東方白望記   作:ジシェ

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まだ戦いはないことだけ明言しときます。


三話 ~妖怪退治は苦労の末に~

「夜~いるか~?」

 

俺は今、夜の家の前にいた。報告に来たのだが、やはり遠い。

 

つかこの距離は狙ったとしか思えないんだけど。ここわりと広いから確実に一キロぐらい歩いてるからね。つか夜全然出てこないんだけど。

 

「よ~る~?いないのか~?」

 

もっかい呼んでみよう。うん?何で出てこないの?扉……開いてる。

 

「夜~入るぞ~」

 

よし入ろう。無断で女の子の部屋に入るのはどうかと思うが、出ない夜が悪い。これで家に居なくてもあけっぱで出かけた方が悪い。

 

そう思い中に入ってみると、そこには試験管を持った夜がいた。

 

「何してるんだ?」

 

ぶつぶつ言ってる夜の後ろから声をかける。

 

「ひゃあ!?」

 

随分と女の子らしい声を上げた。

 

「の、望さん!?いつから居たの!?」

「ついさっき。何してんの?」

「あ、えっと……」

「薬?どっか悪いのか?」

 

普通に心配で聞いてみたけど、何か焦ってんなぁ。

 

「えっと………その………話さなきゃ……駄目?」

「……話したくないならいい、けど…病気なら言ってくれよ?」

「……うん。」

「……そうだ!家見つかったんだよ。結構外れの方なんだけどな?」

「そうなの?よかったぁ……」

「連れて行きたいんだけど……ただ、少し問題がな……」

 

今まで村長と話していた内容を伝えた。

 

「妖怪の、退治……?」

「何で疑問形?」

「だって……危険でしょ?」

「ん、そりゃな。妖怪と戦うのに危険がないわけないだろ。」

「……………」

 

え、なに?俺なんか悪いことした?なんか黙り込んじゃったんだけど。妖怪と戦うのってまずいの?

 

「ねえ、無事で帰ってきてくれる?」

「……心配してくれるの?」

「だって……もし望さんがいなくなっちゃったら……」

「!………ふふ。」

「な、何で笑うんですか!うう……」

「……俺は居なくならないよ。いつか、夜が人と一緒にいられるまで。」

「!ありがとう……」

 

守りたい、この笑顔。聞き覚えあるな。このフレーズ。記憶ないのに。つか暗にいつか去るって言ってたな…今気付いたけど。

________

 

「じゃ、明日また来るよ。すぐに出てくけどね。」

「うん。またね。」

 

夜の家を出て、自分の家へ帰る。もうすでに七時だ。

 

「飯は……いいか。とっとと寝よ。」

 

________

 

「ふわ~あ。」

 

なんだろ。昨日寝れなかった。なのに眠くもないし寝た気もしない。もしかしたら寝なくても平気なのかも。まあ不老不死だしありえない話じゃないか。………あれ?俺一昨日は眠くなかったっけ?疲労度の問題かな。

 

________

 

「よお夜。おはよ。」

「おはよう、望さん。でもこんな早い時間に来て平気?眠くない?」

「いや~体質か習慣か。なんでか眠くなくてさ。起きてるか不安だったけど、来るの早すぎた?」

「ううん。早く会えるなら、嬉しい。」

「それならよかった。」

 

それからしばらく世間話をした。

 

「じゃ、俺はそろそろ行くな。」

「…うん。気を付けてね。」

 

________

 

「さて。道が分からん。俺はそんな方向音痴じゃないんだけどなぁ。ちょっと道聞くか。すみませーん。」

 

適当な人に道聞いて早く行こう。行って帰って来よう。

 

「ん?どした坊主?」

「すみません。道を教えてほしいんですけど……」

「道?どこ行きたいんだ?」

「ここの外なんですけど……」

「外?妖怪居るのによく行こうと思うな。外行ったってなんもねえぞ?」

「えっと、ちょっと用事が。」

「ん、まあ聞くだけ無駄だし分かった。こっちだ。」

「ありがとうございます。」

 

________

 

「着いたぞ~。」

 

目の前には門があった。普通の村にありそうな形の門だ。周りには柱があり、高台みたいになっている。

 

「ここが入り口ですか?」

「ああ。横の柱は妖怪が来た時に警戒を呼び掛けるためのもので、いつも誰かが見張ってる。」

 

え、つか門なんてあんの?夜が言うには他の村なんてないんでしょ?妖怪どんだけ警戒してんの?ここが端なら周りスカスカじゃん。本当に警戒してんの?

 

どうやらこの街は、四方にある門で居住区を囲って、周辺の森林や洞窟やらと区切られてるらしい。かといって居住区が壁に囲われてるわけでもなく、どこからでも入れそうだ。

 

「でも入り口がこんなならどこからでも入れるんじゃ……」

「知らないのか?門以外は結界が張ってあって入れないんだよ。ツクヨミ様がくださった恩恵だな。」

 

なるほどチート能力者ですか。その能力教えてくださいよ。

 

「しかしお前、本当に不思議な奴だなぁ。今度会ったらゆっくり話そうぜ。色々教えてやるよ。じゃあな。」

「ありがとうございました。……さて、行きますか。」

 

________

 

門を出て十分。未だに妖怪との遭遇はなし。人との邂逅もなし。平和な時間が続いていた。

 

「妖怪なんていなくないか?」

 

自然とそんな声が出た。妖怪は現れない。

 

フラグとか頼っても出ないよなぁ。妖怪退治に出たのに妖怪出ないんじゃ話にならねえなぁ。帰ろっかなぁ。

 

「あそうだ!なら魔力操れるか試してみるか!そもそも使えなきゃ戦えねえしな!」

 

何で力の使い方も分からないのに探してたんだ。そうと決まりゃ早速………どうすりゃいいんだ?

あれ待って。そういえば能力持ってないなら碌にイメージも出来ねえじゃん。何出来るんだ?俺。

 

「……確か街には結界が張ってあるんだっけか。結界ってパクれないかな。いや出来る!こういうのはイメージが大切なんだ。結界張ってみよう!」

 

全力で力を手に込めて壁みたいになるのをイメージした。瞬間、俺を中心に辺りの木が消し飛んだ。

 

―――――

夜と望の世間話中

―――――

 

「そういえば俺、さん付けて呼ぶ必要ないぞ?」

「あ……ごめんなさい……人との距離感が分からなくて……無意識で…」

「……とりあえずさん付け禁止な。」

「え……」

「この呼びあいだと、仲悪そうだろ?」

「………うん…」

 

夜は望を望と呼ぶようになった。

 




『仲よきことは美しきかな』ってデジモンの国語の授業で言ってたの思い出した。夜にはヒロイン属性を……多分付けないですね。場合によっては……まぁご想像にお任せします。
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