「お、望今日は団子食ってないのか?」
「もう食ってぶらぶらしてたとこ。」
彼はこの村の門衛であり、最初に俺に声をかけた人物である。
来てから既に半年程経つが、最も交流があったのは彼だろう。
「白亜はどうした?」
白亜というのは白鐸のことだ。
というのも妖怪退治をする旅人もいるようで…白鐸は既に討伐対象らしい。
…あいつ妖怪じゃないよなぁ?
まあそれにそもそも人の名前っぽくないし。
ちなみに原因は白鐸の狩り現場をみられたことだ。
も一つおまけに門衛の片思い相手でもある。
正体知ったらどうなるだろうか。
一応後悔する程度のことは言ったから、何があろうと自己責任で頼みたい。
「白亜は今頃酒でも飲んでるんじゃないか?あいつ常に腹ペコだし。上手い物ならがっつくし。」
「そ、そうか…」
白鐸はとにかく食べる。
それこそ俺の五倍くらいは。
元々供え物で人間の料理の味を知って、軽く中毒になっているのだろう。
彼女は今日も貪り続ける。
団子だけなら俺の方が多いが。
「な、なぁ!白亜に飯でもどうかってさ…俺言ってたって伝えてくれないか?」
「えー…自分で行けよ。」
「いや、その…な?」
「…分かった。でも次からは自分で誘え。」
「あ、ありがとう!」
二人の仲を取り持つのは難しい。
いや訂正面倒くさいだけだ。
大体半年で飯にすら誘えないのはどうなのだ。
―――――
更に半年の時間が経った。
白鐸と門衛の仲は少し…そう少しだけ進んだ。
お茶友くらいには進んだ。
日常的に二人から聞かされると二人の交流のほとんどが聞ける。
前の記憶の時友達がリア充爆発しろとか言っていたが、俺はどちらかと言えば応援する派だ。
人口減るのは望まない。
人の不幸は水の味、人の幸福は…砂糖水辺りかな。
つまり興味ないだけだけど。(応援してない)
「この一年で思ったことがある…」
「?また暇とか言うのですか?先日も同じことを…」
「違う…わないけど、それじゃない。一年の間神連中やら…実は少し交流ある妖怪からの連絡もない。」
「そうですか…別に問題ないのでは?」
「そう思うか?一年連絡なしとか…月読に次会ったら串刺しじゃないか?もう片方は単に気になる。」
「月読様もそこまで過激ではないでしょう…おそらく。」
「まあ一番は暇なんだけどさ…今ならちょっとした町の危機とか歓迎するぐらい…」
フラグは立ったようだ。
その言葉を言い切る前に、鐘のような音が辺りに響き渡る。
危険信号…つまり門衛では戦力が足りないような場合の鐘だ。
「……あんなこと言ったからかな…」
「…では、責任を取ってきて下さいね。」
俺はため息を吐きながら、音の方へ向かった。
―――――
『槍構え!絶対に通すな!』
『はっ!』
『――!』
「すげぇ…」
いつも妖怪が攻めてくる時は決まって数体。
それが群れ…凡そ百近くの群れで来たのだ。
まさに町の危機そのもの…俺のせいじゃないようん。
「加勢した方がよろしいのでは?」
「対処出来なそうならするかな…この町に俺らが留まるわけでもないし。いなくなった後考えるとな…」
「…そうですね。」
見るところ槍も出来ているようだし、妖怪と争うには十分な装備があるようだった。
相手に能力持ちや痛みをものともしない変異種がいない限り…
「あっ」
「どうしました?」
「……また余計なフラグ立てたわ…」
「…?」
口は災いの元とは言ったものだ。
「あれは…」
「能力持ちだな…矢が全部地面に落ちてる。周りも沈んでるし、重力辺りじゃないか?」
「どうしますか?」
「どうって…なぁ?」
久々に…暴れよう。
争いの中心に、俺は飛び出した。