世界最強のヴィランお兄ちゃん   作:揚げ物・鉄火

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ヒロアカ333話でアメリカのNo.1ヒーローの活躍を見て心の中のLORDさんが敬礼しながら「見事だ…」と誇り高い戦士に向けるような眼差しで呟きました。
自分の作品では、試合に勝っても勝負に負けるだろうな…と思いました。作者です。

それに比べてこの作品は…全然進んでないじゃなか…ちくしょう。

なんだか気分が落ち込んでいます。
では、どうぞ。ごゆっくり!


第十六話

日本に向かって来る煉獄の女王の進路から計算して彼女が到着すると予想される場所は、海に面した日本の都市の一つ。

その都市の保持する砂浜に煉獄の女王が到達すると予想された。

 

すでにその都市の住人全員に避難命令が発令され、人的被害を極力抑えられるように立入禁止の指示が出された。

都市が機能を停止してから三日。既に誰も居てはいけないはずのこの危険地帯に二つの人影があった。

 

「先輩、マジでヤバいですって!早く帰りましょうよ!」

「バッカ!ここまで来て手ぶらで帰れるか。せめてLORDの素顔を激写してから帰るぞ」

カメラを持ったスーツ姿の女性に同じくスーツ姿の男がそう返した。

二人は、同じ新聞社に所属する先輩と後輩であり、この地で始まるであろう第二次氷炎戦争開戦の当事者であるLORDの素顔を激写するまで帰るつもりがないらしい。

これ以上ない危険区域に足を踏み入れたこの者たちは、勇敢と言うべきか、はたまた無謀と言うべきか。

本社の命令に背き、この場所に赴いたと言う事は、命を捨てる覚悟があると考えるべきだろう。本当に覚悟あるかどうかは別として。

 

その二人が待機している場所に銃を持った二人の警備員が近づいた。

 

「お前達!ここで何やってるんだ!?」

「ここは立入禁止区域だぞ!今すぐ逃げろ!」

一人目の警備員の言葉に焦ったが二人目の言葉に二人とも頭に疑問符を浮かべた。

 

「あ、あのそれってどういう…」

ズゥゥゥゥゥン

 

女性記者が警備員の一人に質問するより先に大地が震えた。

 

ズゥゥゥゥゥン

 

大地が再度震えて誰も立っていられなくなる。

 

「な、なんだ!?」

「ヤバい!もう来やがった!」

「来たって何が!?」

警備員が焦った様子で二人を避難させようとするが男の記者は何がなんだか分からない様子で辺りを見渡す。

 

ズゥゥゥゥゥン

 

「痛っ!…え?」

再度訪れた振動によって女性記者が倒れてしまい…ソレを見た。

 

「せ、先輩!あれ!」

「あ?なんだよ?…あ」

先輩記者の袖を引きながら指差した方に全員が向けると、そこには絶望が立っていた。

 

ソレは、周りの高層ビルの間から姿を現した。

一目で細身ながらも引き締まった肉体。

蟀谷からは悪魔のように尖った角が天に向かって伸びている。

その手は、ビルに触れると触れた場所から凍らせて圧し折っている。

その指先は、獰猛な肉食動物の爪のように鋭い。

その口元から覗く牙は、鋭く尖っており呼吸音に合わせて周りの空気を凍らされている。

獲物を逃さない強い意志が込められた瞳孔が縦に割れた金色の瞳。

すでにこれだけで圧倒的な強者だと理解させらるだろう。

だが一番の問題は、その出鱈目な大きさだ。

その化け物の大きさは、周りの高層ビルとなんら変わらない。

下手すればそれらより大きいかもしれない。

 

だが一番の問題は、その化け物ではない。

その化け物の上に胡坐をかいて座っている更なる化け物。

黒いトレンチコートを羽織り黒いスーツ姿の男。

その背中には、対物プラズマライフル.雷霆を背負っており黒い革手袋を身に着けている。

そして顔に笑顔仮面を被った正真正銘の化け物。

世界最強の(ヴィラン).LORD。

 

一般の人間が手を出してはならない災害にも匹敵する絶対的な君主。

 

