東方白望記   作:ジシェ

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自分はビールは嫌いみたいです。


四十二話 ~人と妖怪の溝~

今夜も輝夜の元へ。

日が沈む頃には宿を出る。

 

「よっと…お邪魔しまーす!?」

「貴様が侵入者か。」

 

通い始めて一週間、いきなり槍を突き付けられました。

 

「貴様のような下民が、ただで輝夜様と会うなどと…許されざる大罪!」

「……輝夜さーん?」

「黙れ!輝夜様の名を気安く口にするな!」

「……」

 

後ろにいる輝夜は目を逸らしている。

罰が悪そうに冷や汗をかいている。

恐らくいつかのタイミングで目撃されたのだろう。

周りには警戒していのだが…

 

「……それで?俺どうなんの?」

「…ほう?潔いのは感心するな。そうだな…私も鬼ではない。子供を裁くのは気分の良いものではない。」

「……」

 

見た目は子供だよなー確かに。

まあ…鬼ではないって大体何か条件出す前だよな。

 

「しかし仏でもないのでな。輝夜様への求婚者達それぞれの受けた難題以上のことを成し遂げてもらう。」

「難題?」

「あ、あの…今回は私に免じて…」

「なりません。例え子供でも、男が輝夜様と逢瀬を重ねるなど、あってはならないのです。」

「でも貴方の条件は…」

「…貴様に課す難題は、『北の花畑から花を摘む』ことだ。」

「……花畑?」

 

なんとも拍子抜けする内容。

難題という割りにはお花摘み。

そんなもの、距離によっては一時間もあれば十分帰れる。

まあそんな簡単ではないだろう。

道中厄介な妖怪がいるか、はたまた主でもいるのか。

 

「…っ!」

「輝夜様。貴女はそれ程大切なお方なのです。」

「だからって…あの妖怪の花畑なんて…死を宣告しているようなものじゃない!」

 

主が正解のようだ。

恐らくこの都の人間がどれだけ挑んでも敵わない化け物なのだろう。

常人にとっての死刑宣告。

難題以上の難題…正しく無理難題というやつだ。

しかし…

 

「分かった。」

「え!?」

「…そうか。」

 

今輝夜との関係が切れるのはまずい。

恐らく輝夜が薬を渡す相手はおじいさんだ。

渡した直後に飲まれればもう取り返しが付かない。

飲まずとも、欲に溺れた何者かに、おじいさんが殺されることはほぼ確実だ。

輝夜から直接貰えなければ、俺の記憶を取り戻すのに、永琳の協力が必要になる。

その頼みの綱も遥か空の上。

選択肢はない。

 

(まあどんな妖怪であろうと、あいつ程強くはないだろう…)

 

「待って!」

「ん?」

「……花だけは…傷付けちゃ駄目…あの妖怪を…怒らせないで…!」

「……ありがと。」

 

有難い助言だ。

 

―――――

 

件の花畑に到着した。

特に道中襲われるでもなく、人とすれ違うでもなく、ただ歩いていたら到着した。

都から多少離れ、平原にぽつんと一つだけある花畑は、ある種異様な光景だろう。

 

「さてと…話して分かる相手なら…」

「あら?また懲りずに人間が来たわね…」

「……」

 

はい対話は無理そうです。

花畑の主は人間が嫌いなようだ。

片手に人間の生首を掴み、もう片手は優雅に傘を指している。

 

「……とりあえず無理だと思うんだけどさ…一輪でいいから花くれない?」

「許すと思う?」

(ですよねー)

 

まだ即攻撃してこないだけマシではあるが…殺気が恐ろしい。

あの生首は何をしたのか。

どうしようと考えていたら、過去最高数の弾幕が辺りを覆う。

本当に隙間もない程に。

 

「戦うしかないか…」

 

とは言え所詮弾幕は弾幕。

どれだけ食らおうと問題はない。

まあ痛いから能力で消すけど。

 

「……へぇ…これを耐えたのは貴方が初めてよ。」

「そりゃどうも。じゃもう終わりに…」

 

言い切る前にその妖怪は俺に襲い掛かる。

勢い良く傘を振り下ろされ、続け様蹴りが来る。

傘は掴み、蹴りは足を上げて受け、どの攻撃も大したダメージにはならない。

 

(確かに威力はあるが…)

 

受け切った上で、腹に掌底を放つ。

やはり避けることも受けることも出来ずに、妖怪…幽香はそれをまともに受ける。

 

「かは…!」

 

続けて攻撃は出来たが…俺は攻撃を止めた。

 

「……何故…止めたの…」

「お前を倒しても意味がない。それに、花が欲しいって言ってるのはこっち。つまり非は俺にある。」

「……人間(盗人)の癖に…今更遅いのよ!」

「…人間が何したかなんて知らないし興味もないけどさ…人間も妖怪も変わらないぞ?良い奴悪い奴なんて…種族じゃ分からない。」

「人間は嘘つきよ…!少なくとも、妖怪は人間程の邪心は持たない!醜い人間の分際で、私の楽園を穢すな!」

 

相当に人間を嫌っている。

過去裏切られたのか、はたまたなぶられたのか。

 

「まあさして興味もないさ。俺も悪と呼べるくらいには殺したしな。お前の言う通り人間は醜いよ。でも…それがなんだ?」

「何…!?」

「お前は人間を殺さないのか?お前は人間から何も奪ってないと言えるか?先にお前が人間に何かをしたとは思わなかったか?」

「何が言いたいのよ…!?」

「醜いのは人間だけじゃないってことさ。でも…どれだけ醜くても…生きようとする志は、穢しちゃいけない。お前の花畑と同じ物が、人間にもあるんだよ。」

「……」

「恨み続けるのも疲れるだけだぜ?」

「……もういいわ…一輪よ。」

「ん?」

「一輪だけ。その向日葵を持っていきなさい。今なら許すわ。けれど…もう私の前に現れないで。」

「…分かった。ありがとな。」

 

出来るだけ丁寧に手折り、その場を後にした。

 

 




幽香の時系列ワカンネ。他小説でここで出てるの見たことあるからここで出します。ちなみに公式で人間との関係極悪になってるらしいですね。割りと初めて知りました。にわかですみません。
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