東方白望記   作:ジシェ

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国譲りちゃんと読んでないからよく知らないんですよね。まあ軽く確認はしましたけど。まあどうでもいいですよね…自分以外には…


十八話 ~大和殴り込み~

(ここは……学校…か…?)

 

「ぶっちゃけあんな美人が姉とかさ…凄ぇ恵まれてると思うよ?」

 

(あれは…俺?)

 

「でも女が怖いの姉のせいなんだろ?」

「いやそうなんだけどさぁー…」

 

(姉…確かにいた…気がする。)

 

「二次元だとさ、姉にいじめとかパシりとかに使われた弟が、姉以外の女に怯える、とかあるけど…」

「違うんだろ?話さねぇから知らねぇんだよ。」

 

(あの二人…名前が思い出せないけど…確か学校の友達…)

 

「いい加減教えてくれよー!気になるんだよー!」

「分かったよ…二人は口が硬いの知ってるし、もう二年の付き合いだもんな…」

「お!とうとう教えてくれる時が…」

 

(そういえば何か教えた気が…姉…?)

 

「今思えば、子供の幻覚にも思えるようなことなんだ…姉さんには、二つ人格があった。」

「人格が二つ?二重人格ってやつ?」

「違う。片方は普通なんだ。でも、もう片方はどこかおかしい。体に鱗が浮いたり、言葉が変になったり、俺のことも、分からないんだ。」

 

(…………)

 

「そんなん子供の白昼夢だろ。」

「なんかの病気ってこともあるかもしれないしさ。」

「でもそんなのが夜になったら俺を食いに来るんだぞ?子供には怖いさ。トラウマもんだよ。」

「あんな美人が夜に来るとか最高じゃねぇか!」

「大人しく食われろこのリア充。」

「お前らなぁ…」

 

その後三人は、普通に話したり、トランプをやったりと、休み時間をだらだら過ごしていた。

この記憶から一つだけ、何となく関連して思い出したことがある。

 

(姉さんのもう一つの人格は、ずっと何かを言い続けてた。間違いない。)

 

その疑問は残り続けた。

次に目を覚ます時まで、ずっと考える程に……

 

―――――

 

「――む?望?起きろー」

「ん…ううん…」

「何か悪い夢でも見たのかー?」

「う……」

 

俺は上体を起こし、周りを見た。

重さを感じると思ったら、諏訪子が俺の腹の上にいた。

どうやら朝飯で呼びに来たらしい。

 

「全部食べちゃうぞー!」

「ちょ、待て!香苗の飯上手いんだよ!」

 

走って食卓へ向かう諏訪子を追い、俺も向かう。

何を思い出したのか、少し薄れていた。

というより記憶を取り戻したのを忘れてしまった。

 

―――――

 

「そういえばこんなことしてる暇あんのか?」

「何で~?」

「大和の目標次はここなんだろ?」

「ありゃ、知ってたんだ。でも…正直諦めもついてるよ。」

 

大和の目的である全国統合。

ここが取り込まれれば、諏訪子の信仰が無くなる。

妖怪は人間の恐れから存在するように、神も人間の信仰から存在する。

信仰が無くなれば、神といえど消滅する。

故に諦めることとは、死を受け入れたも同然。

 

「死ぬのに諦めんのかよ。」

「香苗には悪いけどね…私にはどうにもならないのさ…相手は圧倒的力を持つ神々…有名処じゃ須佐之男命(スサノオノミコト)とかね。」

「……勝てないのか?」

「戦いで無理矢理奪われる可能性もあるけど…確実に負ける。相手にもならない。」

「抵抗の余地なしか…」

「そういうこと。精々残り少ない余生を味わうとするよ。」

「………」

 

話していると、食器を片付けていた香苗が戻って来た。

 

「お二人共、今日は何かすることありますか?」

「?ないけど…何で?」

「……実はさっきの話を聞いていて…」

「!香苗!?」

「諏訪子様は私が子供の頃から一緒でした。だから私を悲しませないように、こんな手紙を…いえ、遺書を書いていたんですよね…?」

 

彼女は懐から一枚の紙を取り出した。

そしてそれを読み上げた。

 

『旅に出る。きっといつか戻るよ。香苗の先祖に会いにね。香苗と会えるのも最後になるかもしれなくて悲しいけど、元気に過ごしてね。今までありがとう。さよなら。』

 

「……あはは、見つけてたのかぁ…」

「はい…」

「……はぁ…」

 

俺は一つため息をついて、一つだけ、諏訪子に確認を取った。

 

「諏訪子。月読…月読命(ツクヨミノミコト)って、大和だとどれぐらいだ?」

「月読?…よくは分からないけど、初めに国を創ったのは月読だから…一番上でなくとも、上から三人には入ると思うよ?実力も実績も、他者を導く能力も、どの神より一歩先を行ってるよ。」

