……話考えてるの自分でしたね。
「友人…ですって…?」
「ああ。」
「貴方が…貴方ごときが…彼女の友人だと…?」
「……ん?」
何だか異様に怒ってる。
怒髪天をリアルに見ることなどそうなかろう。
諏訪子とはまた違うベクトルのオーラが出ている。
(おやぁ…?)
「許さない…許されない…彼女の友は…数千年も前に消えた…たった一人!それを語る貴様など、今すぐにでも殺してくれる!」
「え…あれ…?」
何となく怒りの理由が分かった。
恐らく彼女は、月読と仲よし。
もしくは尊敬の対象。
なんにせよ相当心酔しているのは間違いない。
姉なのか妹なのか知らんが相当想っている。
つまりこれは、友と語る不届き者への誅罰か。
…納得いかない本物だから。
「ちょ待って!語ってない!本物本物!月読に会えば分かるから…!」
「問答無用!」
そう言って彼女は抜刀する。
どこにもなかったはずの場所から。
「!?」
「避けますか…しかし…逃がしません!」
間髪入れずに二撃、三撃と刀を振るう。
刀の心得があるのは当然とばかりに、その動きは洗練されていた。
しかしどうにも謎なのは、この刀。
一体どこから出したのだろうか。
その上炎を纏っている。
「ちょこまかと…鬱陶しい!」
直後、刀は破裂いや、炸裂した。
その破片のような小さな炎により、俺の肌が少し焦げる。
俺はすぐに距離をとり、ここまでの謎を紐解き始めた。
しかしそう上手く時間が取れるわけでもなく、彼女は切りかかって来る。
時に刀を振るい、時に刀を炸裂させ、また時には炎を弾幕にして飛ばしてくる。
遠近完璧な布陣。
近づくことさえ難しい。
それがただの人間なら。
「な!?」
「いい加減終わらせようぜ!?」
俺は炎の弾幕を受けながら、燃えた刀身を掴みながら、彼女の方へと歩を進める。
遂に目の前までたどり着き、俺は拳を振り抜いた。
腹にやったため、彼女は吐きそうになるような苦悶の顔をし、同時に何故という表情でこちらを見た。
考えると目の前の人間が攻撃受けながら殴りにくるとか恐怖だね。
不死なのだから我慢すればどれだけ体にケガがあろうと問題ない。
永琳や夜なら怒るだろう。
神というのは絶対の存在である。
故に月読含め、数いる神々は痛み苦しみを知らない。
だから知らないのだ。
我慢という行動を。
だからこそ、不意を突いて攻撃が出来る。
(滅茶苦茶痛いけどな。)
「パターン少ねぇんだよ神さんよぉ!?」
距離が空き、攻撃を再開した彼女に向かい、ほぼ変わりない動きで避け、再び腹部を穿つ。
美人の顔面殴る程鬼畜じゃないのでね。(腹パン)
「うぐ…げほ…」
「……」
正直やり過ぎた。
いや正当防衛と言えなくもない…いや、不法侵入に暴行、器物破損…こっちが悪か。
まあいきなり襲ってきたのは向こうだし…
「……色々すまん。」
「……は?」
「いや話したかっただけなんだよ…だからとりあえず話聞いて欲しいんだけど…」
「……聞きましょう。私に打ち勝つ力を持ちながら、月読の友人と言う貴方は本物なのかもしれませんから…」
「つか月読から聞いてないの?不死の話…」
かなり疑問だった。
知っているなら何故疑うのか。
語る意味などないのではないか。
「聞いていますよ…しかし…」
言いづらそうに彼女は言う。
『四千年も姿が無ければ、死んだと思うのが普通でしょう。』
―――――
「……」
「…私が言うのも変ですが…大丈夫ですか?」
話を聞いてくれることになった俺は、客人として改めて招かれた。
しかし四千年という年月に、俺は衝撃を受けていた。
事前に聞いていたとはいえ、やはり確定してしまうことには動揺を隠せない。
知り合いは死に、何もかもが違う時代に、取り残された事実に。
まあそんなに動揺はないが。
ちょっとの悪戯心で彼女…
「いや悪い…正直言って別に平気ではあるんだよ。元々分かってたし、不死の時点で色々な人を見送るってさ。」
「私をからかっていたのですか?」
少し怒った表情で、彼女は俺を睨む。
「四千年もの間、姿はおろか、気配すら確認出来なかった理由…教えて頂けますか?」
「あー…実は俺にもよく分からん。」
俺はこれまであったことを、天使のことや転生のことを伏せて説明した。
まあ簡単に纏めると…
・時間経過理由は知らない
・復活後すぐに諏訪へと(偶然)向かった
この程度。
これを道程も加えて説明したのみ。
「時間経過の理由は全く予想が出来ません。しかし諏訪の吸収についてのことで少し譲歩の余地はあります。」
「と言うと?」
「私は…仮にも諏訪の使者である貴方に、あっさりと侵入を許し、迎撃を行い、挙げ句正面からの戦いにて敗北を喫しました。」
「つまりは国として負けたから条件を呑むと?」
「端的に言えばそうなります。しかしそれではこの国の神々を納得させるのも難しいでしょう。脳まで筋肉で出来た頭の足りない神もいますし…」
