こんにちは、諸君。
それでは、何故第一次氷炎戦争が起こったのか。
それを語らせて貰おう。
きっかけは、本当に些細な出来事だった。
LORDを討伐しに煉獄の女王がLORDの目撃情報の有った国へ向かったのだ。
その日の煉獄の女王、改め未来火は疲れていた。
それはもう、今にも倒れそうな程には疲れていた。
そんな中、討伐目標であるLORDと思われる男を見つけた。彼を見つけた時間帯は、三時頃だった。
そんな彼は、今も愛用している黒コートを背凭れに立てかけて優雅にお茶を飲んでいた。
それを一目見た瞬間、未来火の中に底知れない殺意が湧いた。
何故アイツが優雅にお茶を飲んでいて自分はこんなに苦労しているんだ?と、かなり自分勝手な意見だったが取り敢えず殺意が湧いた。
すぐにでも殺そうと煉獄の女王が歩みを進めた。一歩歩みを進める度に地面が溶ける程の熱量を放出しながら歩いていた。
自分に近づく煉獄の女王に気付いたLORDが何を思ったのか突如として席を立ち、うやうやしく頭を下げて挨拶した。
その予想だにしなかった光景に煉獄の女王は、分かりやすく狼狽えた。
今までの人生でそのような反応を返された事の無い彼女の手を取ったLORDが席へとエスコートし、あろうことか持て成した。
それも最上級の持て成しだった。彼女の手を取って紳士顔負けの女性の扱いをLORDが実行した。
今まで恐れられてばかりで女性らしい扱いを受けた事ない彼女には、あまりにも刺激が強すぎた。
その結果、惚れた。なんならLORDも惚れた。
LORDとしては、自分に掛かる火の粉を払う程度の考えで始めた行動だったが、彼女の純粋な女の子としての仕草や初々しい反応、そして何よりも彼女の外見と内面の両方に惚れた。
そして運命の日。別名.氷炎戦争開戦の日。
LORDがエスコートしてから一ヶ月経ったある日の昼下がり、煉獄の女王がLORDを呼び出した。
LORDは、彼女の誘いを受け二人の出会いの場であるカフェに向かった。
煉獄の女王に促され席に着いたLORDがコーヒーを注文し待っている間に煉獄の女王が開口一番こう言った。
「あんたの事、結構気に入ったから私を嫁にさせてもいいわよ!」
どう考えても告白する側のセリフではない。しかし、これも仕方のないことだった。
なにせ未来火には、日本国で言うところの『ツンデレ属性』が付与されていたからだ。
今の冷気にならクリティカルヒットが決まりオーバーキル出来るくらいに特攻が決まるだろうが、昔の彼には大して効果が無い。
その上未来火は、あろうことかその国の言語で言った為、周りに居た客が一斉に噴き出した。
一方のLORDは、ポカーンとしていた。
その様子を見た煉獄の女王、基ただの恋する乙女にジョブチェンジしてしまった未来火がLORDに返答を急かした。
LORDが混乱した頭を精一杯働かせて返事をしようとした。
彼の言おうとした言葉は、「まだ日も浅いし、これからも仲良く…恋人としてでよければ一緒に居てくれないかな?」と伝えようとした。
しかし、彼はこう答えてしまった。
「いえ、結構です」
なんとも酷い言い間違いである。
しかし、恋する乙女だった未来火にその言葉は、強烈過ぎた。あまりの強烈さに未来火の目に涙が溜まった。
冷気も自分の言った事の重大さに気付いた。今にも零れ落ちそうな程の涙を溜めた未来火をLORDこと冷気が、その涙を拭おうと動いた。
しかし、時すでに遅し。涙を拭おうとして来た冷気の手を叩いた未来火は、そのままの勢いで冷気の頬に平手打ちを食らわせた。
自分の純粋な恋心を踏み躙られたと思った未来火は、ひたすらにキレ散らかした。氷獄の王と煉獄の女王などの支配者にしか理解出来ない言語でキレた。
突如、知らないはずなのに何故か理解出来てしまう言語で一方的にキレられた冷気も怒った。と言うか反論した。
そこから、いわゆる痴話喧嘩が始まった。口喧嘩の内容は、先程の未来火の告白と冷気の返答についてだが、一方は全くと言っていい程人の話を聞かないし、もう一方は答えが煮え切らない。
両者の口喧嘩が30分を越えようとした時に
口喧嘩の途中で未来火が「器の小さい男ね…」と言って、対する冷気が「めんどくせぇ女だな…」答えてしまった。
その瞬間、闘いのゴングが鳴った。
まだ若かった頃のLORDと恋心を踏み躙られた煉獄の女王が正面衝突した。
両者の初撃の衝突により、半径20キロ圏内の全ての命が断たれた。
