東方白望記   作:ジシェ

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嵌まるゲームは終わりないやつばっかり…完結出来るかな…


五十一話 ~過去と現在~

微睡む意識の後、俺は見知らぬ家…いや、前世の我が家に立っていた。

珍しくもない廊下、四つの扉はリビングや自室へ繋がっている。

部屋の構造を思い出す。

リビングから繋がれた一部屋…それが俺と、姉の部屋だった。

 

「懐かしいな…」

 

自室へ向かう。

扉を開けたその先には…仲睦まじい姉弟の姿。

 

「……」

 

俺は過去の記憶を少なからず持っている。

例えば…姉がトラウマになっていたこと。

姉が原因で、女性に酷く恐怖を覚えていたこと。

今更そんなことは思わないが、つまりこの凡そ平和そのもののような光景は、全て虚構に過ぎないのだ。

『小学生』の姉弟が、一緒に過ごすのは当然なのに、俺にはとても…

 

『僕大人になったら姉ちゃんと結婚するー!』

『そうね!』

 

小学生が姉に言う子供の戯れ言。

こんな光景も、珍しくないだろう。

ああ…だんだん思い出してきた…

 

―――――

翌日

―――――

 

「行ってきまーす!」

 

小学生なのだから当然学校に向かう。

しかしその日は忘れ物をして一度帰ったのだ。

 

「え…?」

「―――!?」

 

姉の体に鱗、手は灼けたように紅く、爪は獣のように鋭く、顔は憎悪に満ちていた。

その顔は、俺を見た瞬間に変わった。

驚き、慌て、逃げるように去って行った。

腰を抜かしてへたり込む俺の目には…焼け焦げた人の姿があった。

 

「ひ…わあぁぁ!」

 

声を上げて、俺も部屋を後にした。

姉がトラウマになったのはその頃だ。

学校にも行かず、家にも帰らず、河原で一人佇んでいた。

そんな時、迎えに来たのは親でもなく…姉だった。

その時のことが、鮮明に思い出される。

 

―逃がさない

 

耳元で囁かれたその一言は、若い少年にトラウマを植え付けるには十分だった。

泣きそうな顔で家に帰り、死体のあった部屋に向かってみると…朝のまま、綺麗な部屋があるだけだった。

 

―――――

 

「…あれが前世のトラウマか…」

 

意識を取り戻した俺は、しみじみとその記憶を思い出していた。

結局何だったのか、今となっては分からない。

しかしこれだけは分かる。

 

「今の方がよっぽどトラウマだな…」

 

理不尽に殺され、転生しては二度死んで、迫害、殺戮、逃げ隠れ、二度と会えない友を憂う。

知り合い一人に逃がさないと言われた程度、もはやトラウマ足り得ない。

そう考えれば、転生も悪くはなかった。

 

「…まだ夜か…」

 

俺は再び眠りについた。

すんなりと意識を手放せたのは、妹紅と離れなかった安心感からだろう。

 

―――――

 

「おはよう望。」

「……おはよ~…ふぁ…」

「眠そーだね。」

「今日は一日寝て過ごすかなー…」

「それもいいかも…」

 

何でも屋なんて職業だ。

依頼があろうとなかろうと、好きな時に仕事をする。

寝たい時に寝て、金が欲しけりゃ働いて、旅をしたけりゃ村を発つ。

自由こそが不老不死の特権だ。

 

「そういえば…」

「どうしたの?」

「……いや…ちょっとばかし用があってな。留守番頼んだ。」

「うん。仕事は…」

「帰ったらいくつかやるよ。誰か来たらいないって言ってくれ。そんな時間もかからないしな。」

「分かった。」

 

妹紅に留守を任せ、誰もいない林道に出た。

用というのは当然…

 

「次の課題だな…」

 

妹紅の前で見るわけにも…別に問題ないとは思うが、あまり変なものなら巻き込みかねない。

このことについては、極力隠す方向でいくと決めていたのだ。

 

[酒呑童子の守護]

 

いつも通りに課題を見る。

その内容はこの時代の人間には絶対に通じないものだった。

酒呑童子と呼ばれる者はただ一人。

鬼を統べる妖怪の王たる存在だ。

これも前世なら誰か分かるのだろうが…今の俺には見当もつかない。

しかし探す方法ならある。

これでも前世はオタク…と言うと本当のオタクに怒られるが、こういったものには興味があった。

だから酒呑童子が討伐されるはずの歴史も、誰がどう討伐するかも、年代も…今から計算するなら多分三百年程の間と絞れる。

ある程度記憶が戻らなければ分からなかったかもしれない。

 

「今回は余裕で達成してやる!」

 

断言出来る程自信があった。

その時だけは…

 

―――――

 

その後に過去を思い出した。

鬼の四天王と呼ばれた萃香と勇義、どちらかが酒呑童子かもしれないなら、俺はまた、出会わなければならない。

失った場所へ。

奪った者へ。

許されない罪へ。

帰らなければならないのだ。

それは少し…憂鬱だ…

 

「…どの面下げて…」

 

微かに希望も持っていた。

紫の夢見た世界に行けるのか。

絶望もしていた。

何もかも奪い、捨てた俺に、そんな資格はないと。

欺くも運命というものは…あまりにも悪戯好きだ。

 

 




また出番があるようですね…オリキャラの出番は多くしたいものです。
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