東方白望記   作:ジシェ

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なんか一月更新みたいになってる…モチベは回復したけど時間なかったんですよね…まあ時間あるとき書きます。


二十七話 ~百鬼夜行の主達~

諏訪の知り合いに挨拶をして、百年ぶり程に旅に出た。

結果今どこにいるのか。

自分でも分からない。

適当に歩き周り、時に妖怪の相手をし、たまに熊やら猪を食い、渡り歩いて早数年。

 

「ここはどこだ…?」

 

森の中を数日間さ迷っていた。

そもそも方向音痴が旅をするのがおかしいのだ。

東西南北も分からない俺が、森を抜けるなど最早不可能。

途中の村も案内はなく、目的地など考えてない。

尸解仙の情報は皆無。

本当にうんざりする森の中。

 

「木登っても何も見えねぇ…」

 

見渡す限り森。

定期的に生物がいないか気配を探っているが、少しの気配もない。

 

「……ん?」

 

そう思っていたが、複数の気配がある。

勿論感じるのは妖力…妖怪だ。

普通の人間が森にいるわけもない。

 

「…ちょっと小突けば道吐くか…?」

 

俺は迷い過ぎて少し荒んでいた。

 

―――――

 

「あ?」

 

妖怪の群れは、互いに殴り合っていた。

十数人入り交じった大乱闘。

一体何をしているのだろうか。

 

『らあっ!』

『くたばれぇ!』

 

様々な怒号が飛び交う。

 

「マジで何してんだ?」

「あんた…人間かい?」

 

妖怪の一人が話しかけてきた。

頭から生えた一本の角、この容姿だけで、その妖怪が『鬼』だと分かる。

 

「お前がリーダーか?」

「りー…だあー…?よく分からないけど人間がここに何の用だい。」

「いや…ただ迷っただけなんだが…」

「…あたしらの長に感謝するんだね。母様は人間と戦うことを望まなかった。見逃してやるから行きな。」

「…傲慢だな。」

「…何だって?」

「人間が妖怪より弱い生き物とでも思ってるなら、改めるといい。早死にするぞ?」

 

もっとも、俺の知る妖怪は人間を対等に見た末に相討ったが。

傲慢は身を滅ぼす。

これは大和が当てはまる。

見下していた相手に敗北し、相手にもしなかった神に願った。

 

「なら試すかい?」

 

体中からかかる圧力。

流石鬼の威圧は並じゃない。

しかし…

 

「その程度なら能力はいらないな。」

 

その言葉に怒りを覚えたのか、全力で殴りかかってくる。

受け止めた俺の足場は、クレーターになっていた。

 

「…受け止めた…?」

『姐さんの拳を止めた…?』

『嘘だろ…?』

「次はこっちの番か…」

 

拳を振り上げる。

体制を整えずに放つ拳に力など入らない。

しかし、振り抜いた拳は、いとも容易く鬼の体を吹き飛ばす。

 

「!?かはっ…」

「軽いはずなんだがなぁ…加減効かなくなってきてるな…」

 

旅中もある程度修練を続けていたら更に強くなっていた。

能力はあまり変化はないが、腕力や脚力、およそ身体能力と呼べるものは年々成長している。

鬼といえど母神レベルでなければ相手にならない。

 

「ぐ…(力が入らない…)」

「まだやるか?別に殺すつもりはない。森を抜ける道を教えてくれればすぐに去るよ。」

『勇義から離れろ!』

「!?」

 

とっさに背後へ飛び退いた。

勇義と呼ばれた鬼の前には、小さい体躯の、二本の角を生やした鬼がいた。

 

「……小鬼?」

「誰が小鬼だ!あんたより遥かに年上だ!」

「年上って…お前五千歳には見えないけど…」

「五千…?人間がそんなに生きられるわけないだろ!それより…よくも祭りを邪魔してくれたな!?」

「祭り?」

「その上勇義をここまで…鬼は喧嘩は好きさ…だけど不意を突いていたぶるのは違う!地獄を見せてやる…!」

(…なんかデジャブ…)

 

具体的に言えば天照も似たようなことが…

 

「萃香…違…」

『死ねぇ!人間!』

 

か細い声で反対しようとする勇義に気付かず、少し巨大化した鬼はその拳を振り下ろす。

重量分、当然威力は増す。

結果…先の倍近いクレーターが出来上がった。

 

「それでも弱いな。」

「は!?」

 

鬼の体を片手で投げ飛ばす。

すると同程度のクレーターが出来上がる。

さっきより更に加減して、叩き付けるときに少し浮かせた。

 

「話しを聞け!」

「………」

「俺は森を抜けたいだけだ。忠告を聞かずに襲ってきた鬼のことなんか知るかよ。まだやるなら…」

『!?』

 

少し威圧をする。

 

「加減しねぇぞ!」

 

その場の全員が恐怖した。

全身が震えて、身動ぎ一つ取れない状態。

この程度なのかと、自分でも驚きを隠せない。

この妖怪達は、弱過ぎる。

 

「…それで…道教えてもらえるか?」

「(コクコク)」

 

二本角の鬼は、首を縦に振り応える。

やっと森を抜けられることに安堵したと同時に、若干罪悪感を感じた。

理由はともあれ勇義という鬼を殴り飛ばしたのは俺だ。

 

「…確か鬼は酒が好物だったな…」

「?」

 

能力で空間を固定、停止することで、少しの物質を持ち歩けるようにした。

そして村や町で色々買って入れといた。

常に能力を使っているが、不思議と披露はない。

天使が管理してくれているのだろう。

おかげでこういう時に役に立つのだ。

 

「ほれ。」

「…!こ、これは…?」

「迷惑料と案内代だ。そこのと二人で飲むといい。」

「あ、ありがとう…」

 

恐怖が大きい。

まあ知ったことじゃない。

どうせ森を抜けるまでの付き合いだ。

俺達は…二本角の鬼と俺の二人は、他を置いて森の外へ向かった。

 

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