「バーニングゴジラ…」
と。
「ッ!」
LORDは、漏れ出た言葉に思わず口を塞ぐ。
そしてすぐに悟る。
アレは、ヤバい。
もはや巨大戦艦や列車砲等の巨大兵器で如何にか出来る存在では無い。
『一つの強力な個を倒すのに弱者が数で攻めても意味が無い。同じくらい強力な個の加勢がいる』
ふと、誰かの言葉を思い出したLORDが両手を合わせた。
「
両手を合わせたまま小さく呟くように口を開く。
それに合わせてバーニングゴジラが海の砂を結晶化させ岩盤を溶かしながら一歩進んだ。
『てーい!』
ドドドドドドドン!!
後方の巨大戦艦からバーニングゴジラの背中に向けて砲撃が開始される。
もはや敵わないと知りながら巨大戦艦に搭乗している氷人形達は、己の主たるLORDの為に可能な限り時間を稼ごうと健気に戦い続けている。
これ以上近づけば確実に死ぬ。そうと分かっていながら攻撃の手を緩めようとしない。
魚雷だけでなく戦艦に搭載されたガトリング砲をも利用しバーニングゴジラの注意を引こうとしている。
『…………』
それを煩わしく思ったバーニングゴジラが巨大戦艦の方にその巨体を向けた。
『お前達と共に戦えて光栄だった。また会おう同士よ!』
『全砲塔!一斉掃射!!』
巨大戦艦のリーダー格の氷人形が他の者達に感謝の言葉を伝え、最後の指示を出す。
その指示に従い巨大戦艦に残っている全ての砲塔でバーニングゴジラに砲撃を開始した。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
その攻撃に対してバーニングゴジラが口から火炎放射にも似た赤みを帯びた熱戦を放つ。
その一撃が残る全ての巨大戦艦に直撃し、その全てを跡形も無く消し飛ばした。
あまりにもあっさりと残された巨大戦艦が全て消し飛んだ。
『…………』
邪魔だった
「……」
笑顔仮面の奥で表情を変えたであろうLORDが手を合わせたままバーニングゴジラを見る。
『ガァアアア!!!』
LORDに狙いを定めたバーニングゴジラが口を開き口内に超高温のエネルギ―を充填していく。
ソレの温度は、先程の巨大戦艦を消し飛ばした時に放った光線の数倍以上の熱量。
エネルギチャージの温度だけで周囲の大気が歪むほどの熱量が口内に集まって行き…
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
膨大な熱量の光線を放出した。
『我等が王を死守しろ!!』
バーニングゴジラの放った高熱の光線がLORDに直撃する前に一体の氷人形が指示を出し、残っていた10万体の氷人形達が一つの巨大で分厚い氷の壁となった。
氷の壁となった氷人形達にバーニングゴジラの放った超高温の光線が直撃する。
巨大戦艦を一瞬で破壊した光線をその壁が完璧に防ぐ。
しかし防げる時間は、ほんの数秒。氷の壁は、5秒ほどで罅が入り始めじわじわと溶け出す。
「良く頑張ったな…
氷の壁の壁が破壊されたと同時にLORDの体を大量の氷が覆った。
カッ!!!
ドッガ――――――ン!!
氷の壁を貫通した光線がLORDの立っていた場所に直撃し大爆発を起こす。
ズゥゥゥゥゥゥン!!
爆発した時に立ち昇った煙の中から巨大な足が姿を現す。
ズゥゥゥゥゥゥン!!
もう一度同じような振動が起こりもう一方の足も姿を現した。
『………』
煙の中から姿を現したソレは、周囲を一瞥してから咆哮を上げる。
『グルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!』
己以外の全ての生物に己の存在を知らしめるように咆哮を轟かせたソレは、バーニングゴジラに向き直る。
太い両足に巨大な胴体、背中には背びれのような物が3列に並んでいる。その体に不釣り合いな小さな腕を持ち恐竜を思わせる頭部に体より長く太い尻尾を持った巨大な氷で出来た怪物。
ソレは、最強の怪獣王を模した姿。
LORDこと冷気が人生初の戦闘で使用した姿。
人々は、その怪獣に畏敬の念を込めてこう呼ぶ…
『………』
『………』
瓜二つの二体の巨大怪獣が真正面から向き合い同時に口を大きく開く。
ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
キィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!
