俺は今、依頼の確認のために軍本部の建物内最奥、月読の指令室に来ていた。
依頼自体は言葉にするなら簡単だ。
しかし実際はどうだ。
霊力の強い者ならともかく、能力持ちに教えることなど分からない。
なにせ俺に能力はない。
この十年の間、襲ってきた妖怪をどう対処してきたか。
霊弾による威嚇、実際に当てる脅し、そして…素手による軽い地割れ。
この十年で修行を続けた結果、霊力を身に纏う技法を習得した。
他にもいくらか習得したが、妖怪の雑兵相手なら問題ない。
とにかく、それらのある種能力とまで言える霊力の暴力的破壊力がある以上、妖怪に苦戦することはない。
能力など必要なかったのだ。
指導係として入ったところで、能力者組に教えることは出来ない。
月読が何を考えているのか、或いは月読という『神』は、俺の転生を知っているのではないか。
様々考えることはあるが、能力にも興味はある。
仕事の内容があまりにもやばいものでなければ、受けようと思う。
「月読……様、筑城望、到着しました。」
俺は一応上司(なのか微妙なところだが)に声をかけるので、敬語に様呼び、自分が想像する形で軍の挨拶をした。
「うむ。入れ。」
「…失礼します。」
思いの外若い声の上、女性の声というのに少し驚いた。
「主が何でも屋じゃな?知っての通り儂は月読じゃ。以後よろしく頼む。」
「……はい。それで早速依頼についての話を…」
椅子を回し、顔を見せた彼女は、口調は老人のようだが、俺と同い年(17程)に見える少女だった。
思わずまた止まったが、すぐに切り替えた。
「うむ。依頼についてじゃが、書いてある通り、その隊の指導を頼みたい。ノルマは少なくとも週三の指導ならびに戦力としての格上げ。報酬は仕事が上手く出来ているとこちらが判断した時に。人数は八人じゃ。」
「意外と少ないですね。」
「特殊な者を集めた隊なら当然じゃろ。」
「能力持ちは?」
「六人。詳細は本人達に確認をしてくれ。」
「今は
「彼らの隊の待機部屋にいる。指導の場所は主にそこと、訓練場を使ってもらう。」
「…待機部屋を教えて下さい。それでもう十分です。」
「他にもあるのではないか?突然軍に勧誘されたようなものじゃぞ?」
「指導の時間も自由、何でも屋の別の仕事を続けてもいいなら、特に問題ないですよ。」
「そうか…」
「…最後に確認が…敬語をやめてもよいですか?」
「…ふっ、やはり敬語は不慣れか。よい。こちらから敬語を禁止しよう。」
「ありがと。とりあえず問題があれば後で直接言いに来るから、説明はこれくらいでいい。」
「ではいつ指導を行うか、予定と合わせて隊の者と打ち合わせてくるとよい。連絡はしておく。」
「分かった。なら早速行くとしよう。」
俺は月読から本部内の簡易地図を貰い、その隊の下へ向かった。
―――――
一言で言うなら、戦うべきではない者達だった。
パット見でも分かる、この者達が戦うべきか否か。
何せその子供達は、大人二人と遊んでいたのだから。
そう、子供なのだ。
八人中六人は子供なのだ。
少女四人、少年二人、男性一人、女性一人。
この中で一般的に戦力になるのは、男性一人だけだ。
その男性でさえ年は若く見えない。
子供は十歳程度、女性だけは二十歳程に見えるが、この八人が戦闘に向かないのは、誰が見ても明らかだ。
「あ…皆、先生が来たよ。」
「……気付いてくれたようで何よりだ。」
「す、すみません!皆、挨拶!」
女性が子供達に促すその様は、それこそ先生のようだ。
「は、はじめまして!綿月依姫です!」
「姉の豊姫です。」
「…?依…豊…?」
「……?あの…何か…?」
「ああいや何でもない。他も自己紹介続けてくれ。」
「
「あ…能力も言った方がよかったですか?」
「後の確認もするし、今じゃなくてもいい。」
「じゃあ名前だけ言うね!僕は
「俺は
「濫汰君が敬語出来て安心したよ~。僕は
「次は私ですね。私は
「最後は僕ですね。僕は
「よろしくな。俺は筑城望。月読の依頼で教える…みたいなことになったが、正直能力者に何を教えればいいか分からん。とりあえずこれから訓練場に向かい、個々人見ていこうと思うから、準備してくれ。」
「はい!」
元気よく返事をした依姫は、先程まで遊んでいたであろうボードゲームを片付け(子供全員)、目の前に集まった。
女性を先頭に、子供を挟んで男性が後ろに。
陣形でも組んでるかのようだった。
「じゃあとりあえず行くか。」
『はい!』
子供の元気な声を聞き、道中能力の詳細を聞きながら、訓練場へと向かった。
一気にオリキャラが六人出て考えるの辛いです。どうかオリキャラのキャラ性が途中で変わってても見て見ぬふりをして下さい。