世界最強のヴィランお兄ちゃん   作:揚げ物・鉄火

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どうもこんにちは。
お久しぶり…では、ありませんが書けたので投稿です。
今回は、オールマイトとエンデヴァーが仲良くなってて微笑ましい回です(白目)。
あと、色んなネタを少し入れました。

では、どうぞ。ごゆっくり!


第五話

「覚悟はいいか?」

「「「(オレ)(私)は出来ている!!」」」

ロードの言葉に三人が同時に答えるとまるで打ち合わせでもしたのか?と疑いたくなるほどタイミングよく駆け出し三人同時に衝突した。

 

「SMASH!!」

「ジェットバーン!!」

「うぉらあ!!」

ロードの胸部を狙って放たれたオールマイトのパンチを左腕と左膝でガードしエンデヴァーのジェットバーンを右手に持つ氷の剣から放つ冷気で相殺された。

 

「やっぱり通用しないか!」

「今のを相殺するとは…」

「ふん…(クソ痛ぇ…!)」

オールマイトが攻撃を止められた事に歯噛みし、エンデヴァーは自分の攻撃が相殺された事に驚愕を隠せず、ロードは平静を装いながら痛みを必死で我慢していた。

ついでに手が痺れて持っていた武器を落としてしまっていた。

 

「エンデヴァー…」

「なんだオールマイト?」

「ロードを何メートル上空に飛ばせば最大火力の一撃を叩き込める?」

今の攻防でロードの大まかな実力を把握したオールマイトは、エンデヴァーに目を向けず質問を投げかける。

「最低でも30メートルは欲しい…出来るか?」

それに対してエンデヴァーも呟くように答え、質問する。

 

「ふっ、出来る出来ないじゃなく…やるしかないんだ!!」

その言葉にオールマイトは、口角を上げて両足に力を込め一気に加速しながら力強く答えた。

 

「少々付き合って貰うぞ!ロード!」

「くっ!」

「答えは聞いてない!!SMASH!」

一瞬でロードの懐まで忍び込んだオールマイトは、そのままロードの腹部と胸部の間に拳を叩き込んだ。

 

「ガ…………ハッ!!?」

(息が…出来ない!?)

オールマイトがロードに叩き込んだ拳は、ちょうど肋骨の少し下。

つまり横隔膜付近に拳がめり込みパンチの衝撃で肺の中の空気が全て体外に押し出されロードは、一時的な呼吸困難に陥っていた。

 

「息を…空気を!」

「まだまだ行くぞ!SMASH!」

「しまっ…!?」

必死に息を吸おうとしているロードに対してオールマイトは、打ち上げるような一撃を叩き込み、その体を浮かび上がらせる。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

少し浮かび上がったロードに対しオールマイトの超高速連続ラッシュを全身に叩き込み

「さらにおまけだ!DETROIT SMASH!!」

トドメと言わんばかりの一撃をがら空きの胸部にクリーンヒットさせた。

 

「ゴフォ……!!」

バキバキボキッ!!

肋骨を折られ再び赤い液体を笑顔仮面の穴から垂れ流しながら空中高くに殴り飛ばされたロードは、近くのビルの屋上に立つ影に目を見開いた。

 

「待っていたぞ…このタイミングを!!」

「エンデヴァー…!!」

屋上に立って必殺の構えを取っているエンデヴァーを見たロードの目に黒い炎が宿る。

 

「最大火力!螺旋プロミネンスバーン!!!」

「受けて立つ!!」

エンデヴァーが放った超高威力の一点集中螺旋式プロミネンスバーンを両手に氷を纏わせながら真正面から受け止めた。

 

が…

 

「うっ、ぐぉぉぉおおおお!!?」

「ぬううううっ!!」

エンデヴァーが放つ螺旋状の炎を両手で防ごうとするロード。

ロードの防御を突破しようとさらに火力を上げようとするエンデヴァー。

ロードの放つ冷気とエンデヴァーの発生させる熱気の衝突で台風クラスの突風が吹き荒れ周囲の建物に甚大な被害を与えて行く。

 

ミシッ…

バキンッ!

ピシッ!

バキバキッ!

