「……(ぽけー)」
「…なんか凄く暇そう…」
事実やることがない。
縁側で団子食いながらぼーっとする日々。
暇過ぎて死にそうとはこのことだ。
これではいけない。
永琳や夜に久々会って駄目人間の評価を受けるのは望まぬところ。
となればやる…いや出来ることは…
―――――
「てことで何でも屋開業だ。」
『……』
四人が集まった居間で、俺はそう言った。
全員『は?』という顔になっている。
しかし俺のやってたことといえばこれ。
仕事として日々の暇の解消にもなった何でも屋。
後半はあの隊の訓練が主ではあったが、暇なときは何でも屋として別のことを行っていた。
考えると二ヶ月程度の生活で充実していたのは、何でも屋のおかげだった。
短い間で色々あったなぁと感慨に耽っていると、「別にやらなくてもいいんじゃ?」と諏訪子が言う。
「そんなことでもやってないと暇で死ぬ。」
「なら私達が何でもするよ?ほら、美少女も美女もいるよ?」
「だ、駄目ですよ!そんな簡単に体を許すのは…」
「冗談だよ。」
「本気でも却下だ。そもそも好きでやろうとしてることだからな。」
何でも屋はそもそもやらなくても生活は出来た。
つまり、生活のための金策というわけでは別になかったのだ。
続けてたのはただの暇潰しと、体裁を保つためだ。
ニートはちょっとな…
「しかしそれに私達の体が負けたのは納得いかないねぇ。」
「本当にねぇ。香苗のこの豊満な胸を揉みしだきたいとは思わないの?」
「お二方とも本気で怒りますよ…?」
二人が香苗をからかって遊ぶ。
勿論本気ではない。
ただ、二人の言うことは世間一般では当然のことだろう。
三人全員種類は違えど美しいと言える容姿。
むしろ一つ屋根の下で、一切手を出さない男は、枯れてる部類だろう。
(しかし悲しいかな…不死の体に欲ってないんだ…)
不老不死となったことにより、人間の三大欲求全てが、かなり希薄になった。
確かに団子は食べるし、眠りもする。
しかしそれらは、それぞれの欲求に従ったものではなく、娯楽…つまりは子供が遊ぶのと同じこと。
食べるのは上手いから、腹が減ったわけではない。
眠るのは好きだから、眠いわけでもない。
なら性欲は。
もはや認識も出来ない。
妖怪が人間を食らうのが本能であることに近く、俺は自由に生きるという本能で生きている。
枯れているのもあながち間違いない。
「とりあえず何でも屋はやる!絶対!」
「やるって言ってもさ…何から始めるのさ?」
「口伝でしょうか…?」
「もしくは適当に軽い手伝いみたいなの色んなとこでやるとかな。まあ基本その辺で十分だろ。」
都市でもスタートはそんなものだった。
徐々に紙に纏めてくれたりしてきたのだ。
「んじゃ少し回ってくる。」
「私も行こっか?」
「好きに歩きたいからいいよ。土産は団子な。」
「団子以外の選択肢は?」
「ない。」
―――――
「色々あるなぁ~」
町に繰り出し早二時間。
特に忙しそうな店もなく、食べ歩きのような状態。
やはり人伝いに宣伝でもしてもらわなければ難しい。
残念だが今日中にどうなることでもなさそうだ。
そういえばこの町には…というかこの時代には妖怪被害とかないのだろうか。
妖怪退治(追い払うだけ)なら自信はある。
一度帰って諏訪子にでも聞いてみよう。
―――――
めっちゃあった。
子供が行方不明、店が荒らされる、夜に悪戯をするのもいるらしい。
神奈子の話では大和には妖怪被害はないらしい。
まあ神の数の差だろう。
つまり妖怪に関することで、仕事が殺到した。
凄いね神の口伝って。
雑用と妖怪関連と…恋愛相談…みたいな色々計百近くの依頼が届いた。
つかこの時代に紙ってあるんだ。
「どれやるの?」
「確認で今日は終わり。」
「まあ暇潰しにはなってるよねぇ。」
「全部やるんですか…?」
「あー…恋愛相談とかきっかけ作りとかさ…自分で頑張ろーよ…」
「子供の遊び相手…諏訪子合ってるんじゃないかい?」
「それ見た目でしょ?確かに子供の相手は得意だし好きだけど…」
「あ、これ香苗宛の恋文だ。」
「なっ!なんてものを紛れさせているんですか!」
「この中だとやっぱり妖怪退治かねぇ。」
その後も一時間程見分していき、明日行う仕事を纏めた。
ちなみに、香苗宛の恋文の数は百中十二だった。
―――――
「兄ちゃんこれそっち運んでくれ。」
「あいよ。」
俺は今、飯屋の荷物運びを行っていた。
というか品の補充だ。
いつも補充に来てくれてた人がぎっくり腰らしい。
急ぎの仕事だし早々に引き受けた。
諏訪子達も普段行くらしいから、休みになると困る。
俺はそこが終わった後、次の依頼に向かった。
―――――
「いらっしゃいませ~」
団子屋の接客、子供の遊び相手、病気の子の話相手、湖での魚釣りなどなど。
危険があったのは魚釣りくらいなものだ。
妖怪退治を受けるのもいいのだが、ガチめに殺れって書いたものばかりだった。
話せば分かる奴もいると思うが…
とにかく一日で消化出来たのは計八つ。
まずまずな稼ぎだ。
―――――
「それで?依頼書に自分達の願望も混ぜたと?」
『……』
実は神二人(柱?)が依頼書を混ぜていた。
神奈子は手合わせ、諏訪子は特訓。
それならやることは決まりだ。
「神奈子の依頼と諏訪子の依頼…一片に片付ける。」
「一片に?」
「まあ特訓なんて継続だし、終わりはしないけどな…神奈子の手合わせを諏訪子も一緒にやる。つまり諏訪子の依頼に神奈子の依頼を組み込むってことだ。」
「まあ戦ってれば強くなれるしねぇ。」
「そんな簡単に出来るのはごく一部だろうな。」
「そうかい?」
「……早速明日やるぞ。」
気の抜けた返事をした二人は、土産の団子を頬張るのであった。
次回!諏訪子&神奈子vs望!デュエルスタンバイ!