そのLORDが高層ビル並の大きさを持つ氷の巨人から飛び降りて地面に降り立った。

その時の着地は、片膝と片手の拳を突き、もう一方の腕を上げたままの着地。

いわゆるスーパーヒーロー着地(膝に悪い)だった。

 

「…」

地面に降り立ったLORDが記者達を一瞥してから歩き出した。

まるで雑魚に興味はない、と言わんばかりに歩く。

少し歩いたLORDが砂浜に氷製の椅子を作り出して座った。

 

「我々に興味が無い…って感じですかね?」

「ムカつくが…そうみたいだ。恐竜が一々足元の蟻を気にしないようにLORDも俺達に興味が無いようだ」

一人の警備員の言葉にもう一人の警備員がそう答えて避難の準備をする。

 

「あれ?先輩、LORDの写真を撮らなくていいんですか?」

「良いか?あの化け物は、すでに俺達に気付いている。その上で脅威にならないと判断したから俺達は、生きているんだ。それを忘れるな」

後輩記者の質問に先輩が心底安堵した様子で返す。

 

「今、我々が生きていられるのはLORDの気まぐれです。その気になれば死んだと気づく暇も無く我々を殺せるあの化け物の気が変わらない内に早く避難しましょう」

遠くに佇むLORDを見てそう言った警備員が記者二人を避難させ、装甲車に乗り込みさっさと街の外へと避難した。

 

 

 

 

「行ったか…」

一方のLORDは、記者達と警備員が避難した方向を見て呟いた。

 

「邪魔者が居なくなって丁度いい。もうそろそろ到着する頃だしな…」

そう言うや否や遥か遠方からヘリキャリアを思わせる飛行船が六隻飛んでくる。

それぞれが列車砲を一台吊るしているようだ。

その後続に20機の飛行船が四機係で一つのコンテナを運んでいる。

コンテナの数は、全部で5基。さらに海上には、8隻の巨大戦艦がゆっくりと近づいて来ている。

それらを先導するように一機のヘリが飛んでいる。

 

やがて先導していたヘリが砂浜に着陸すると中からサングラス姿の金髪の女性が現れる。

 

「Hay!来たわよLORD!」

片手を上げて元気よく挨拶をしたのは、世界最重要指名手配犯の一人『破滅の女狐』こと雷帝。

真の名を雷禍。LORDの友達である。

 

「ああ、久しぶりだな…」

「もうノリ悪いなぁ!もっとテンション上げなさいよ!」

何故か無駄にハイテンションな雷禍を疑問に思ったLORDだったが彼女の口元からアルコールの臭いがした事で理解した。

 

「誰だ!こいつに酒を飲ました大馬鹿は!?こいつは死ぬほど酒癖が悪いんだぞ!?」

LORDがヘリに向かってそう叫ぶが全く返事が無い。

それを疑問に思っていると雷禍が説明を始めた。

 

「返事する訳ないじゃ~ん?全員ロボットなんだよ?ちなみにコントロール権は、私が全部持ってます!」(`・∀・´)エッヘン!!

「馬鹿か…?」

その説明にLORDが思わずと言った様子で答えた。

誰がこんな酔っ払いにロボット全機のコントロール権を与えたんだ?半殺しで済ませてやるから出てこい。

LORDは、頭を抱えたい気持ちを必死に抑えて雷禍の介抱を始めた。

 

 

雷禍の介護を始めてから数十分後。

 

「おえぇぇぇ…」

「よーしよし、吐け。楽になるまで吐け」

LORDは、女性として色々と失った雷禍の背中を擦っていた。

 

「うっぷ…ふぅ、楽になったわ…」

「どうしてそうなるまで飲んだんだ?」

「それは…まあ、いろいろとね?」

吐き終えて楽になった雷禍にLORDが問うが本人はバツが悪そうに誤魔化した。

 

「分かった…それで?注文の品はどうだ?」

「ああ…揃ったわよ」パチンッ!

