世界最強のヴィランお兄ちゃん   作:揚げ物・鉄火

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正直言って作者ですら何を書きたいのか良く分からないまま生まれた今回の話し。
せっかくの第二次氷炎戦争に始まりなのに、読んで「なんだこれ?」ってなりました。作者です。
それでも丁度都合の良い所で書き終えたので投稿です。

では、どうぞ。ごゆっくり!


第十五話

煉獄の女王が日本に到着するとされる一週間前。

日本はお祭り騒ぎとなっていた。

 

もうすぐ沈むかもしれないと噂されている上にLORDと煉獄の女王が確実に衝突すると言われている。

そんな国に誰が滞在し続けたいと思うだろう?誰も思わない。

 

その不安を煽るかのように一週間前に起こったエンデヴァーとLORDの衝突。

街一つがその機能を完全停止させるほどの氷と炎の衝突により人々に第一次氷炎戦争の恐怖を思い出せた。

そして人々は悟る。エンデヴァーとの衝突でこれほどの被害が出たのだ。

もし煉獄の女王とLORDが殺し合いを始めたら日本国は堕ちるだろう、と。

故に空港は出国したい人々でごった返していた。

 

すでに日本の経済は壊滅的な大打撃を受けているし、日本中の至る所で窃盗、強盗、暴行や暴動に殺人などの犯罪が起こり、もはや無法地帯と化している。

ヒーローや警察が出動して忙しなく動いているが事態は一向に良くならない。

事の発端たるLORDを捕らえれば良いと考える人間もいるが、それはこの上ない悪手だ。

LORDと雌雄を決す事を目的として日本に向かっている煉獄の女王が戦う相手が居ないと気づいた場合、交渉する暇も無く日本国を滅ぼすだろう。

 

頼みの綱であるオールマイトが煉獄の女王に勝てるかどうかも微妙な状況の中でLORDを捕らえる事は推奨されない。

故に日本の命運は、LORDの手に託された。そう言っても過言ではない。

 

 

「って状況なんだけど…どう思う?」

「いや、どう思うって…そんなの分からないよ」

「だよなぁ…」

場面は変わって冷気のマンションの一室で転弧が兄の質問に答えられないでいた。

日本の危機に呑気に昼飯を作っている兄に、これからどうするの?と問い掛けた所、なぜか現在の状況を説明された。

1週間後に迫ったLORDと煉獄の女王による氷炎戦争をまったく重大な事と考えていない兄に転弧は、ひたすら困惑した。

その困惑をよそに兄が再び問い掛けて来る。

 

「なあ、転弧。俺が…お兄ちゃんがお前や恵理の生まれ故郷であるこの日本が沈む事を黙って見過ごすと思うか?」

「え?どういう事?」

「そのままの意味だ。安心しろ、日本は沈ませない」

「え?兄さん、何を言って…氷炎戦争は、LORDと煉獄の女王の戦いで…その余波で日本が滅びる可能性があって…え?」

兄の説明を受けた転弧の脳が理解する事を拒む。

兄の言ってる事が本当なら兄は、世界最強の(ヴィラン).LORDという事になる。

 

転弧は、それを信じたくなかった。あの優しい兄が世界最強にして残虐非道なヴィランであるなんて信じたくなかった。

だが、一度湧いた疑問は、徐々に大きくなる。

思えば不可解な出来事はいくつもあった。

 

そう言えば自分は、両親の顔を知らない。

自分が赤ん坊の頃の写真が一枚も無い。

兄も自分の写真を一枚も持っていない。

本人は、写真に写る事が嫌いだと言っているがどうも怪しい。

いつも兄が出掛ける時、ほぼ絶対の確立でヴィラン.LORDが現れる。

兄が仕事をしている姿を見掛けた事が無いのにこのマンションを管理出来るだけの資金がある。

家に泊まりに来た金髪のお姉さんのカバンに銃やらナイフなどの武器のカタログが入っていた。

妹を連れて来た日のニュースで、死柄八斎會がLORDに襲撃されたと流れていた。

そして今の兄の発言で疑問が確信に変わった。

 

あの優しい兄は、世界最強の(ヴィラン).LORDだったのだ。

 

