東方白望記   作:ジシェ

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wiki参照情報結構使った~


三十二話 ~護り神~

「………?……んん!?」

 

疲弊しきった状態で、俺は村を見つけた。

正直予想外な位置…森の中にあった。

 

「やっと人のいる…」

「…ん?き、君!どうした!?何故そんなにぼろぼろなんだ!待ってろ!すぐに治療を…」

「あ、大丈夫。傷とかはないから。」

「……本当か?」

 

こんな森の中、突然現れた男を妖怪と疑わないのか?

そう思いながら、招かれるならと村に入る。

別段変わったところもなく、村にしては大きいくらい。

 

「服なら俺の古いのになるが、お前に合うやつもあるだろう。本当に怪我はないんだな?」

「ないって…(あ、敬語忘れてた…)…ないです。」

「ならいいが…あと今更遅いぞ。」

「…おう。」

 

しかし特に何かある村でもなく、特別な人物がいるでもない。

門番の男と話す内、その村に滞在することを決めた。

聞けばこの森には妖怪はいないらしい。

この村の変わった所はそこだろう。

村の守り神たる存在がいるようだ。

誰も見たことはないが、村の伝説によれば…

牛や山羊のような姿をしており、曖昧な容姿。

人四人分程の巨駆に複数生えた角。

自然の具現のような翡翠の瞳を複数。

それら特徴を持つ獣。

百年近くの時を護り続けてきた…護り神だ。

 

「あのお方のおかげで、俺達は平和に過ごせる。旅人には分からんだろうが…あのお方を馬鹿にするのは、この村の皆が許さん。この村に留まるなら…それだけは覚えておけよ。」

「……おう。」

 

盲信宗教は敵に回すと一番面倒くさい。

 

―――――

 

「~~♪」

 

人との会話がこんなに楽しいこと初めて知った。

失って知ることもあるというが、やはり得て知ることの方が多い。

 

「お、さっきぶりだな。」

「おー…門は?」

「当然交代制だ。」

 

それから門番の人と他愛もない話をしながら、食事処で夕食にした。

そこそこ獣はいるそうで、飯は肉だ。

何故妖怪がいないのかは…よく分からない。

神に類する者なら、妖怪だけ避ける方法があるが、実際どうなのだろうか。

 

「?」

「――――……?ああ、すまない。食事前には祈りをするのは癖でな。旅人には分からんだろうが…狩りが出来るのもあのお方のおかげだからな。」

「ほー俺には無理だな。」

 

神と喧嘩するし脅すし教えるし。

多分上位の奴らと関わり深いからな。

食事を終える頃にはすっかり日も落ちていて、人通りも減っていた。

 

「色々ありがとな。おかげで宿も取れたし、飯にもありつけた。」

「いんだよ。持ちつ持たれつだろ?次はお前が何かしてくれよ。」

「ああ。」

 

久しぶりの会話は楽しく、飯は旨く、布団で寝るのは暖かかった。

ゆっくり休み、翌日。

平和は短いと言うが…一日で終わるとは…

 

『おい!早く消せ!』

『馬鹿!溢すな!』

 

一軒焼けた。

それはもう凄い勢いで。

よりによって俺が村に来た直後に。

村人の目線は俺に注がれる。

それはそうだ。

俺が来たのは昨日、そして焼けたのは今朝。

 

「お前が…お前が…やったのか…?」

「門番さん…」

「何故だ…何の恨みがあって…」

 

完全に犯人扱いだ。

しかし村人全員がここまで焦るとは…特別な家だったのか?

その問いはすぐに解消された。

 

「ああ…白澤様がお怒りになる…」

(ああ…昨日言ってた奴関連のものが…)

 

気付いた時には、狼のような遠吠えが辺りに響いた。

家の壁が焼け落ち、中が見えるようになる。

食料や獣の骨、姿を型どった像。

勿論それも焼けていく。

 

『ウォオオオォーーン!』

「おお…白澤様…どうかお鎮まり下され…」

 

…確かに遠吠えは大きいが…怒りの感情は見られないような…

 

『……やはり…我が主が参ったか…』

「白澤様…?一体…」

『そこにおられる腰に扇を携えたお方よ…私は貴方に従います…』

「……あ俺か。どうゆうことだ?」

『天照様、及び月読様より、各地に霊獣が配置されているのです。貴方との連絡係として、共に行くために。』

「あいつら…それなら人間の方がよかろうに…」

『あの方々も貴方がいなくなることが不安なのでしょう。我々はあの方々に作られし存在。どのような雑事も、従うのみ。』

「じゃとりあえずまず一つ。あの家焼いた奴は誰だ?」

『私です。私を繋いでいるあの家が残っていると、私は自由に行動出来ません。』

「おう…」

「お、お待ち下さい!白澤様!どうか我らを見捨てないで下さい!白澤様がおられなければ、この村は…」

 

そう叫び歩いて来たのは、青く長髪の若い女性。

見捨てないよう願っているが、白澤は俺に従うと頑として動かない。

 

「…お前は俺に付いて来るつもりなのか?」

『霊獣は総じて、創造者、並び契約者との念話を可能とします。私が貴方に付いて行けば、天照様方に、貴方の生存を伝えることが出来る。なので付き従うことをお許し下さい。』

「むぅ…しかし村を見捨てるのは…」

『…では…お主に私の力を与えよう。その力を用いて、村を護るがよい。』

「え!?」

 

そう言い白澤は体から光を放ち、その女性を光に包んだ。

 

「!?」

『少し動くな。そうすれば、お主に私の力を与えることが出来る。』

「人間に与えて大丈夫なのか…?それ…」

『…種族が少し変わろう。半分は霊獣に…』

「は!?それまずいだろ!」

 

種族が違うことは、人間の畏怖や敵意の対象に成りかねない。

例え半分でも、人間からの虐待もあり得る。

しかし女性は構わないようだった。

 

「村を護るためなら…構いません!」

『そうか。ならば私の代わり、精々頑張るといい。お主からは…心良い気配を感じるのでな。期待している。』

 

親が子を見るように、白澤は彼女に優しい眼差しをむけた。

その日、そこに一人の守り神が生まれた。

鬼の角のような二本の角、それ以外はあまり変わりないが、人ではないと断言出来る者に。

後にその者は百年に渡り村の守り神となることを、その場にいる者は、当然知る由もなかった。

 




誰か分かりますね?白澤(ハクタク)ですからね?
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