「そうか…ならどうにかなるな。」

 

俺は確信した。

俺ならどうとでもなることを。

都市にいる時、月読と組み手を行うことはしばしばあった。

最初こそ負け続けていたが、後々負けることがない程に、俺と月読には差が出来ていた。

何より、今の諏訪子の反応から推測するに、月読は大和にいる。

俺に免じてこの国を標的にしないことを期待することも出来る。

俺が戦えば、この国を諏訪として存続させることも出来よう。

 

「善は急げ、だな。」

「大和に殴り込みにでも行く気かい?」

「だったら?」

「駄目です!危険です!心を読む神様だっています!諏訪子様との関係を読まれたら、きっと……!」

「……平気だよ。俺はただ……」

「ただ…?」

「昔の友達に会いに行くだけだ。」

 

―――――

 

「いやしかしこんなとこ連れて来られるとは…」

 

周りを見れば石の壁。

前方を見れば柱。

まあ簡単に檻と呼ぼうか。

まさか来国だけでスパイと疑われるとは。

そして疑いだけで檻に入れられるとは。

中々どうして警戒が強い。

 

『(まあ明らか怪しいからね。)』

(能力練してから来るべきだったか…)

 

天使と短い会話(?)をして、とりあえず脱獄をした。

二時間かけて。

破壊、ないし消滅とか、音でばれる。

そこで能力を使った。

初めて意図的に使うから上手くは使えなかったが、柱を消して脱走、檻を戻す、という動作はなんの苦労もなく出来た。

檻の柱がかなり歪なのは気にしてはいけない。

脱獄に成功した俺は、いつかやったように、霊力を薄く広げ、神の力、即ち神力を探った。

強い奴、月読クラスなら気付くだろうが、なるべく巨大な気配を探した。

一際大きいのを見つけた。

俺はその神力の元へと走りだした。

 

―――――

 

「先の霊力…貴方のものですか…」

「お前がここのトップか?」

「そのようなものですが…そういう貴方は人の子のようですね。人の子にして神力を見分けるなど、不可能…とまでは言いませんが、相当な鍛練が必要でしょう。」

「あー…まあ…」

 

この国のトップであろう女性を発見した。

俺のやったことが高度なことなのだろう。

見た目が若いから違和感を拭えていない。

しかも俺は普段力を表に出さない。

つまり彼女は、あまり力は感じないのに、高度な技術を持った怪しい人物と、俺を認定している。

 

「若くしてそれ程の技量、人の子としては素晴らしいものですね。」

「そりゃどーも。そろそろ本題に入っていいか?」

「これほど無理矢理会いに来ておいて、今更何を遠慮しますか?」

 

実をいうと、ここは公共の場ではない。

どう見たって月読のいたような専用の場所。

許可がなければ秘書さえ入ることを許されない場所だ。

どうやって来たか?

能力で一時間程かけて外から穴を開けた。

勿論修繕済みだ。

俺ではなくこの女性によってだが。

基本何でも出来るこの能力はやはりチートだろう。

結局使い手によるのは変わりないか。

 

「まあ本題に入ろう?…大和は諏訪から手を引け。」

「……それは余りに一方的、こちらには何の得もありませんね。統合の話を知っているでしょう?諏訪のみ逃す道理などないと思いますが?」

「…こっちとしても一日とはいえ、一緒に過ごした奴が消えるのは嫌なんだよ。」

「そうですか。しかし手を引くなどあり得ません。」

「そうか…なら一つ、そちらに得があることを教えよう。」

「得?この話において何が……」

「月読命…こいつはお前と並ぶ神というのは間違いないな?」

「そうですね。ただの実力という点においてはあまり変わりないでしょう。それが何か?」

「確信したよ。…俺なら一人で滅ぼせるってな。」

「!?」

 

俺は再び確信した。

この国に神が何柱いようと、トップがいなくなれば全国統合は進まない。

例え俺が死ぬことや、幽閉などになろうと、こいつを道ずれにすることは出来る。

つまり大和にとっての得とは…

 

 

「俺と戦わなくて済むことだ。」

「……貴方と戦ったところで、こちらの勝利は確実では?貴方からは、強力な気配を感じない。交渉にもなりえません。」

「そうか?少なくともお前には勝てるぞ?…月読と同等のお前なら…」

「先ほどもそうですが、月読に対し、貴方のそれはまるで友人。力を比べるも彼女基準。貴方は、月読の何ですか?」

 

俺は自信満々に言い放つ。

 

「かなり昔からの…友達だ。」

 

彼女の衝撃を受けた顔、俺は数年は忘れないだろう。

 

 




注意:この作品は主人公無双ではありません。というか弱点多過ぎて東方キャラでも対策ある人めっちゃいる。まあ弱点はその内分かりますよ多分…
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