいで一色が不信任になるなら、誰も一色のことなんて気にしないだろ」

 

 いや、俺は何故この言葉に罪悪感を感じているんだ。

 

 

 

 

 

 

「「「……」」」

 

 教室に、ひと時の静寂が包み込んだ。明らかに、俺が言った言葉が原因なのだろう。だが、俺はこのやり方が一番手っ取り早く、簡単で、最善だと思っている。

 

 一方で、由比ヶ浜は呆然とした顔から、少し目を伏せて、憂いの色を目に浮かばせながら

 

「……ねぇ、その演説ってさ。誰がやるのかな」

 

 そう返答してくる。

 

「……」

 

 今までの俺であれば、そいつが誰なのか即答出来たはずだ。しかし、何故だろう。答えられない。修学旅行の一件から、俺は何か変わってきているのか。

 

「……そういうの、やだな」

「っ……それは、出来る奴がやれば良いんじゃねぇーの」

 

 だからこそ、中途半端な回答をしてしまう。

 そんな俺に畳み掛けるように、そこで雪ノ下は口を開いた。

 

「そのやり方を認めるわけにはいかないわ」

「……理由は?」

「それは……っ、確実性が無いからよ。それに不信任なるような演説は一色さんにも迷惑がかかるわ。仮に不信任になったとしても、再選挙なんて態々すると思う? それから……。っ! 生徒会への関心が低いのだから、票数を公開せず、結果だけ出したって誰も気にしないわ! つまりその気になれば幾らでも——ッ!」

 

 いつの間にか熱くなり、自分が言っていたことが不味いことだと思い、そこで踏み止まったのだろう。そんな雪ノ下に、諭すようにその名を呼ぶ平塚先生。雪ノ下らしくない言動に、由比ヶ浜は瞠目させている。少し気まずい空気になったが、彼女は次に代替案を挙げる。

 

「……他の候補を両立して、選挙で勝つしか無いのでしょうね」

 

「そんなやる気のある人間なら、もう立候補してないとおかしいだろ」

 

 それにそう反論すると、雪ノ下は押し黙った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、その後は何も決まらずにその日の奉仕部は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 翌日、俺は意味もなく図書室に来ていた。いや、意味もなくではなく、例えば少し過去の生徒会に関わる資料とか、他にも有用な情報があれば得だと思って来たのだが、それは希望的な観測であって、本当にあるとは言い難いので、そういう意味では意味もない行動になってしまう。

 

 俺はあの後一晩通して考えてみた。何故あそこまで雪ノ下と由比ヶ浜は俺のやり方を否定するのかを。しかし、考えても分からなかった。いや、分かるのが、分かってしまうのが怖いというものあるのかもしれない。

 

「……生徒会の資料は」

 

 資料室近くの本棚に行くとそれっぽい資料が置いてあった。勿論手に取って確認したが、どれもこれもその生徒会がどういう行動をしてきたのかという系譜が記されているだけだった。肝心の選挙にまつわる情報が欲しいのだが。

 

 そう思ってまた歩き出すと、ふと少し高い棚から落ちて来たのか、少し年季の入った一つの本が開いた状態でポツンと床にあった。

 

「……図書委員、仕事しろよ」

 

 中々選挙に関わる資料を見つけられない苛立ちを、このようなところに本を放置する図書委員へ向けながら、俺はその本を拾い上げた。

 軽く手ではたいてから、その本のタイトルを確認する。

 

「……四聖武器書」

 

 中々に厨二チックな名前だ。過去の俺が好きそうだな。いや、俺は決して厨二病だったわけではない。ただ少しプリキュアを見ながら、ああ、魔法が扱えたらなぁとか思ってたりしただけだ。

 内容もちょろっと読んでみると、どうやら剣、槍、弓、盾の四つ武器を持った勇者が異世界から召喚されて、『波』と言われる厄災から国や人々を守るというものらしい。中々に面白そうだしなんだかラノベみたいだ。

 

 ……しかしあれだな。この物語に出てくるある国の姫がビッチ過ぎる件。あざとさなんて、昨日奉仕部に来た一色の百億倍は酷い。この姫は意図的に策略を組んで、散々人を巻き込んだ挙句、肉親までも陥れてやがる。ここまでの清々しいビッチは他に居ないぞ。もう一周周ってそのビッチ具合が良いという輩が出てきそうなまであるビッチさだ。

 

 亜人の国があるらしく、そこではどうやら盾の勇者が崇拝されているらしい。何故なんだろうか。ふむ……あぁ、色々と助けてくれたからか。なるほど。別にそこまで気にするほどの理由でもなかったな。

 

 そうして、剣、槍、弓の勇者のそれぞれの伝承を次々と読み進めていると、最後に盾の勇者のページが来る。

 

「……?」

 

 しかし、不思議なことにその後のページは全て白紙だった。何故か盾の勇者の伝承だけ何も記されていない。どういういじめなの、これ。盾だからなのか。というか今更思ったけど盾の勇者ってなんだよ。攻撃はどうすりゃええの。素手? 拳なの? 語り合っちゃうの? 

 

 そう考えると盾の勇者が一番勇者っぽくないな。

 

「……ま、こんなとこか」

 

 そうして、その本を閉じようとした瞬間、辺りに。いや、正確には本から光が溢れ出した。

 

「——は?」

 

 驚くこともなく、俺はただ呆然としながら、やがて意識を落とすのだった。

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