「はっ…はぁっ…!」

それを脳が理解した瞬間、息が苦しくなる。

息が苦しい。吐き気がする。全身に鳥肌が立つ。寒い。怖い。

人を遊び感覚で殺すアレ(LORD)が自分の兄だったなんて信じられない。信じたくない。

だが疑問が確信に変わった今、それを信じずには居られない。

早く逃げないと。そう思うが足が竦んで動かない。

 

「痛っ!」

足に鞭を打って何とか動こうとするが転んでしまう。

軽くぶつけた鼻をさすりながら顔を上げると、そこには兄が立っていた。

 

「に、兄さん?」

声を掛けるが返事が無い。

恐る恐る顔を上げると黒いトレンチコートを羽織った兄が居た。

だがいつもと違う点は、その顔だった。

いつもの見慣れている優しい笑顔や時々見せる何かを考え込むような表情ではなく、表情が窺えないように笑顔仮面を着けていた。

 

「L、LORD…!?」

相手のヴィランネームを口にするとLORDが片膝を突いて顔を近付けてから笑顔仮面に手を掛ける。

 

「バァ…!」

「ひぃっ!?」

笑顔仮面を退かして顔を覗かせたのは、案の定さっきまで疑っていた兄だった。

それに思わず後退るが足を掴まれて引きずられる。

 

「や、やだ!助けっ…!?」

「静かにしてろ…転弧」

何とか逃げようと藻掻くと口を塞がれて押し倒された。

倒れる時にもう一つの手で頭が地面にぶつかる事を防がれたのがせめてもの優しさだろう。

 

「安心しろ転弧…お前達には手出ししない。信じられないなら天の契約書(ヘブンズディール)でも使ってやろうか?」

「んん!!んんっ!」

「取り敢えず寝とけ…起きた頃には全て忘れているはずだ」

話している途中で逃げ出そうと藻掻いていた転弧の額を軽く小突いた事で気絶させてからベッドに運んだ。

 

「よし…じゃあ、あとは」

そこまで言った所で玄関ドアが破壊された。

 

「はぁ…修理費くらい出して貰うぞ?」

「撃てーっ!!」

笑顔仮面を装着してため息をついたLORDに特殊急襲部隊(SAT)の隊長が発砲命令を出す。

同時にLORDがマンションの自室の玄関以外の全てに特殊な氷でコーティングしてからSAT隊員百数名を相手に一方的な虐殺を始めた。

 

 

 

 

手始めに隊長と思われる男にデザートイーグルの銃口を向けて躊躇無く発砲。

.50 AE弾の装填されたデザートイーグルから発砲された弾丸は、防弾ヘルメットを貫通し隊長の命を一瞬にして奪った。

そのまま銃口を別の隊員に向けてまた発砲。

続けて発砲。発砲。発砲。発砲。発砲。発砲。発砲。

両手に一丁ずつ持ったデザートイーグルが空になるまで発砲を続けた結果、約30人の隊員を虐殺。

その後に体内に保管してあるGAU-8 Avenger(アヴェンジャー)をセット。

更にデザートイーグルを再装填(リロード)し待ち構える。

 

「おや?以外と学習するんだな」

向かって来る第二陣の姿を見たLORDが少し感心したように呟いた。

 

第二陣は、防御系の個性を持ったヒーローと隊員を戦闘に全員がバリスティック・シールド(防弾盾)を持って前進している。

たしかにそれ(防弾盾)を使えば普通の銃弾くらいなら防げるだろう。物によってはショットガンのスラッグ弾も防げるだろう。

 

「じゃあ、全員死ね」

だが、今回はあまりにも脆過ぎた。

相手は、LORD。そしてLORDの用意した兵器は、GAU-8 Avenger(アヴェンジャー)

そしてその弾薬は、30㎜口径弾。戦車の装甲ですら貫通する弾丸。

この程度の装備では、防ぎ切る事は到底不可能だった。

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!

