東方白望記   作:ジシェ

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ダンカグのトランスダンスとうさていが実装当初からエキスパフルコン取れない…他全部出来たのに…どうクリアすんの…?


三十八話 ~戦場で鬼は嗤う~

戦争の渦中に飛び込むことなく、少しの間空から眺めていた俺と白亜。

どちらからも攻撃を受けることなく見ていることが出来たが、状況は芳しくなかった。

既に双方大量の死者が出ており、止めたところで溝の深い出来事になってしまうだろう。

 

「これじゃ紫の願いは…」

「……主様。とりあえず手っ取り早く辺りを吹き飛ばして、私達に注目を集めませんか?」

「そうだな……白亜、炎を放てるか?」

「はい?しかし主様の殴打で地を殴る方が、威力も見た目も派手では…」

「俺の能力は想像力が大事だからな。お前の放つ炎を、着弾と同時に爆発させる。そっちのが派手だろ?撃つ必要はないが…想像しやすいんだよ。」

「……では。」

 

白亜が掲げた両の手から、恐らく白亜にとっての限界ギリギリの火球が造られる。

俺の能力の必要がない可能性を作ってくれたのだろう。

その分本人凄い必死だけど。

余談だが白亜の能力は『炎』ではなく『浄化』だ。

天照達の霊獣の能力は全て浄化であり、発動の見た目が違うだけらしい。

 

「…これで大丈夫ですか?」

「…俺の必要なさそうだなぁー…」

 

近くにいた奴らの…百人近く焼けてる。

まああの程度で死ぬのは人間だけだから問題ないと思うが。

とにかくそれだけで注目は集められ、俺の能力を使う必要はなかった。

 

「ふぅ…妖怪も神も全員…戦闘を止めろー!」

「演説は苦手ですか…」

「煩い…神共!お前らの上役、天照は無事だ!全員矛を納めろ!」

 

神連中はそれが本当かどうか信じられない様子で、訝しげにこちらを見ている。

むしろ妖怪がそれを聞いてざわめき始めた。

 

「妖怪側も矛を納めろ!戦争はこれで終いだ!もし続けるというのなら…鬼子母神でさえ勝つことの出来なかった、俺が相手になってやる!」

 

それを聞いて更にざわめく妖怪側。

神側の中に俺を知る者がいたのが決め手となった。

神側は撤退を始め、妖怪側もこの言葉を信じたようだ。

 

『人間ごときに母様が負けるものか!』

『母様が死んだのは神のせいだ!』

『卑怯な人間共め!母様と堂々と戦わずに殺しやがって!』

『皆殺しだ!絶対逃がさねぇ!』

 

それでも撤退をしない妖怪がちらほら…いや半分程。

 

「警告はしたぞ…!」

「殺さないで下さいね。」

 

浮力を無くして落下する俺。

勢い任せに地面を殴り、白亜の炎以上の威力で辺りを吹き飛ばした。

俺達がやるのはあくまで時間稼ぎ。

妖怪が撤退してくれれば、このまま全部終わりだったのだが…

ここに俺達が来たと同時に、萃香のところに夢花と紫を行かせたのだ。

説得が成功すれば、鬼のトップに逆らう妖怪はいないだろう。

神はもう戦う理由がない。

それに考えてみれば紫も神妖の共存は可能とは思っていないだろう。

最初に言ったのも妖怪と人の共存だから。

 

「……それじゃ駄目か…」

 

あいつが人と妖怪の共存を目指すなら、俺はそれを手助けする。

でも…俺が協力するのに、敵対勢力がいるなど…

 

「そんな世界じゃ意味ねぇな!」

 

妖怪が犇めく戦場の中、薙ぎ倒しながら嗤う。

その思想を嘲笑するかのように嗤い続ける。

嗤いながら蹂躙する俺の姿を、離れた神達はこう言った。

 

《嗤い鬼》と。

 

妖怪が神を憎むなら、その矛先を俺に向ける。

神からは畏怖の対象として。

妖怪には恐怖の対象として。

『俺』という存在を作る。

 

「くくっ…」

「主様…?」

「白亜。ここから俺がすること…許してくれ?」

「何…を!?」

「悪いな…」

 

俺の手は、白亜の腹を貫いた。

妖怪からは大量の仲間を奪った化け物として覚えさせる。

神には戦いとなると敵味方関係なく無差別に殺そうとする殺戮者と思わさせる。

そのために、死なないながらに犠牲になってもらう。

 

「白亜…じゃあな…」

 

嗤いながらに妖怪を蹂躙する俺は、どれだけ恐ろしく見えたろうか。

すぐ横にいた臣下を瀕死にした俺の行動は、どれだけ混乱を招いたろうか。

 

「これでとどめだ!」

 

俺は火球を爆発させる。

先の白亜のように。

しかしそれが、神達も巻き込むように。

何よりその威力を、まともに当たれば死ぬかもしれない程にして。

遠くて分からないが、神も相当混乱している。

 

「夢花…勝手に悪いな…お別れだ…」

 

このやり方で得るものは、神の畏怖と妖怪の恐怖。

妖怪は俺を恐れ、神達に戦いを仕掛けることはなくなる。

神は妖怪との戦いで俺を使う危険性を恐れ、大規模な戦争は行わない。

それに天照達が俺の考えに至らないわけもない。

もはや神妖の戦争は起こりえないだろう。

妖怪は仲間意識が薄い。

神は死ぬと天に還るとされている。

つまり今回の戦争は、大きな亀裂になりえない。

戦争の可能性を潰せば、今回の出来事は風化する。

しかも味方は両方のトップ。

その二方が繋がる以上、神妖の共存は現実味を帯びる。

元凶の人間は月読が対処済み。

鬼子母神のお陰で妖怪の上の方の存在である鬼達は人を喰わない。

神、人、妖怪、その共存に可能性が出来たのだ。

確実ではなくとも、もはや俺の協力は必要ない。

ただ一つ悔やまれるのは…そこに俺がいないことだ。

今回のことで俺が失うのは、仲間の信頼、俺を含む共存の道、そして…守ると誓った約束。

 

「ははははは!!」

 

俺は嗤う。

嗤い続ける。

その場を壊して嗤い続ける。

 




望にそろそろ旅させる。思いつきだから確実なことは言えないんですけど…もしかしたら幻想郷に望が行くの、まじで遅くなりそうです。下手したら諏訪子達と同時期かな?
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