雷禍を気遣いLORDがわざと会話のテーマを変えて質問する。

口元を拭った雷禍が指をパッチンと鳴らして待機していたロボット達に一斉に指示を出す。

 

「ふぅ…あんな大量の武器と弾丸を五億発も3ヶ月以内に用意してくれって言われた時はぶっ飛ばそうと考えてたけど、以外と用意出来るもんなのね?」

ロボットが赤と青の五つのコンテナの扉を開けて中の積荷を見せる。

 

「あんたの望み通りにコンバットナイフ3000、スローイングナイフ5万、重機関銃300、軽機関銃500、対物・対人ライフルをそれぞれ3000とガトリングガンを5000、途中でAvenger(アヴェンジャー)に変更できるかって要望があったけど無理ね。M61で我慢しなさい。あとは、サブマシンガンを7500とハンドガンを5000」

「弾丸も五億発よ。煉獄の女王と戦う事を想定して全金属の中で融点の最も高いタングステンの合金を素材に作ったわ…残念だけどこれ以上の弾丸は、この世に存在しない」

弾丸が詰まったコンテナ1基と武器が大量に詰まった4基のコンテナを順に紹介していく。

 

「他にも注文通りに列車砲を六両と巨大戦艦八隻。斬艦刀を四振りに貨物船を十二隻。全部待機させているわ」

最後にLORDに双眼鏡を渡し、待機させている巨大戦艦と大型貨物船を見せる。

 

「列車砲は…街中で良い?」

「ああ、それで頼む。砲塔が一点を狙うように配置してくれ」

「了解…んじゃ、これで全部ね」

注文された商品の確認を終えた雷禍が懐から一つの黄色の契約書を取り出す。

 

「じゃあ、開戦直後にインドラの矢を一発撃てば取引完了ね。ほら、さっさとサインしなさい」

「…天の契約書(ヘブンズディール)を使ってまでやる取引か?」

「私にとってはそうよ。はい、早くサイン頂戴」

「はぁ…」

黄色い契約書にサインをするように()かす雷禍に対してLORDが一つ溜め息を吐いてからボールペンを取り出し筆記体でサインを書き入れる。

LORDがサインすると契約書が発光してして契約完了を知らせる。

 

「いくらだ?」

「なにが?」

「この兵器の値段だよ。軽く100億は越えるだろ」

「ああ…そうね…」

戦艦や列車砲やらコンテナ一杯の武器の合計を聞かれた雷禍が先程の契約書を片手に説明を始める。

 

「タダよ…」

「は?」

「あんたに大きな借りがあるからさ…それを纏めて返す為に第二次氷炎戦争の武器を全部用意したのよ。ほら、契約書にもそう書いてあるでしょ?」

「大きな…借り?」

「あんたが昔、風神を倒したから今の私が生きているのよ。その借りを今ここで返すって訳…分かるでしょ?」

口を挟む隙も与えずに説明を終わらせた雷禍がLORDの胸に自分の拳を押し当てて笑ってみせる。

 

「頑張んなさい!」

「ああ…分かった!」

雷禍からの気合を受けたLORDが胸を叩いて答える。

 

 

雷禍が全ての飛行船とロボットを退避した頃。

LORDが砂浜で力を溜めていた。

 

 

「じゃあ離れてろ。ちょっと本気出す」

「はいはーい」

LORDの言葉に迎えのヘリに乗った雷禍が遠ざかる。

 

「スー…フー…」

その直後にLORDが深く息を吸って、大きく吐いた。

 

「ハッ!」

気合を入れるように足を踏み込み砂浜を凍らせて行く。

 

「我が王であり支配者である…我が貴様等の創造主である…我が呼び声に答え、その力を振るえ。我に従い、我の為にその命を使い果たせ…世界は我が手中にあり(ザ・ロード)!!」

LORDがそう口にすると砂浜全体の気温が一気に下がる。

 

霜が降りそうなほどに気温が低下した砂浜が一気に凍り付き、その中から無数の氷人形(アイスドール)が現れる。

それ等は全て最低でもカテゴリー3に分類される氷人形(アイスドール)

それぞれが最低でもプロヒーローと同等の戦闘力を持っており、その全てがLORDに絶対の忠誠を誓っている。

更にその全ての氷人形(アイスドール)の前に一組の男女が現れる。

 

