「なるほどな…大体は把握した。しかも見せてもらうのも難しいか…」
「ここには訓練用の人形くらいしか置いてませんから…追々見せていきます。」
「ああ…能力が分かろうが何を教えればいいか分からんし、暇なときに使ってみせてくれれば構わない。」
「じゃあこれからどうするのですか?」
「そうだなぁ……」
「あ!じゃあじゃあ、先生の戦い方見せて!」
「俺も気になる……!」
「そうだね…僕も気になります。」
「…まあ実力も知らずに初対面で戦闘訓練なんざ信用出来ないしな…分かった。」
「では訓練用の自律人形を用意しますね。」
「自律人形?」
「はい。子供には危険だからと、僕達二人だけに使用の許可が出されている特訓相手です。」
「月読様の神力を、技術者が総出で開発したものに保管。それを注入することにより動く人形です。」
「となると…破壊や消滅しても、ただ注入した神力が消滅するだけか。便利だな…!」
「私達も自由に使いたいです…」
「依姫。危険だから駄目というのは大人、保護者からしたら当然のことよ。」
「神力が暴走して最初に被害を被るのはその場の奴だからな。子供が下手に力を加えて神力が散るようなことがあれば、無事には済まないだろうな。」
「暴走はしないと思いますが、訓練用なので攻撃もしてきます。むしろそちらの方が危険かもしれませんね。」
「攻撃も出来るのか?思ったより便利な…まあとにかく始めるか。一つ聞くけど…」
「はい?」
「本気でいいんだな?」
「…はい。」
―――――
木暮視点
―――――
僕には信じられなかった。
突然月読様から指導者を頼まれた彼を。
自分よりも若く、それこそ子供のように見える彼から、何を学べというのか。
武勲を挙げたことは聞いていた。
妖怪を追い返しているのも彼だ。
しかし尚信用出来なかった。
実際にこの目で見るまでは、指導者として認められない。
そう…思っていたんだ。
「凄い……!」
誰が放った一言かは分からない。
誰かがそう言った。
この光景を見れば分かる。
こんなの、人間には不可能だ。
この人形には、段階的に力を上げるシステムが組まれている。
実力を見るために僕が設定したのは、一番上の段階だ。
それを彼は、素手で殴り壊した。
一番上の段階までくると、神力を込めたパンチや、高速の弾幕を撃ってくる。
俗に言う達人と言える程の動きもしてくる。
そのため強化ガラスで観察出来るよう、壁を作る程だ。
それを彼は、首を傾けたり、蹴り弾いたり、弾幕で相殺したり、一度たりともダメージを受けてない。
攻撃をいなしながら、鉄程の硬度の人形を殴り砕いていた。
腕力も、動体視力も、霊力の強さも、何においても別格だ。
僕は、彼の持つ力を認めざるを得なかった。
―――――
望視点
―――――
俺は人形を全て壊し、ガラス越しの彼らに向き直った。
「…どうだ?これくらいでいいか?」
「十分です。凄まじかったです。こんな人に師事させていただけるとは…」
「言う程か…?技みたいのは使ってないが…」
「これより上が!?」
「勢い凄いなぁ…先生、能力はないらしいですけど、似たことは出来るんじゃなかったですか?」
「危険だから駄目だ。強化ガラスも消えるし、制御も効かないからな…」
「そこまで強力なのですか。」
「まあな。それで木暮、お前ずっと値踏みするように見てたろ?どうだった?」
「…敵いませんね。まさか気付かれていたとは…僕は認めますよ。」
「なんとなくだけどな。それじゃ何から教えるかな…じゃあまず手に霊力を込めるコツから教えるか。」
「はい!」
張り切った依姫の元気な返事から、まさかの訓練場での座学が始まった。
―――――
「ああー逆に俺が疲れたー!」
「どうだったの?」
永琳は聞いてくる。
隣にいた夜も気になっているようだ。
「いや…依姫の力の使い方が酷い!」
「え…そんなに?」
「二時間かけて霊力がそもそも操れなかった!手に纏うだけで一日終わるしどれだけ教えても全く分かってないし、とにかく辛い!」
「た、大変ね…」
「まあ大変だよ…でもなんだかな…子供ってのはこれぐらい手のかかる方がいいんだろうな。」
「え、何ロリコン?」
「違う。単純に、依姫が普通で他が優秀だと思っただけだ。」
「…そうかもね。」
とにかく疲れた俺は、帰った直後に爆睡した。
次の日には何でも屋の依頼が殺到して、更に疲労が貯まったのは言うまでもない。
課題辛いよ~~!……apexに逃げよう。