「本当に行くの?」
「ああ。元々蓬莱の薬が目当てだったからな。」
「…私達のことはどうでもいいっての?あんなに話し合った仲なのに…」
「言い方よ…どうでもよかったら守ったりしねぇよ。でもな、半分は惰性で仕事をこなしてたようなもんだ。例え千年来の友人や絶世の美女と一緒でも、同じ場所に留まるわけにもいかないんだ。」
「…蓬莱の薬が関係するのね?」
「…間接的には。」
「そう…」
それからも軽く会話をし、報酬の蓬莱の薬を受け取った。
彼女は育ての親の夫婦に死んでほしくないがために、蓬莱の薬を渡すつもりだった。
しかしそれを二人は拒んだ。
結果、いらなくなった蓬莱の薬を俺は受け取れた。
まあ永琳と通信を取っていた彼女は、蓬莱の薬をいくらでも貰うことは出来たのだが。
とにかく一つ進んだ。
次に向かって歩き始める時だ。
「それじゃあな。」
「ええ。」
「またいつか。」
「…あ、そうだ。永琳、一つ頼みがある。」
「頼み?地上で私が出来ることなんてないわよ?」
「うーん…紫なら月にも行けるだろうから、本当は紫に頼みたいんだが…この刀と扇子、依姫と豊姫のものでな。月読から預かってたんだ。」
「……何でさっき渡さなかったのよ…」
「忘れてた。」
「……一応預かっておくわ。」
「頼む。それじゃ…今度こそ…」
「ええ。」
そのやり取りを最後に、二人とこの都に別れを告げた。
一期一会とはまさにこのこと。
これが俺の人生だ。
―――――
「さて…これどう捨てよう?」
手に出したるは蓬莱の薬。
破棄の方法に少し悩んでいた。
その辺に放れば何が使うか分からない。
消滅は破棄に当てはまるか微妙。
決められた捨て場所もないから結構悩む。
正直そんな定義なんて知ったこっちゃないが、要は俺の手元から失うことが判定だろう。
となればまずは安全の確保。
記憶を取り戻す時に俺は気を失う。
妖怪も人間もいない場所でなければ、襲われる可能性は十分ある。
「山にでも行くか…」
都で休むことは出来ない。
救ったのも俺なら、壊したのも俺のようなものだ。
寝てる間に刺される可能性は大いにある。
人間は面倒くさい。
―――――
火山に来た。
というか意図せず山登ってたら頂上に火口があった。
こんな場所誰も来ないだろう。
そう思っていたのだが…
念のため警戒していたらかなりの数の人が来た。
しかも見るからにかなり高そうな服を着ている。
つまりはお偉いさんって奴だ。
何しにこんな所まで?
―――――
仰々しく運ばれる小さな箱。
その護衛にやたらと多い人。
上から眺めているが、あれを火口にでも捨てるのか、それともここでしか出来ない儀式か何かか。
とにかく安全とも言えなそうだ。
移動するしかない。
が…何かが起こりそうな気がしてもう少し眺めることにした。
その人々から少し離れた後方、人影が一つ。
「子供…?」
明らかに小さい人影。
山を昇る大人達と離れ、必死に登る子供の姿。
「……」
その顔をよくよく見てみると…藤原の顔によく似ていた。
「…藤原…?」
火口に近づに連れ、子供と大人達の距離は縮まって行く。
山道は子供には辛いかもしれないが、体が軽い分慣れるのは早い。
まして大人達の速度は変わらないのだ。
藤原を追って娘が付いて来た?
違う。
俺はあることに気付いた。
都を守ってから…輝夜達と別れる時から…藤原を一度でも見たか?
『んー!』
『がっ…何だこの餓鬼…!?』
その子供は、箱に向かっていきなり飛びかかった。
不意のことに反応し切れず、箱はいとも容易く子供に奪われる。
『…この…!待てこの餓鬼!』
子供の首元を掴む。
握力が強かったのか、子供の走る勢いに耐久が負け、その服はその場所から破れだ。
瞬間反動で前方に滑った子供は、その場から山を転がり落ちた。
幸いなのは道を転がり落ちたことだが…子供が転がって無事な道ではないだろう。
流石の薄情な俺でも、見てみぬ振りが出来る状況ではない。
―――――
「………」
「…生きてるか?」
「……ぅ…ぁ…」
俺の能力は治すことは出来ない。
創り出し、消し去るのみ。
体を作ったところで、少しの不足があれば瓦解する。
人体とは、それほどまでに複雑だ。
助ける方法は一つ。
蓬莱の薬のみ。
「……何であんなことしたんだ?山なんて来なければ、こんな目に会わなくて済んだのに…」
俺が早く動けば、こんな目に会わなくて済んだのに。
「町にいれば、関わらなくて済んだのに。」
関わらなければ、知らないで済んだのに。
「…生きたいか?」
生きてくれ。
「……い…き………る……」
その言葉を聞いてからは早かった。
彼女の持つ箱の中身は蓬莱の薬。
それをその口から飲ませる。
無理矢理にでも飲み込ませ、吐き出すことも許さない。
冥界の神が俺に力を与えたのはこのためだったのだ。
東方の妹紅の設定過去とかないんよね。主人公と一番絡み安いです。ただこの先は他小説と似るかもしれないけどお許し下さい。個人的にこの展開は一番予想通りだけど一番好きなんです。