世界最強のヴィランお兄ちゃん   作:揚げ物・鉄火

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ついに十話の大台に乗りました。
今回は、あの場所との戦争です。…いや?どちらかというと一方的な蹂躙かもしれません。

前半は普通に日常の風景で、後半から一気に物々しくなります。

では、どうぞ。ごゆっくり!


第十話

「どんな感じだ?」

『あと二、三日ってところだな』

「そうか…なら、さっさと準備を進めないとな」

『なあ?本当にやるのか?』

「何をだ?」

『世界最強のヴィランが天然記念物扱いされる指定ヴィラン団体の本部を襲撃するんだろう?それも…たった一人の赤子を救い出す為に』

「何か問題でもあるのか?」

『いや?別に問題は無いがな…裏社会の連中がみ~んな浮足立っているぜ?『あの化け物がまた動き出す』ってよ』

「放っておけ。俺に実害がなければどうでもいい」

『ま、そうだよな?んじゃアンタが欲している死柄八斎會の情報は、これで以上だ』

「その情報は、確かか?」

『確かだ。『風の噂』*1で集めた情報だから間違いない』

「分かった…いつもの口座に振り込んでおく」

『おう。んじゃ、またな』

そこまで聞いて通話を切る。

 

「ふぅ…妹か」

信用出来る情報屋から襲撃場所の情報を得たLORDこと冷気は、背中に隠している『レミントンM870』をクローゼットの中に仕舞う。

 

「おーい、転弧。ちょっと来てくれるか?」

「どうしたの兄さん?」

大切な弟を呼んで、とある大事な話をするため片膝を突いて目線を合わせる。

 

「いいか転弧?今から凄く大事な話をするぞ。ちゃんと聞け」

「う、うん。どうしたの?」

いつも優しい憧れの兄の真剣な顔に転弧も緊張した顔付になる。

 

「お前はな…これから数日以内に」

「うん…」

兄の言葉を一言一句、聞き逃さないように全神経を兄の言葉に向ける。

 

「兄になる」

「………え?」

己の兄の言葉を聞いても全く理解できなかった。

そのせいで疑問の声が口から漏れ出た。

それを見越したかのように兄が再び口を開く。

 

「もっと簡単に言えばお前に妹が出来る」

「え?………え?は?え?え?うそ?本当!?」

脳がやっと理解した瞬間、転弧がパニックになる。

 

「本当だ。今から数日以内に妹が出来るぞ?」

「え、うそ…妹。え、どうしよ?ど、どうしたらいいかな?」

「どうもしなくていいぞ。俺が回収しに行くからお前は楽しみに待ってればいいさ」

楽しみと焦りと色んな感情が混ざり、うろうろしている転弧を宥めてキッチンに向かう。

 

「今日は、その前祝いだ。食いたい物全部作ってやるぞ?」

「えっ!?じ、じゃあイチゴケーキが食べたい!この前のお店で買ったヤツ!」

「この前って言うと…本場ヨーロッパで修行したパティシエの独立店か?めっちゃ舌が肥えてんな…別に良いけど」

転弧の注文を受けてスマホを取り出し店に電話を掛ける。

 

「ええ、そうです。イチゴケーキを一つお願いします。あと、三ヶ月後にちょっとした会食があるので、その時用にケーキを一つお願いします。はい。ええ、その通りです。相手は女性ですが、甘い物は余り得意ではありません。しかし長旅の後なので疲れも溜まっているでしょうし、少し甘めのケーキを一つお願いします。ええ、ではそれでお願いします」

通話を切り別の場所へと新たに電話を掛ける。

 

「もしもし?出張サービスをお願いしたいのですが…場所?海です。いえ正確には海岸沿いなんですが…ええ、そうです。二名でお願いします。コース?シェフにお任せでお願いします。全部前払いでお願い出来ますか?ええ、それでお願いします。日にちは、三ヶ月後です。名前?冷気です。はい。はい。ええ、それでお願いします」

ある場所へ予約を済ませて電話を切った。

 

「んじゃ最後だな…」

また別の番号に電話を掛けてスマホを耳に宛がう。

 

Oui(ウィ)?』

「オーケストラの予約をお願いします。三ヶ月後に海岸沿いの特設ステージで5~6曲弾いて貰えればいいので、費用は全てこっち持ちで負担するので頼めますか?」

フランスへ電話してフランス語で話されたので流暢なフランス語で返す。

 

