駆け出した三人が衝突した。
オールマイトの拳が闇の帝王の腹部に炸裂し、闇の帝王のエネルギーを纏った手刀を氷炎の覇者が左手で止め、氷炎の覇者の右拳が闇の帝王の顔面を捕らえた。
時間にして、僅か0.5秒。
それだけの時間の後に両陣営が同時に後ろへ跳び、再度衝突した。
「ブラックかめはめ波!!」
「
「KENTUCKY SMASH!!」
「デスボールッ!!」
「カイザーフェニックス!!」
「CONNECTICUT SMASH!!」
「
「
「NEBRASKA SMASH!!」
相変わらずの激闘。
闇の帝王の放つ攻撃を氷炎の覇者が全て相殺し、オールマイトが次々と攻撃を浴びせて行く。
言葉にすると簡単だが実際に戦っている者達からすれば、この上なく気の抜けない戦いだった。
なにせ一つでもタイミングが狂えば全てが一気に崩壊するレベルで拮抗している戦いだからだ。
それはもはや、人間の常識を超えた戦い。
人の理解を超えた大激闘へと昇華した。
闇の帝王が空中に移動すると、氷炎の覇者がそれを追うようにロケットブースターの要領で空を飛び、オールマイトも空気を蹴って跳び上がった。
「これでも喰らってろ!!
「面白い!ならば!
「相変わらずだね!WAIST VIRGINIA SMASH!!」
闇の帝王の落とした時間稼ぎ用の特大暗黒弾を氷炎の覇者が巨大な炎の槍で相殺し、空気を蹴ったオールマイトがその間を縫い闇の帝王をぶん殴った。
「ぐはっ!!?」
「隙あり!オーロラエクスキューション!!」
「DETROIT SMASH!!!!!」
殴られてバランスを崩した闇の帝王の隙を突いた氷炎の覇者が絶対零度の光線を放ち、左腕を凍らせた。
その直後にオールマイトが闇の帝王の胸部を殴り、その時の衝撃が全身に伝わり凍った左腕を破壊した。
オールマイトと氷炎の覇者がしっかりと地面に着地したのに対して闇の帝王は、勢いよく地面に叩き付けられた。
「ぐっおおおお!!!」
殴られた衝撃で地面に叩き付けられた闇の帝王がゆっくりと立ち上がる。
「う、腕が…俺の腕が…チ、チキショーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
自分の腕の惨状を見た闇の帝王が雄叫びを上げる。
「油断するなよ…?」
「言われなくとも!」
その様子を見た氷炎の覇者がオールマイトに注意を促す。
オールマイトは、まだ何かあると感じている為、油断なく拳を構える。
「なんちゃって」
「…」
「やはりか…」
突然、余裕な態度に変わった闇の帝王を氷炎の覇者が冷めた視線で見る。
オールマイトは、予想が当たった、とファイティングポーズを取る。
「なんだ、バレバレだったか?なら、これ以上下らない演技をしていても意味が無いって事だな?」
「そうなるな」
「はぁ…つまらん。ふんっ!」
退屈そうに息を吐いた闇の帝王が体に力を込めると失ったはずの左腕が再生した。
「
「まあ、伊達に世界最強の一角を担ってないからな…あれくらい出来て当然だ」
オールマイトの質問に氷炎の覇者が当然の事のように答える。
「んじゃあ、まあ、ぼちぼち終わらせるとするか?」
闇の帝王がそう口にすると同時に彼の内側に眠っていた全ての闇エネルギーが一点に集中し始めた。
「おうおう、もう終わらせに来やがったか?短気な野郎だ。まあ、こちらとしては大助かりだけどな」
「冗談を言ってる場合か!?
