「ふわ~あ。」
昨日寝れなかった分超眠い。でも信頼に足る人が一人でも出来てよかった。今日は村長んとこ行こう。何年かはのんびりしよう。死別は一応辛いし、夜が結婚でもしたら村出るか。よし。そうと決まりゃ早く家見つけねえとな。
「望さん、起きた?」
「夜、丁度いいとこに。村長の家まで連れてってくんね?家探そうと思って。」
「あ、そうよね……うん、行こう。ついてきて。」
……なんか笑顔なんだけど。そんな俺居なくなんの嬉しい?泣くよ?
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『おい見ろよ。あいつあの色違いと一緒にいるぜ?』
『マジか信じらんね。よく一緒に居ようと思うな。』
『あんな気味の悪い女とよくいるぜ。』
……夜の悪口が絶えない。見る限り(極一部だけど)そこそこ化学は発展しているから、虹彩異色症くらい知ってそうだけどなぁ。医学も発展してるだろ。あれ?でもオッドアイって片青眼とも言われてるよな?夜の眼って何で黒と黄なんだ?……何かあったのかな。怪我とかで色変わることもあるそうだし。……俺が知らないだけか……
「ここが村長の家よ。」
「ここかぁ。空き家とかまずあるかな。」
「きっとあると思う。あれば貸してくらいはしてくれると思う。村長夫妻はいい人だし、私を嫌わないからね。でも……あまり人と話すのは慣れてないし、いても役に立たないから、私は買い物でもしてるね。」
「ん、分かった。家の場所決まったら伝え行くから買い物終わったら家居て。」
「うん。」
さてさて村長ってのはどんな人なんかね?
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えっとインターホンどこ?あ、あった。
「すみませーん。誰か居ますかー?」
あ、この挨拶まずいか?でも居るかは確認しなきゃだし……「はーい。」あこれ居ますね。
返事を返した声は女性のもの。夜より上、多分二、三十代?
「どなたでしょうか?」
出てきたのは二十代ぐらいの女性だった。どう考えたってこの人は村長の妻という歳には若すぎる。
「村長に少し頼み事があって来たんですけど、村長は居ますか?」
「ええ。どうぞ。」
「ありがとうございます。」
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先ほどの女性に案内してもらって村長の部屋まで来た。さっきの女性は従者だったらしく、案内が終わったらすぐに去って行ってしまった。どうやら別の人が来客は伝えていたようだ。
「入っていいですよ。」
いや来てること知ってても扉の前にいることなんて分かんねえだろ。何者だよ村長。
「すいません。入ります。」
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この人が村長らしい。歳は多分六十ぐらい。体格がいいとか頭よさそうとかそんなことはない。ごく平凡な老人だ。
「ようこそ。貴方は旅人ですか?」
「少し違います。多分格好でそう思ったと思うんですけど、少し事情があって……」
「その事情とは?」
「……理由などは省きますが、俺は記憶をなくしてるんです。それで、しばらくこの村に置いてほしいんです。」
「……記憶喪失、ですか?それは難儀な……」
「はい。その理由は話せませんが、戻す方法は分かってるんです。ですが、住居がないし行く当てもなくて……頼み事というのは空き家を貸してほしいんです。」
「……やはりそうですか。少し外れたところに一軒だけあります。案内は従者に任せますので、そこを自由にお使いください。」
「……え?そんな二つ返事で了承してもらっていいんですか?」
「構いませんよ。人というのは持ちつ持たれつ。困ったことがあれば何でも言ってください。ただ……こちらからも一つ、頼んでもよろしいでしょうか。」
「頼み?」
「はい。近頃妖怪たちの動きが活発になっているんです。村を襲いに来る者もいて……」
「その退治ですか?」
「はい。」
妖怪の退治なんて俺出来るのか?でも確かあの天使とか言う奴の説明だと霊力と魔力使えるんだっけ?上手く使えば戦えるんじゃないか?俺。・・・何で能力はないんだろ。
「もちろんその実力がないと断ってもらっても構いません。それでも住まいは保証しますので。」
「…少し、時間をくれますか?記憶がない分、自分がどの程度、何が出来るのか何も分からないんです。」
「ええ。ご自由に。ですがもし妖怪たちを仕留めてくれたのなら、それなりの報酬はお与えします。」
……妖怪、か。行くか。どうせ死なないならいくらでも挑んでやる。報酬もあった方が生活が楽になるしな。少し力の使い方勉強するか。
「ありがとうございます。期限などは?」
「いつでも。お好きになさって下さい。それと……ため口で構いませんよ。敬語は慣れてなさそうですからね。」
「!……ありがとう。」
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「到着しました。この家屋はご自由にお使いください。」
「ありがとう。」
与えられた家屋に到着した。お礼を言ったら従者の人は帰っていった。家はそこまで大きいわけでもなく、ぼろぼろなこともない。ごく一般的な家屋だった。
少し家の整理したら夜のとこに行こう。あ、でも遠いな。まあ問題ないか。
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~望退出後村長視点~
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(記憶喪失……となると人かすらも分かりませんね…危害を加えないならよいのですが…)
「……ふふ…あの少年には危害を加えるなどという考えすらなさそうですな…誰か、永琳殿に彼のことを伝えてきて下さい。」
「私が向かいます。しかし…何故嬉しそうなのですか?」
「…老人には老人の勘というものがあります。私には、あの少年が今を変えてくれる大きな要因になりうると思うのですよ。」
「そう…ですか…では、行ってまいります。」
「ええ。お気をつけて。」
村長は丁寧語です。永琳さんいる時点で気付いてると思いますが、ある神の村です。一応名前は伏せで。