「夜~いるか~?」
俺は今、夜の家の前にいた。報告に来たのだが、やはり遠い。
つかこの距離は狙ったとしか思えないんだけど。ここわりと広いから確実に一キロぐらい歩いてるからね。つか夜全然出てこないんだけど。
「よ~る~?いないのか~?」
もっかい呼んでみよう。うん?何で出てこないの?扉……開いてる。
「夜~入るぞ~」
よし入ろう。無断で女の子の部屋に入るのはどうかと思うが、出ない夜が悪い。これで家に居なくてもあけっぱで出かけた方が悪い。
そう思い中に入ってみると、そこには試験管を持った夜がいた。
「何してるんだ?」
ぶつぶつ言ってる夜の後ろから声をかける。
「ひゃあ!?」
随分と女の子らしい声を上げた。
「の、望さん!?いつから居たの!?」
「ついさっき。何してんの?」
「あ、えっと……」
「薬?どっか悪いのか?」
普通に心配で聞いてみたけど、何か焦ってんなぁ。
「えっと………その………話さなきゃ……駄目?」
「……話したくないならいい、けど…病気なら言ってくれよ?」
「……うん。」
「……そうだ!家見つかったんだよ。結構外れの方なんだけどな?」
「そうなの?よかったぁ……」
「連れて行きたいんだけど……ただ、少し問題がな……」
今まで村長と話していた内容を伝えた。
「妖怪の、退治……?」
「何で疑問形?」
「だって……危険でしょ?」
「ん、そりゃな。妖怪と戦うのに危険がないわけないだろ。」
「……………」
え、なに?俺なんか悪いことした?なんか黙り込んじゃったんだけど。妖怪と戦うのってまずいの?
「ねえ、無事で帰ってきてくれる?」
「……心配してくれるの?」
「だって……もし望さんがいなくなっちゃったら……」
「!………ふふ。」
「な、何で笑うんですか!うう……」
「……俺は居なくならないよ。いつか、夜が人と一緒にいられるまで。」
「!ありがとう……」
守りたい、この笑顔。聞き覚えあるな。このフレーズ。記憶ないのに。つか暗にいつか去るって言ってたな…今気付いたけど。
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「じゃ、明日また来るよ。すぐに出てくけどね。」
「うん。またね。」
夜の家を出て、自分の家へ帰る。もうすでに七時だ。
「飯は……いいか。とっとと寝よ。」
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「ふわ~あ。」
なんだろ。昨日寝れなかった。なのに眠くもないし寝た気もしない。もしかしたら寝なくても平気なのかも。まあ不老不死だしありえない話じゃないか。………あれ?俺一昨日は眠くなかったっけ?疲労度の問題かな。
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「よお夜。おはよ。」
「おはよう、望さん。でもこんな早い時間に来て平気?眠くない?」
「いや~体質か習慣か。なんでか眠くなくてさ。起きてるか不安だったけど、来るの早すぎた?」
「ううん。早く会えるなら、嬉しい。」
「それならよかった。」
それからしばらく世間話をした。
「じゃ、俺はそろそろ行くな。」
「…うん。気を付けてね。」
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「さて。道が分からん。俺はそんな方向音痴じゃないんだけどなぁ。ちょっと道聞くか。すみませーん。」
適当な人に道聞いて早く行こう。行って帰って来よう。
「ん?どした坊主?」
「すみません。道を教えてほしいんですけど……」
「道?どこ行きたいんだ?」
「ここの外なんですけど……」
「外?妖怪居るのによく行こうと思うな。外行ったってなんもねえぞ?」
「えっと、ちょっと用事が。」
「ん、まあ聞くだけ無駄だし分かった。こっちだ。」
「ありがとうございます。」
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「着いたぞ~。」
目の前には門があった。普通の村にありそうな形の門だ。周りには柱があり、高台みたいになっている。
「ここが入り口ですか?」
「ああ。横の柱は妖怪が来た時に警戒を呼び掛けるためのもので、いつも誰かが見張ってる。」
え、つか門なんてあんの?夜が言うには他の村なんてないんでしょ?妖怪どんだけ警戒してんの?ここが端なら周りスカスカじゃん。本当に警戒してんの?
どうやらこの街は、四方にある門で居住区を囲って、周辺の森林や洞窟やらと区切られてるらしい。かといって居住区が壁に囲われてるわけでもなく、どこからでも入れそうだ。
「でも入り口がこんなならどこからでも入れるんじゃ……」
「知らないのか?門以外は結界が張ってあって入れないんだよ。ツクヨミ様がくださった恩恵だな。」
なるほどチート能力者ですか。その能力教えてくださいよ。
「しかしお前、本当に不思議な奴だなぁ。今度会ったらゆっくり話そうぜ。色々教えてやるよ。じゃあな。」
「ありがとうございました。……さて、行きますか。」
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門を出て十分。未だに妖怪との遭遇はなし。人との邂逅もなし。平和な時間が続いていた。
「妖怪なんていなくないか?」
自然とそんな声が出た。妖怪は現れない。
フラグとか頼っても出ないよなぁ。妖怪退治に出たのに妖怪出ないんじゃ話にならねえなぁ。帰ろっかなぁ。
「あそうだ!なら魔力操れるか試してみるか!そもそも使えなきゃ戦えねえしな!」
何で力の使い方も分からないのに探してたんだ。そうと決まりゃ早速………どうすりゃいいんだ?
あれ待って。そういえば能力持ってないなら碌にイメージも出来ねえじゃん。何出来るんだ?俺。
「……確か街には結界が張ってあるんだっけか。結界ってパクれないかな。いや出来る!こういうのはイメージが大切なんだ。結界張ってみよう!」
全力で力を手に込めて壁みたいになるのをイメージした。瞬間、俺を中心に辺りの木が消し飛んだ。
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夜と望の世間話中
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「そういえば俺、さん付けて呼ぶ必要ないぞ?」
「あ……ごめんなさい……人との距離感が分からなくて……無意識で…」
「……とりあえずさん付け禁止な。」
「え……」
「この呼びあいだと、仲悪そうだろ?」
「………うん…」
夜は望を望と呼ぶようになった。
『仲よきことは美しきかな』ってデジモンの国語の授業で言ってたの思い出した。夜にはヒロイン属性を……多分付けないですね。場合によっては……まぁご想像にお任せします。