「国どころか、星ごと消し飛ぶかもな?まあ、安心しろ」
オールマイトを安心させるように声を掛けた氷炎の覇者が残された全エネルギーを右の拳に集中させる。
「いいか、オールマイト?今から何が起こっても止まらず闇の帝王に突っ込んで、この上ない渾身の一撃。それも魂が籠ったありったけの一撃を叩き込め。…それ以外に勝つ方法は、もう存在しない」
「………分かった」
真剣な声で話す氷炎の覇者の目を見たオールマイトが小さく言葉を返し、拳にありったけの力を集中させる。
「さあ、終わらせるぞ!!」
その言葉と共に闇の帝王が空高く飛び上がり、一点に集中させた闇エネルギーを体外に放出し、両手で掴んだ。
闇の帝王が黒より更に黒い球体を投げ落とすと、まだ昼間のはずの空に夜の帳が降り、その夜すらも吸収し一回りも二回りも大きな暗黒球へと成長する。
それは、直撃すれば確実に死を与える一撃。
相手が神であろうとも必ず殺しきる死そのもの。
仮に氷炎の覇者が避けても地球に当たれば、この世に死の世界を顕現させるであろうそれが勢いを殺す事なく氷炎の覇者とオールマイトに迫る。
「我が生涯…我が生き様…我の力…我の全て!今から放つは、我が最強の一撃!!」
氷炎の覇者が限界以上のエネルギーを溜め、右手にありったけの氷獄のエネルギーを左手に煉獄エネルギー込めて、腕を水平にする。
その腕を伸ばしたまま頭上に移動させ、胸の前に移動させて、再度水平にした。
氷炎の覇者が迫り来る巨大な漆黒の闇よりも暗い球体に向かって飛翔した。
氷炎の覇者は、両腕をL字に組んで星を一つ消し飛ばせるまでに溜め込んだエネルギーを
氷炎の覇者の両腕に回された夥しい量のエネルギーが、闇の帝王の
世界に死を顕現させる
しかし、氷炎の覇者の放った一撃は、
彼の放った一撃は、あくまで
本命の一撃を通すための囮。
氷炎の覇者は、それを成し遂げた。
「あとは…頼ん…だ……ぞ…」
「任せろ!」
「オールマイト!?馬鹿な!さっきの一撃が本命では無かったのか!?」
爆発を諸に受けた
その言葉に答えるようにして
氷炎の覇者の放った攻撃が本命だと考えていた闇の帝王が、思いも寄らなかったまさかの光景に驚愕し、ありったけのエネルギー攻撃にを込めた影響もあり、防御に回していた残り僅かなエネルギーを乱してしまった。
大地が罅割れる程に地面を力強く蹴って跳んだオールマイトが、驚愕の表情を浮かべている闇の帝王に狙いを定め、筋肉が膨張しヒーローコスチューム破けた右腕を振るう。
オールマイトの放った一撃が闇の帝王の胸の中心に叩き込まれる。
「グッッッッハァ………オ、オールマイトォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」
その一撃は、骨を砕き、内蔵を破裂させ、宙に浮いていた踏ん張りの効かない闇の帝王を遥か彼方に吹き飛ばし、成層圏を突破させ、宇宙空間へと強制追放した。
「化け物め…だが、まあ…良くやったと言っておこう…か?」
その光景を見ていた氷炎の覇者が力を失い、自由落下をし始めた。
その数秒後に氷炎の覇者の身体が光り、フュージョンが解除された。
フュージョンが解除された結果、分離したLORDと煉獄の女王が落下していく。
「はっ…!?」
落下していくLORDが落下中に目を覚ます。
「未来火…」
煉獄の女王を自分の方に手繰り寄せ、愛おしそうに頭を撫でてから胸の内に抱え込んだ。
その数秒後にLORDが煉獄の女王を抱え込んだまま地面に叩き付けられた。
遥か上空からの自由落下によりクレーターが形成され即死を免れない程の強い衝撃のはずだが、流石は世界最強。
常人なら即死するはずの衝撃を受けても、精々ベッドから落ちた程度のダメージしか入らなかった。
「あー、痛ってぇ…おちおち寝かせてもくれねぇのか?」
嫌味を言いながらも煉獄の女王を衝撃から守ったLORDは、彼女の髪に付いた埃を掃い落としてから頭に顔を近付ける。
「全部終わった…助けたい奴等も助けたし…闇の帝王も死んだ。氷炎戦争は、またも引き分けに終わり…オール・フォー・ワンも、コフッ!ハァ…迂闊に動けなくなった…」
これまでの事を思い返しながら煉獄の女王にゆっくりと語りかけるLORDが慈愛の眼差しを向けている。
「未来火…お前との約束…ちゃんと叶えてやるぞ…」
「…本当?」
LORDが約束を叶えると口にすると煉獄の女王が顔を上げた。
「起きてたのか?」
「ついさっき起きたばかり。それよりもさっきの話は本当?」
「本当だ…」
「本当の本当に?」
「ああ、本当だ」
「へ~?ふ~ん?ほう?」
煉獄の女王が顔をニマニマさせながらLORDの胸の上で嬉しそうにジタバタしている。
「何なんだよ、お前は…」
「あなたのお嫁さん」
LORDの質問に煉獄の女王が顔を綻ばせ答える。
「………」
「ふへへへ~」
その答えにLORDが思わず頬を染めながら顔を逸らす。
その反応を見た煉獄の女王がだらしない声を上げながら
「はぁ…俺の嫁が最高に可愛い」
「えへへへ~、最高に幸せよ~」
自分の胸に顔を埋めている煉獄の女王の頭を撫でながらLORDが照れたような顔をする。
煉獄の女王…基、
こうして世界最強の
LORDが依頼した雷帝の一撃から始まり、互いの持てる全てをぶつけあい、街に甚大な被害を出しながら、決着が着きそうな時に現れた闇の帝王を相手に共闘し、互角の勝負を繰り広げ、オールマイトによる時間稼ぎのお陰もあり氷炎の覇者となって更に共闘し、必死の思いで倒した事でこの氷炎戦争が終わった。
途中からまったく関係の無いはずの二人が乱入して来たとはいえ、比較的綺麗な幕切れと言えるだろう。
所で、そもそも何故こんな氷炎戦争が始まったのか?
当事者達が理由を覚えていないので真相は、闇の中なのだが…流石に勿体無いので語らせて貰おう。
しかし語るのは、次回にしよう。