『申し訳ございません。実は、半年後まで予約がいっぱいでして…それ以降だったら何時でも大丈夫なのですが』

「ほう…?」

まさか断れるとは思ってもみなかった冷気が少し考え込んでから口を開く。

 

「俺はLORDだ。それでも無理か?」

『なっ!?…悪い冗談は止して下さい。第一、仮に貴方が本物の世界最強のヴィランだったとして、なぜオーケストラなどを欲しがるんですか?』

「三ヶ月後に『煉獄の女王』が日本に乗り込んでくる。それを俺が迎え撃つんだが…その前に少しだけ食事をする猶予があるんだ。その間の演奏を頼みたい」

『…かしこまりました。では、貴方の手に日本の命運が握られていると考えてもよろしいですね?』

「そう考えて貰って構わない。それで?頼めるか?」

『ええ、何とか時間を作ってそちらに参ります』

「そうか。では頼んだぞ」

全ての予約を終えた冷気は、通話を切りスマホを破壊する。

 

「終わったぞ転弧!今日は、チーズINハンバーグでも作ってやるよ!」

「わーい!やったー!」

そして何食わぬ顔で弟の下に向かい、チーズINハンバーグを作る準備を始めた。

 

「美味いか?」

「うん!凄く美味しいよ!」

「そうか。なら良かった」

美味しそうに食べる弟を見ながら冷気は、コーヒーに口を着ける。

 

 

 

 

 

冷気が妹を迎えに行くと言ってから3日ほど経ったある日の昼下がり。

死柄八斎會の本部の正門が突如として盛大に爆発した。

 

「なんだ!?」

「カチコミか!?」

「何処のどいつだ!」

正門が破壊された事で死柄八斎會の組員である若い衆たちが拳銃や刀を持って集まって来る。

 

ダダダンッ!

 

しかし土煙の中から飛んで来た銃弾に頭を撃ち抜かれて三人同時に殺された。

 

「誰だ!?」

組員が三人殺された事に激怒した男の一人が刀を抜いて構える。

 

「………」ジャリ…

土煙が正門を吹き飛ばしたと思われる者の片足が現れた。

 

その足は、黒い軍靴と黒いズボンに覆われていた。

 

「…」ザリ…

更に一歩踏み出し足元まで伸びている物が見えた。

 

それは、黒いトレンチコートだった。

 

「…」ザッ!

更に一歩踏み出して上半身を露わにした。

 

上半身には、白いシャツの上に黒いトレンチコートと黒いジャケットを羽織り、黒いネクタイと金のネクタイピンを着けている。

そこまでなら普通の格好だっただろう。

問題は、それより上だった。

 

「ふっ…」

笑うような声を出した侵入者が顔に被っていた物は、笑顔仮面。

髪色は、海を思わせる青。蟀谷からは悪魔のような尖った角を生やしている。

 

「馬鹿な…!」

その姿を見た死柄八斎會の組員の一人がそんな声を漏らした。

 

侵入者の男の右手には、対物プラズマライフル.雷霆が握られており左手にデザートイーグルが握られている。

更に背中には、レミントンM870を背負っている。

足元には、四連ロケットランチャーが二つ置かれている。

 

「チワーッス!絶望のお届けに参りました!!注文してない?遠慮すんな。俺の奢りだ!」

そこまで一息で言い切った男は、ライフルを背中に背負い直し四連ロケットランチャーを構えた。

 

「LOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOORD!!!!!」

侵入者のヴィランネームを叫んだ男は、ロケットランチャーの弾が直撃して粉々に吹き飛んだ。

 

「クハハハハハハハハハハハハハハ!!!出すもん出して貰うぞ!死柄八斎會!!」

ロケランを連射しながら高笑いを上げたLORDは、撃ち終わったロケットランチャーを捨てて歩き出した。

 

「ロンドン橋落ちた、落ちた、落ちた。ロンドン橋落ちた、どうしましょう?」

無駄にいい声で童謡(ナーサリーライム)を口ずさみながら両手にデザートイーグルを持った世界最強のヴィランであるLORDが死柄八斎會に対しての蹂躙を開始する。

 

 

 

「今すぐ姐さんを避難させろ!組長(オヤジ)も避難してくれ!LORDが襲撃に来たんだ、全ての戦力を集中させろ!足止めを考えなくて良い!!殺す気でやれ!」

「はい!」

若頭の男が次々と指示を出して懐から拳銃を取り出し侵入者の攻撃に備える。

 