両者共に全力の光線を放った。
バーニングゴジラは、全てを融解させる超高温の光線を。
ゴジラ(ハリウッド版+氷製)は、原子レベルで全てを凍らせる絶対零度の光線を。
それぞれが己の得意とする一撃を同時に撃った。
両者の得意とする光線技の衝突により光線の衝突地点で膨大なエネルギーの奔流が巻き起こる。
だがそれもやがて決壊し大爆発を起こす。
爆風により瓦礫の山になった街の瓦礫が根こそぎ吹き飛ばされ完全な更地と化した。
更に吹き飛ばされた瓦礫が周囲20キロ圏内の建物に直撃し幾つもの建造物が軒並み倒壊を始める。
それだけでなく爆発時に轟いた爆音により崩れ無かった建物の窓ガラスが全て割れ落ちた。
海側も甚大な被害を被っている。
海が一気に蒸発し元に戻ろうと迫っていた海水までもが近づく暇もなく蒸発させられた。
さらに海底までもが膨大な熱に
『………』
『………』
それだけの被害を与えた当事者達は、相手を見据えたまま一歩も動こうとしない。
『ギュオオオオオオオオオオン!!』
『グルオオオオオオオオオオン!!』
やっと動いたかと思うと一気に駆け出し正面衝突した。
衝突した二体の怪獣の温度差の影響で突風が巻き起こる。
ほぼゼロ距離で放たれた光線の衝突でお互いが吹き飛ぼうとも大地を強く踏みしめて持ち堪える。
『ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!』
バーニングゴジラが雄叫びを上げてゴジラに突進した。
『グルォオオオオオオオオオオオオン!!!??』
予想だにしなかった攻撃にゴジラが耐え切れず遥か後方へと吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたゴジラが更地となった街にその身を叩き付けられ苦悶の表情を浮かべるが直ぐに立ち上がろうと動き出す。
ゴジラが立ち上がろうとしているとバーニングゴジラ基、煉獄の女王が歩みを進め…ついに日本に上陸を果たした。
『ガァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
キュイイイイイイイイイイイイン!!
立ち上がったゴジラが絶対零度の光線を溜め無しで放つ。
『ギュアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
それに対しバーニングゴジラが超高温の熱線を放った。
再度衝突する光線がまたもや大爆発を起こす。
さきほどの爆発と比べれば小さな物だが、それでも被害は甚大だった。
更地になったとは言え街中で放った光線技の衝突は、辺り一帯を凍らせ燃やし地面に巨大なクレーターを幾つも形成し大地を抉った。
その数秒後に二体の怪物が再度衝突した。
そこからは、怪獣映画の最終決戦にしても遜色ない一戦となった。
ゴジラがバーニングゴジラに飛び掛かりバーニングゴジラが全身を使って躱し尻尾を振って攻撃した。
バーニングゴジラの放った光線を躱しゴジラが短い腕でラリアットを喰らわせた。
バーニングゴジラの光線を喰らい海に吹き飛ばされたゴジラが時速50ノットで迫って来た大型貨物船を一隻ずつ片手で掴み上げバーニングゴジラを殴った。
さらにまた別の大型貨物船を握り尻尾を巧みに使いバーニングゴジラに向かって九隻の大型貨物船を投げた。
バーニングゴジラは、それらを熱線で焼き切りゴジラに向き直った。
しかし、ゴジラが最後の一隻を両手で振り上げてバーニングゴジラに大型貨物船で殴り付ける。
バーニングゴジラもお返しと言わんばかりに尻尾を叩き付ける。
二体の超巨大怪獣の戦いにより大地が震え、海が荒れて、空が割れる。
光線を避けると大地が熔解し海が凍り付く。
まさに災害。否、天災。
最強同士の戦いは、人知の及ばない物と化した。
しかし、その戦いにも終わりが訪れようとしていた。
それは両者がバーニングゴジラとゴジラを解除したからだ。
「ふぅ…」
「はぁ…」
姿を晒したLORDと煉獄の女王が同時に溜め息を吐く。
「面倒くさい!!」
「怠い!飽きた!」
そして同時に本音を吐き出した。
お互い、この終わらない戦いに辟易していた。
弱体化したLORDが予め準備を進めた影響もあって実力が拮抗し、互いが互いの弱点属性であり同時に得意属性でもある。
それに加えて過去に一度、本気の殺し合いを演じたから相手の出方や技も大体分かる。
お互いに戦闘のプロだからこそ相手の癖も知っているし弱点も大体察せる。
自分の嘗ての弱点を一番よく知っているのは己自身だ。だからこそ、その弱点を克服出来るようにして隙を晒さないように戦っている。
それだけならまだしも両者共にエネルギーが無尽蔵に生み出されるのだ。
お互いにエネルギー切れを起こす事が無いし、そもそも肉体が氷で形成されているLORDと炎で形成されている煉獄の女王は、肉体の損傷が一瞬で回復するので永遠に決着が着かない。
(だが体力は、無尽蔵ではない)
1年前ならお互いに決着が着くまで存分に戦っただろう。
しかし、今の二人は昔と違う。
LORDには、転弧と恵理と言う守るべき家族が出来た。
煉獄の女王に至っては、ヴィラン活動をする理由がさほど残っていない。
だが自分の最後の戦いを黒星で終わらせるのは、御免被る。
身勝手だって?その通り、
一瞬で同じ思考に到達したLORDと煉獄の女王が各々の一番得意とする構えを取った。
「Shall we Dance ? Ms.Asuka」
「Yes,let's. Mr.Zero」
冷気の問いかけに煉獄の女王が返した。
お互いの意思を確認した両者は、一秒足らずで10メートル以上あった距離を詰めた。
そして生身での激戦が始まる。