東方白望記   作:ジシェ

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風邪引いた…辛い…


二十八話 ~すれ違い~

「……」

「……」

 

ふたりの間に会話はない。

歩く足音がその静かな空間に木霊する。

片や恐怖から言葉を発せず。

片や最近会話自体しなかった人見知り(?)。

会話があるはずもなく、森の出口に一直線。

 

「…ほら、ここが出口。ここから真っ直ぐ行けば人の村が見える…はず…です。」

「おう…」

 

それ以上の会話なく、二人は別れた。

もし鬼子母神の子らだと望が気付けば。

もし鬼達が、望を仇だと気付けたなら。

別れることはなかっただろう。

鬼と…妖怪と人の共存が、出来たのかもしれない。

しかしそれは、可能性の話しに過ぎなかったのだった。

 

―――――

 

鬼と別れた俺は、言われた通り真っ直ぐ進んでいた。

平野を既に十日程。

嘘吐いたのかとイラつき始めた頃、ようやく人工物を見つけた。

 

「お、やっと見えた…」

 

およそ十キロくらいの距離に、塀のようなもの。

ゆっくり行っても三十分くらいで済むだろう(望に限り)。

ということで…

 

「ふっ!」

 

超加速した。

単に歩くのが面倒になった。

というより団子が食べたくなった。

と言うのも、村々を旅する度に、絶対に買うのが団子だ。

保存している団子もそろそろ切れる。

つまりこれは…獲物を見つけた鳥の行動だ。

まあ歩きで三十分なら、走ればいくつか。

およそ二分で到着した。

当然門衛に止められたが。

 

「な、何者だ!?妖怪か!?」

「人間だ…ん?どうなんだろ…」

「……はぁ…それで…何なんだ君は?」

 

旅人だと簡潔に答え、村(町?)に入れないか聞いた。

門衛は通ることを許可してくれた。

町に入り、門衛から少し説明を受けた。

どうやら門を通ると妖怪だけを弾くようになっているらしい。

月の都では門以外だったものだ。

 

(となると…ここにも神が?)

 

自然な疑問だろう。

妖怪を弾く結界を、一介の人間が出来るものでもない。

 

「なぁ…ここってなんか…こう…特別?いや…不思議な力持った奴とか…いるのか?」

「不思議な…ああ、町の結界は旅の者が施して行った物だ。あの方を探していたのか?残念だがもう…」

「いや、そうじゃないんだが…」

 

どうやらそういうわけでもなさそうだ。

ならばいつも通りしばらく住み着いて…

 

「しかし不思議な力というだけならば…聖徳太子なるお方が住んでいるぞ。」

「……聖徳太子?」

「ああ。一度に複数人の言葉を聞き取れる方だ。他にも我々では理解出来ない知識の数々、どのような問題も解決してしまう高い叡智、まさしく神の子と呼ばれるお方だ。」

「余程心酔してるな…」

 

しかしそういった者がいるかつ広い町、神子のことについても聞けるかもしれない。

 

「日中ならいつでも相談が出来る。一度行ってみたらどうだ。

「……場所教えてくれ。」

「ああ。」

 

―――――

 

それからというもの、町の散策と団子買いだめ、聖徳太子についての聴取、色々行った。

結果というもの、聖徳太子に対する人々の信頼、その程度を知ることが出来た。

所謂崇拝、あるいは魅了、恐らく聖徳太子という人物は、人心掌握に長けている。

勿論悪事を働いているわけでもなく、妖怪との戦闘には前線に出、貧しい者には財を与える。

まさしく聖人君子足る人物らしい。

 

「なんか怖いな…この町。」

 

何故そう思うのかは何となくだが、もし聖徳太子がいなくなったらどうするのか。

この町の不安要素は、万能なだけに、一人だけで回るこの政治。

俺は、相談に託つけて、聖徳太子への進言に向かった。

ただのおっさんに優しくする?

聖徳太子は…まだ二十歳過ぎの女性らしい。

男ならともかく、女となれば心配になるのも仕方ない。

せめて頼れる部下の一人もいなければ、ここは終わる。

 

(まあ裏からの依頼だがな!)

 

団子の買いすぎで金欠の俺は、結局は金で動くのだった。

 

*望は何でも屋です

 

 




しかし本当に一月投稿みたいになって申し訳ない!早く…します…(何度目だっけ…)
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