 

戦車の装甲をも貫く威力を誇る徹甲弾を分間.3900発も連射するGAU-8 Avenger(アヴェンジャー)の攻撃により最初の数秒は耐えたものの、すぐに防御が破壊されミンチにされた。

続いてバリスティック・シールド(防弾盾)を展開していたSATの隊員達が30㎜口径弾の脅威に晒される。

弾丸を防げるはずのバリスティック・シールド(防弾盾)がまるで紙切れのように破壊され残っていた隊員達の殆どが同じようにミンチになった。

それでもしぶとく生き残った隊員の一人が顔を出しLORDに銃口を向けるが先にデザートイーグルに頭を撃ち抜かれて殺された。

 

「ふぅ…終わったか?」

SATを全滅させたLORDがマンション中に張り巡らせた氷を隊員達の亡骸ごと回収し、一点に圧縮。

大きさ数センチの赤黒い球体に変化させたそれを警視庁に『次、邪魔したら潰す』と書かれた手紙ごと送りつけた。

尚、警視庁に届いた頃に圧縮された玉が広がり無惨な死体が晒される仕組みになっているので警視庁は、これが脅しでは無く警告であると理解させられる事になったが、それはまた別の話。

 

「あぁーっ、腰痛ぇ…」

総重量が1.8tもあるGAU-8 Avenger(アヴェンジャー)を再び体内に収納したLORDが腰を擦る。

 

「あっ!鍋の火点けっぱなしだった!」

急に思い出したように手をポンと叩いて急いで鍋の火を止めに戻った。

 

その1時間半後に起きた転弧は、何か大事な事を忘れているような気がしたが昼ご飯が大好きな味の染みた肉じゃがだったので、細かい事はさっさと忘れた。

ちなみに冷気は、妹の世話で相変わらず寝不足だった。

 

 

煉獄の女王が日本に到着する3日前。

日本政府と日本のヒーロー協会が記者会見を開いた。

 

内容は、『LORDと煉獄の女王の衝突について、我が国の対応』であった。

全国民が今すぐにでも知りたい情報を開示するため、この会見は生放送で行われた。

 

そこで日本政府が出した結論を要約すると『我々、日本政府にLORDと煉獄の女王の衝突を止める術が無いため『第二次氷炎戦争』中は、傍観に徹する。』との事だった。

 

この結論に記者達は、荒れに荒れた。

罵詈雑言が飛び散り幾人かの記者が政府の役人の胸ぐらを掴み声を荒げた。

それほどの発言だった。

だが残念。これは政府の上層部が出した苦渋の決断。

もはやこれ以外に方法が無いのだ。

すでにLORDを捕らえに行ったSAT部隊が全滅させられ、LORDの日本政府に対するただでさえ無い信用がマリアナ海溝よりも降下してしまったのだ。

決戦の地を日本と決めた両者の戦いを邪魔しようものなら協力して(・・・・)その邪魔者を消すだろう。

 

荒れた記者会見の現場に続いて訪れたのは、日本のヒーロー協会の会長。

元プロヒーロー.オール・ジャスティス。

本名.近藤 正義

 

元プロヒーローでありヒーロー協会の会長である彼に記者達が期待の眼差しを向けた。

しかし、彼が出した結論も同じだった。

「我々、日本ヒーロー協会はLORDと煉獄の女王の正面衝突である『第二次氷炎戦争』中は、あくまで傍観者として居る事に徹する」

そう言い切った彼に記者達の怒りが再燃したが次の言葉に全員が黙らされた。

 

「そんなに言うのであれば、自分達が行って下さい。我々は、100%死ぬと分かっている場所にヒーロー達を送るほど残酷な決断は下せません」

その言葉を聞いた誰もが黙ってしまった。

誰も反論できない。

ヒーロー達は、たしかに自己犠牲の精神があるが先の第一次氷炎戦争で数百人のヒーローが成す術も無く殺された事を知っている。

なので日本のヒーロー協会会長の下した決断に誰もが納得せざるを得なかった。

 

その後、数回の問答があっただけでお通夜のような記者会見が終わった。

 

そして、

 

ついに、

 

煉獄の女王が日本に到着する一日前になった。

 

そして、

 

煉獄の女王が到着すると思われる場所に、

 

世界最強の(ヴィラン).LORDが立っていた。




一応『第二次氷炎戦争』編が始まった…はずなんですけど。
どうなんだろう?これで良いのかな?ってなってる作者です。

次回は、戦争の前準備(兵器到着)と煉獄の女王の到着です。…多分…きっと…恐らく…そうであって欲しい…。
では、また次回!
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