全盛期のLORDとそれを殺せるだけの力を持つ煉獄の女王の本気の闘いに巻き込まれた一般市民は、自分が死んだ事を自覚する暇も無く消滅した。
午後3時の
そこからは凄かった。
語彙力が消失する程の一戦だった。
巨大化した両者の拳の衝突によって街は疎か、国が消し飛んだ。
ブレスと思われる攻撃が世界でも有数の高さを持つ山を跡形もなく消し飛ばし海に高さ数百メートル越えの氷柱を作った。
二人の戦闘を止めようと国連が軍を派遣したが到着と同時に
と言うか、一緒に派遣されたヒーロー達と一緒に消し飛んだ。
その後も本気の戦いが続き、巨山サイズの氷塊や隕石サイズの炎塊が飛び交う戦場に二人の
それが
大地そのものを操れる
最初こそ善戦していたもののLORDと煉獄の女王がアイコンタクトを交わし戦うを相手を入れ替えた事で形成が逆転した。
海神も巨大な氷の球体に包まれ逃げ場を失くされた上に原子レベルで凍らされ
こうして世界最強の一角が二人同時に落ちたが、LORDと煉獄の女王の闘いは、一切収まらなかった。
このままでは埒が明かないと考えたLORDが煉獄の女王に
内容は、『1.今より一年後に決着を着ける。2.それまでは、休戦及び戦争準備期間として相互不干渉とする。3.決戦の地は、極東の島国.日本国の領土内とする』の三つだった。
最初は、契約内容を見て顔を顰めた煉獄の女王だったが少しだけ考える仕草をして渋々了承した。
そしてそれより一年の時が経ち日本の海辺で再戦したが闇の帝王の乱入により決着がうやむやとなった。
では、どうやって決着を着けるつもりなのか?
そこはあれだ。良い子のみんなは知らなくて良い話しだ。
えっ?それでも知りたいって?
はぁ…碌な大人に成れないぞ?
決着の方法は…まあ…あれだ…
イチャイチャ(意味深) するんだよ。知らんけど。
体力が尽きた方の負けな個性や実力関係無しの何とも言えない勝負。
どうせ結婚するんだし良いんじゃね?なノリでヤる事をヤるらしい。
男女の勝負で一番分かりやすいかもしれん勝負で決着を着けるつもりらしい。
だけど一応両者合意の上で純愛なので特に問題は無い。そう思うしかない。
まあ、とにかく氷炎戦争は、比較的平和に決着が着いた。
LORDも煉獄の女王も死なず、日本も沈没しなかった。
経済に大打撃を与えたかもしれないが、国家そのものが消える事と比べれば何倍もマシな結果と言えるだろう。
すでに他国による復興支援も決まっているし、オールマイトがLORDと煉獄の女王の二人を倒したと誰もが信じて疑わないので、国家として考えれば得したと考えても良いかもしれない。
それに事前に周囲30キロ圏内の全住民に避難勧告が出ていたので奇跡的に死者が出ていない。
勝利…とは一概に言えないが兎にも角にも氷炎戦争は終結し、世界に一時的な平和が訪れた。
~以下、第二次氷炎戦争に関する報告書~
第二次氷炎戦争終結時の被害及び今後予想される被害。
死傷者ゼロ。
戦場となった海岸線の付近20数キロ圏内が壊滅。
都心部半壊。
世界最強のヴィラン.LORD逮捕。
世界最大の災厄.煉獄の女王逮捕。
裏社会の支配者.闇の帝王永久追放。
No.1ヒーロー.オールマイト生存及び勝利。
八大抑止力の生死状況.
氷獄の王(LORD).生存。
逮捕の後、最高警備体制を持ってタルタロスに収監。収監から1時間で脱獄。
煉獄の女王.生存。
逮捕の後、最高警備体制を持ってタルタロスに収監。収監から30分で脱獄。
第一次氷炎戦争において死亡。
海神.死亡。
第一次氷炎戦争において死亡。
風神.死亡。
氷獄の王として覚醒したLORDとの戦闘において死亡。
雷帝.生存。
表舞台で活躍せず武器商人として活躍中。LORDの懐刀。
闇の帝王.生死不明。
氷炎の覇者とオールマイトとの戦闘において宇宙空間へと永久追放。地球への帰還は不可能と考えられる。
光の皇女.生存。
煉獄の女王との戦闘において消えないトラウマを植え付けられる。
最終結果.裏社会への抑止力が三柱同時に消滅。
推定被害.複数国家の壊滅。
残りの八大抑止力.『光の皇女(トラウマ持ち)』のみ。
結論.割とマジでヤバい。オール・フォー・ワンが動きにくくなったけど、それでもヤバい。
最終結果に対して一言.頑張れオールマイト!世界の命運は君の手に掛かっている。
正直言って書きたい事全部書き終えたし、もうそろそろ最終回迎えてもいいんじゃね?って、考えましたがもうちょっとだけ続きます。
その後にオマケみたいな感じで原作組との絡みを書いて行きたいと思っています。
では、また次回!