二つの強大な力の衝突によってエンデヴァーの立つビルに次第に罅が入って行く。

 

「ぐっ…!!(こいつ、いつまでこの火力を維持し続ける気だ!?)」

「おおおお!!(この男の氷は、底無しか!?)」

お互いの力が拮抗しているため永遠に続くかと思われた炎と氷の衝突は、第三者の介入によって崩された。

 

「隙を見せたな!ロード!」

「「オールマイト!?」」

突如、ロードの後ろへ飛び出したオールマイトにエンデヴァーとロードの声が重なった。

 

「CAROLINA!」

「やばっ!って熱っ!?」

オールマイトの攻撃を防ぐため、そちらに両腕をクロスさせ防御の態勢を取ったロードの背中をエンデヴァーの炎が焼いていく。

「SMASH!!」

「ガグゥッ!!」

それが原因でオールマイトの攻撃を防ぐため構えた両腕に上手く力が入らず両腕を圧し折られ建物を貫通しながら遠く離れた喫茶店に突っ込んだ。

 

自分の獲物を横取りされた気分のエンデヴァーは、今にもオールマイトを殺しに掛かりそうなほど怒りの籠った目で睨むがオールマイトは気にしない。

「オールマイト…貴様!」

「エンデヴァー!今は言い争っている場合じゃない!早くロードを追いかけなくては!」

「貴様が吹っ飛ばしたんだろうが!クソ!」

特大ジャンプをしながら跳んで行ったオールマイトの言葉に突っ込んだエンデヴァーは、空を飛ばず崩れかけたビルの屋上から非常階段を使い降りてからロードが吹っ飛ばされた店に走って向かった。

 

 

ロードサイド

 

 

「ぐうっ!?」

ガッシャーン!

オールマイトの全力攻撃を受けて吹き飛ばされたロードは、喫茶店の窓と壁を破壊しながら突っ込んだ。

 

「きゃああ!」

「何だ!?」

「誰か突っ込んで来たぞ!」

突如として店の窓と壁を破壊しながら突っ込んで来た人影に店の中の居た客が驚愕する。

 

「コホッ!ケホッ!…ああ、痛ぇな。チクショウ…」

自分の体に乗った瓦礫を退かしながらゆっくりと起き上がる影に近くの女性店員が近づく。

 

「あ、あの、大丈夫ですか?」

「ああ?」

「ヒッ!ろ、ロード!?」

自分が話し掛けた相手が世界最強と称されるヴィランだと気づいた女性店員は、尻餅をついてそのまま後退る。

 

「ここは…喫茶店か?なるほどなぁ…」

店の雰囲気や客の様子、さらには壁に貼られているメニュー表を確認したロードは、ここが喫茶店である事を確認した。

喫茶店でやる事と言ったら基本的に一つだけ。

それも3時のお茶の時間(ティータイム)が近づいていたら、さらに限定される。

 

「すまないがお茶を貰えるかな?あとケーキも一緒に頼むよ」

「えっ?あっ、はい」

まるで普通の客のように注文を始めたロードに対し店員は、職業柄普通に接客した。

 

「うん?来てるな…」

自分の身体を再形成しながら高速で近付く気配に気が付いたロードは、注文の品が来るまで暇なので両手に氷製の籠手(ガントレット)を装備し迎撃に向かう。

 

 

 

「見つけたぞ!ロード!!」

「こっちの台詞だ!オールマイト!!」

正義と悪のトップ同士がお互いを視認し叫びながら三度衝突する。

 

三度目の衝突で先に動いたのは…以外にもロードだった。

「マシンガンブロー!!」

「はああああっ!!!」

ロードの怒涛の超高速ラッシュに対しオールマイトも同じくラッシュで応戦した。

 

「クッ!やはりパワーで負けるか!?」

「そろそろケリを着けさせて貰うぞ!ロード!!」

だが二人の間には、明確な(パワー)と身長差が存在し少しずつロードが押されていた。

 

「ぬうううん!!」

「くっ…!うぉぉおおお!!」

常人は疎か並のプロヒーローですら視認不可能な速度で行われた拳の打ち合いは…

 

「SMASH!」

「ぐおっ!?」バキンッ!!

オールマイトの攻撃がロードの右腕を破壊し一瞬の隙を見せた事で終わりを迎えた。

 

「隙を見せたな!」

「隙?隙なんて何処にあるんだ!!」

ガントレットごと右腕を破壊され僅かにバランスを崩したロードに必殺の一撃を食らわせようとしたオールマイトの言葉に答えた。

 

「これを、待っていたああぁぁ!!!」

「何っ!?」

オールマイトに笑顔仮面越しに顔面を殴られた時の衝撃を利用して後ろに回転しながら両足でオールマイトの右腕を挟む。

この時オールマイトは、ロードの予想だにしなかった行動に驚き1秒にも満たない一瞬の隙を晒してしまった。

この一瞬の隙こそがこの戦いの勝敗に大きな影響を与えた。

 