『騎士型氷人形(アイスドール)総勢10万体の総指揮を任されております。カテゴリー5の氷人形(アイスドール)。氷の騎士団.二代目騎士団長.アイナ。御身の前に』

『兵士型氷人形(アイスドール)総勢13万体の総指揮を任されております。カテゴリー5の氷人形(アイスドール)。氷獄の王.直属部隊.最高司令官氷河。御身の前に』

片膝を突いて忠誠を示したのは、五体しか存在しないカテゴリー5の氷人形(アイスドール)。その戦闘力は、トップヒーローをも上回るLORDの持つ最高戦力である。

 

13万体全てに武器が行き渡るように調整された兵士型氷人形(アイスドール)の軍団。

10万体全てが各々の得物を持ちいつでも戦える騎士型氷人形(アイスドール)の軍団。

それ等の指揮を任されたカテゴリー5の氷人形(アイスドール)が二体同時に顕現している。

八隻の巨大戦艦と六両の列車砲も待機している。

更にLORDが乗って来た超巨大氷人形(アイスドール)が8体が少しずつ作り上げられて行ってる。

それに加えて世界最強のヴィランであるLORD本人も戦闘に参加する。

どんな軍事国家でも裸足で逃げ出すレベルの戦力がこの砂浜に集結した。

 

それでもこの程度(・・・・)の戦力では煉獄の女王には、決して敵わない。

だが、やれるだけの事はやった。

これ以上ない戦力を一ヶ所に集中させて煉獄の女王を迎え撃つ準備が出来た。

 

 

 

 

「サブマシンガン持ちとショットガン持ちはナイフを使うな。ハンドガン持ちはナイフを持て、アサシン部隊はスローイングナイフだ」

『報告!12時の方向に巨大な水蒸気柱を確認!煉獄の女王です!』

偵察を任されていた兵士型氷人形(アイスドール)が偵察衛星を使って煉獄の女王を発見し、兵士型に武器を装備させていたLORDに報告する。

 

「…分かった。おい、氷河。全艦所定の位置に着いたか?」

『全艦所定の位置に着きました。いつでも戦闘可能です』

「よし…煉獄の女王の推定到着時間は?」

『18時間後です!』

推定到着時間と超巨大戦艦の状態を確認したLORDが通信機を仕舞い新しく指示を出す。

 

「おい、兵士型から適当に100体着いて来い。最後の準備をするぞ…」

そう言ってコートを翻したLORDが100体の兵士型氷人形(アイスドール)を引き連れて街中に向かった。

 

 

 

第二次氷炎戦争開戦まで…あと20時間。




キャラ解説.

風神.
元・世界最強の一角。
ヨーロッパのプロヒーローだった。
雷禍の天敵だったが完全にヴィラン化したLORDに胸を貫かれて殺された。


ヴィランネーム.雷帝。
本名.雷禍・サンダース・ミラージュ・ウォルター(ドイツ籍)
世界最重要指名手配犯の一人.『破滅の女狐』

解説.
世界最強の一角を担っているガチの化け物である雷帝。
「刺繍針から大陸間弾道ミサイルまでなんでもござれ!欲しい武器があったら連絡してね☆」をモットーに活動している。
大体の武器を調達してくれるが急ぎで頼むと少々高くなる。

『破滅の女狐』.
世界最大の武器商人である雷帝につけられた通称。
昔(10年前)は、二つの国を同時に騙した事から『女狐』と呼ばれていたが契約違反を起こした相手が次々と破滅の道を辿って行くので『破滅の女狐』と呼ばれるようになった。
契約さえ守れば何にもしてこない。


用語解説.

天の契約書.
スゲー契約書。
自分と相手を魂の領域で縛る契約書。破壊不可能。
魂を縛っているので逃げても無駄。
両者の同意の下で破棄可能。


何とか武器の調達に成功した…次回こそ煉獄の女王が到着する予定です。
到着するかな?なんやかんや言って引っ張りまくっているし…早く戦闘シーンを投稿したいなぁ。

では、また次回!
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