一体誰のことだろうか。
ともかく嬉しい誤算があったものだ。
諏訪を取り込むのをやめさせるのはあと一手で済みそうだ。
神を納得させ、尚且つ民衆の混乱も抑えられ、諏訪を守る方法…
「諏訪子とお前が一騎討ちでもすりゃいいんじゃね?」
それで諏訪子が勝てば納得するだろう。
吸収に失敗しても、予想外に諏訪の神は手強かったで話は終わる。
国を守ったことで諏訪子の信仰も深まるだろう。
そうなれば統合に失敗はするものの、どうにかなることだろう。
俺が戦っては意味がない。
要因を余所者としてしまえば、諏訪の力ではない。
故に諏訪子に頑張ってもらうしかない。
八百長なら負けはないのだから、何を頑張るのかは俺も知らん。
しかしそんな提案も、天照には拒否されてしまう。
「恐らく納得、という点において、私では役不足でしょう。私の力は、戦神にはどうしても劣る。納得させるなら、他の者に任せなければ…」
「八百長話せば?」
「軟弱とかで癇癪起こされても困ります。下手に説明して、国を乗っ取るような欲を出し、暴れられても尚困ります。」
「そんな個性的面子なのか。神ってのは。」
新事実だ。
教科書にでも載せとこえう。(載せない)
「実際に諏訪子に全力で勝ってもらうのが手っ取り早いか…因みに勝ち目は?」
「……皆無とまでは言いませんが、限りなく不可能に近いかと…」
「知ってた。」
(『負けても平気でしょ。』)
突然の天使の声に、俺は天照が見てるのを忘れて驚いた。
「ど、どうかなさいましたか!?」
「い、いや何でもない。」
俺は天照にばれないよう、平静を保った。
実はあまり天使についてばれてはいけないらしい。
天照や月読と、こいつら天使やその上の神達は、根本から違うらしい。
天使であるこいつらでさえ、立場上は天照達より上、世界でさえ自由に行き来できる存在。
簡単に言うなら、天照達はゲームの世界の神。
天使達は製作者、のようなもの。
ばれることは単純に、その存在を認識させてはいけないということになる。
もし認識してしまえば、数多くの問題が起こるだろう。
なので平静を装う必要があるのだ。
説明されなければゲロってただろう。
(それで何で負けて平気なんだ?)
(『諏訪子が抑えになる厄介な神がいるのよ。あんた以外民衆ですら知ってるミシャグジってのがね。諏訪子以外には抑えられないってことは、民衆は祟りを恐れて信仰は諏訪子へ…ストッパーは、大事ってことよ。』)
(なるほど…まさか祟り神…なのかは知らんが役に立ってくれるとは…)
(『そうゆうことだから、あんたはそれを指摘すりゃいいのよ。まあ神が人間に拒否られるとか考えてないでしょうね。統合の目的は信仰集めだし、大和の神にも信仰が行くようあんたや諏訪子が上手く誘導すれば、大和側でも損はないでしょ。』)
つまり勝てば今まで通りの諏訪に。
負けても信仰は変わらず、対象が増えるだけに留められる。
得もないが損もない。
諏訪の方でも得は大和との正面切っての戦争にならないことぐらいだが、平和的に終えることが出来る。
問題は予測が外れて、ミシャグジの力が民衆を動かす程脅威ではない可能性。
まあそれは天照に聞けばこの場で分かる。
ということで…
「一つ聞いていいか?」
「……こちらも聞いてよろしいですか?」
「ああ悪い。さっきまでちょっと考え事しててな。それについては特に話すことはない。」
「それならいいですが…」
「それで俺が聞きたいのは、ミシャグジのことだ。」
「ミシャグジですか?」
「諏訪子が抑えるその神について、どの程度厄介なのかを知りたい。」
「……!なるほど…そういうことですか…」
彼女も理解したようだ。
流石に頭が切れる。
俺は説明を受けるまで気付かない程度だが。
彼女は大体は理解しているようで、しかも前向きに検討してくれている。
「その手なら、最悪こちらが勝ってしまったとしても、貴方との密約が可能となりますね。」
「ああ。だからミシャグジがどの程度か知りたいんだが…お前が可能ってんなら平気なんだろ?」
「ええ。ミシャグジは厄介な神。律する諏訪子に信仰が向くのも当然のこと。」
「なら、とりあえず話は纏まったな。」
「では、対戦の取り決めを行い、各々伝えに行きましょう。」
それから三十分程話合い、日程、ルール、場所が決まった。
一週間後、諏訪、大和間の平野にて、不殺絶対の真剣勝負。
不殺は俺提案。
諏訪子がこれで死んだら元も子もない。
戦力を減らすのは大和も望まない。
しかし死ななければどんなことでも許される本気の戦い。
その日までに、諏訪子を説得するのが俺は一番面倒だと思った。
三千文字越えると途端に読み返すの面倒になる。話分かってるのに誤字の確認作業の文字数増えるとか結構辛い…考えるの楽しいから書いた後の方が億劫なんですね。愚痴ってすみません。