「気化冷凍法!」cv.子安

「な、なにィ―――!!!」

無理矢理上体を起こしロードは、わざわざ声を変えてから残された左腕だけでオールマイトの腕を掴み一気に凍らせる。

今まで体験した事のない感覚にオールマイトは、驚きを隠せずその場から一歩後退する事を忘れた。

同時に右腕を一時的に封印された事を長年の勘で察した。

 

「今度は…こっちの番だァ!!」

「くっ!」

オールマイトの腕を離したロードは、自分と相手の左足を氷の鎖で繋げて口から赤い液体を垂れ流しながら全力でオールマイトを殴りながら叫ぶ。

 

「オールマイトォ…そろそろハンデ無しで本気のデスマッチ(殺し合い)を始めようかァ!!?」

「嘗めないで貰おうか!!たとえ片腕だけでも私は、本気で行かせて貰うぞ!」

二人が言い終わると同時に互いの拳が衝突した。

 

「それでこそ…トップだァァァ!!氷王の鉄拳(キング・ハンマー)!!!」

「DETROIT SMASH!!!!!!」

クロスカウンターの形で相手の腹部、胸部、顔面を殴り合うロードとオールマイト。

お互いの全力の攻撃は、必殺の一撃にも匹敵する威力を誇るがどちらも一歩も引かない。

時折、拳以外に全力の蹴りや肘で攻撃を放つ事もあるが二人の間では、まるで意味を為さず逆に隙を晒すだけに終わる。

そのため二人の間で行われる攻防は、小細工無しの単純な拳の殴り合いだけ。

それだけの事だが正義と悪のトップの本気の命を懸けた殴り合いは、先ほどのエンデヴァーとロードの個性の衝突の比では無い災害クラスの絶大な力の衝突は、周囲に甚大な被害を与え始める。

 

 

「まだだァ!!」

「当たり前だろうがァ!!」

オールマイトの怒号に近い叫びにロードも反射的に答え…

 

「いい加減に…倒れろやァ!!!」

「私は、まだ倒れる訳にいかんのだ!」

相手の胸部を完璧なカウンターのタイミングで殴り合い、二人とも血を吐きながら氷の鎖を破壊し遥か後方に吹っ飛ぶ。

 

「ぐぅっ!」

ズガーンッ!!

吹っ飛ばされたオールマイトは、近くの建物の壁を破壊しながら突っ込み、そこで止まった。

 

ドゴーンッ!!

「ガフッ!!」

「お、お客様!?」

一方のロードは、先ほど吹っ飛んだ喫茶店の壁に再激突した。

 

「ん?あ、お茶出来たんだね。ありがとう」

「い、いえ…ごゆっくりどうぞ?」

まるで何事も無かったかのように女性店員の持ってきたお茶を片手で受け取ったロードは、普通に飲み始めた。

 

「ふぅ…美味い。ゴフォッ!」

「お、お客様!?」

半分くらいまでお茶を飲んだロードは、又もや口から赤い液体を噴き出し女性店員を驚かせる。

 

「美味しかった。今度は、プライベートで来るよ」

そう言いながらゆっくりと立ち上がり懐に手を入れた。

「ヒッ…!」

「これ、お代ね?ついでに修理費と迷惑料も置いておくよ」

懐から武器でも取り出すのでは?と考えた女性店員は、少し恐怖したがロードの言葉に戸惑った。

 

「え……?あ、あの…これは?」

「お代と修理費に迷惑料だよ?もしかして足りない?」

「い、いえいえ!大丈夫です!充分です!」

「そうですか?それなら良かった」

「えぇ…」

お茶の代金と店の修繕費に迷惑料として1200万円ほどの札束を置いて出て行ったロードに対して店員は、やはり戸惑った。

 

 

「そろそろ終わらせようぜ!オールマイト!!」

そう叫びながら走り去ったロードの眺めながら店員は、三度戸惑った。

「……………えぇ?」




少し長くなりそうだったので一旦区切ります。
おかしいな…今回で終わらせたかったのに終わらない。
う〜ん…不思議だ。

解説.
ロードこと冷気さんは、初対面の一般人相手なら基本的に礼儀正しいです。
ただ相手がヒーローやヴィランになると態度が一変します。

技解説.
螺旋プロミネンスバーン

プロミネンスバーンの火力を一点集中させ破壊力と貫通力を上げた技。
オリジナル技です。

次回は、書けたら投稿します。
では、また次回!

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