「クソッ!なぜよりにもよって今日なんだ!?組長(オヤジ)の初孫が生まれた日に襲撃してくるなんて何を考えてやがる!」

襲撃して来たLORDに対して悪態を吐きながら数名の部下を引き連れて銃撃音のする場所へと向かう。

 

「クソッ!大方の予想通りか…」

若頭の男が屋敷の影から顔を出して襲撃者を迎え撃っている組員達を見つけた。

 

そのほとんどが日本庭園の飾りや何かの影に隠れて襲撃者であるLORDに対して発砲しているが、銃弾がLORDに当たる前に凍った空気によって弾かれる。

一方のLORDが撃つ弾は、何にも遮られる事無く飛んでいる。

 

「クソがあああっ!!」

埒が明かないと思った一人の組員が武器を捨てて個性を発動させる。

その男の個性は、『熊化』。

己の肉体を熊のように変身させる個性だ。

熊特有のパワーと耐久性が自慢の男がLORDに向かって二足歩行で走って行った。

 

「熊?」

それを見たLORDがデザートイーグルを二丁とも仕舞い、背中に隠し持っていたレミントンM870を取り出して構える。

 

ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!

 

そして一切の躊躇なく装填してあった弾を五発全て発砲した。

 

一発目が熊男の胸に着弾。

二発目も胸に着弾。

三発目は、胸でなく腹に着弾。

四発目が顔に着弾し、最後の一発が再び頭に着弾した。

立て続けにスラッグ弾を五発も喰らった熊男は、顔を覚えられる事も無く一瞬で殺された。

 

「ここでは、熊まで飼ってんのか?凄い所だな」

レミントンM870に弾を再装填しながら、そう呟くLORDに対して組員達が再び銃口を向ける。

 

「撃てー!!」

誰かの叫びを合図に再び全員が銃を撃ちまくった。

 

「チッ!」

それに対しLORDがレミントンM870を乱射しながら移動し岩の影に隠れる。

 

「レミントンM870は、弾切れか…なら次だ」

弾が無くなったレミントンM870を背中に担ぎ直してコートの内側に隠し持っていたvz 61を二丁取り出す。

そしてアクション映画さながらの動きで岩の影から飛び出し、死柄八斎會の組員達に対して乱射し始めた。

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!

「ウアアッ!!」

「グァアア!」

「ギャアアア!!」

「お前らー!!」

組員が次々と凶弾に沈んで行く中、組員の一人が全身を鋼鉄化させてLORDに突貫した。

 

「死ねやぁあああ!!」

「ん?」

それを見たLORDがそちらに銃口を向けて連射するが弾を悉く弾かれた。

 

「無駄無駄無駄無駄!!俺様に銃弾なんて通用しねぇぞ!!」

「ふぅん…?」

両腕を顔の前で組んで突貫する男に対してLORDが取った行動は、vz 61スコーピオンを仕舞い背負っていた対物プラズマライフル.雷霆を撃つ事だった。

 

ドオオオオオオオオオオオオオン!!!!

 

雷帝から放たれた迸るエネルギー弾が男に着弾すると同時に空気を揺るがすような爆発音が響き渡り、男が跡形も無く消し飛んだ。

 

「呆けてる時間なんて無いぞ?」

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!

呆けている死柄八斎會の組員達に声を掛けるとリロードしたvz 61スコーピオンを再び撃ちまくった。

 

 

LORDが死柄八斎會を襲撃してから僅か十分、既に組員の半分以上が殺された。

一方のLORDは、一切の被害を被っていない。

真昼間に起こった理由の無いこの一方的な蹂躙劇は、後に『Play of the Lord(君主の戯れ)』と呼ばれLORDの悪逆非道さに拍車をかける事となる。

*1
情報屋の個性




はい、一方的な蹂躙劇ですよ。
時系列的には…原作の8年前くらい?を目安に書いているのでオールマイトもまだ全盛期の状態だし、死柄八斎會に居る治崎もまだ若いです。
それに八斎衆も全員集まっていないし、原作と色々変わっているので襲撃しやすくなっています。

今回のLORDの装備.
対物プラズマライフル.雷帝×1
レミントンM870×1
vz. 61スコーピオン×2
デザートイーグル×2
ワルサーp99×4
H&K HK45×4
マガジン各10ずつ
手榴弾×20
M84スタングレネード×10
コンバットナイフ×4
スローイングナイフ×50

となっております。

割りとガチ装備で死柄八斎會に乗り込んでいるのであまり苦戦していません。
次回は、原作メンバーとエンカウントすると思います。

では、また次回!
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