東方白望記   作:ジシェ

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サンブレイクキリン早よ


五十二話 ~旅発ち~

勇義や萃香に会うことに不安を感じながら、時間は無慈悲に進むものだ。

記憶が戻って早一年…何で妹紅の身長伸びてるんだ?

年齢から考えたらまだ伸びる歳とはいえ、不老不死な身が成長するのもおかしな話だ。

変化はその程度。

結局何の進展もないままに、変わりない生活を送っていた。

平和で暇な、そんな一年間。

 

「たかが一年じゃ代わり映えしないな…」

「急に何?」

「だってなー…」

 

どこかでしばらく定住していると、慣れ過ぎて変わる気がしなくなる。

何度もしてるから間違いない。

変化が苦手になっていく。

そんな感覚だ。

それに酒呑童子に関してはまだ遠い。

大和に戻るのも、守るために人間を抑えるのも、今からではまだ早過ぎる。

 

「……」

 

しかし戻らないにしても、このままここにいるのもどうだろう。

何十年と変わらない姿で、同じ場所に留まり続けるのも難しい。

下手すれば討伐対象になるのはこの俺だ。

いても四、五年が関の山だ。

ここに留まり一年と半年…旅発つには丁度いいか。

 

「妹紅。」

「さっきからどうしたの?」

「そろそろ旅に出ようと思うんだが…」

「…本当?」

「本当。一ヶ所に留まるのがどうにも苦手でな。暇が嫌いなんだよ…俺は。」

「最近は確かにやることないかも…」

「な?お前を鍛えるなら場所は選ばないし、金が入り用でもない。人と話したいなら次の村でも探せばいい。とにかく退屈でなければ何でもいいんだよ。」

「…私は…退屈も嫌いじゃないな…」

「…そうか……妹紅。俺は旅に出る。お前はどうしたい?」

「……決まってるでしょ?」

「…そうか。」

 

それから程なくして、俺達二人は旅に出た。

最初から、妹紅が離れるつもりはなかったのだ。

この子の性格は、恩だけ受けて返さないようなことはしない。

 

(まあ妹紅が残りたければそれもよかったか…)

 

結局俺の行動は…全て気分だからな。

妹紅が似ないよう気を付けなければ。

 

―――――

 

さて…旅に出たとして、目的地なんてものはない。

となれば何か目指すものがほしい。

 

「……」

「どこに行くか決めてなかったのね…」

「…決めた。海だ海!海目指そう!」

 

川魚と海の魚の味の違いや海藻など、上手いもの求めて海へ向かおう。

ついでに海を渡れば、この島以外の島や面白い異変があるかもしれない。

 

「目指すは外海!ここの奴らの知らない世界だ!」

「遠いんじゃない?」

「いーんだよ。腐る程ある時間、無駄遣いしなくてどうする!それに言ったろ?広い世界を見せてやるってな!」

「…方向音痴なんだから…迷わないでね?」

「…保証はしかねる…」

 

―――――

 

妹紅がいるため飛ぶことは出来ない。

俺が飛ぶ時は霊力を推進力に、無理矢理逆噴射して飛ぶ。

しかしまだ霊力を推進力にする方法は、妹紅に出来る難易度じゃないからだ。

そもそも力の総量が桁違いだし、制御能力的にも力を使い始めたばかりの妹紅には難しい。

前に一月ぶっ通しで飛んだ時は俺でも地獄だった。

海を越えるのも簡単な話じゃない。

つまり俺のやることは、海を越えるために船を作るか、妹紅の能力を更に伸ばすか。

はたまた紫のような能力持ちを探すか。

まあ…海に出るまでで何年かかるかも分からないが。

まあそれまでにはどうにかなるだろう。

 

―――――

 

村を見つけ、度々留まり、再び発っては野宿して、仲良くなっては別れを嘆き、仕事を受けては戦って、海は一体どこにある。

そう…旅に出てから十年近く、まだ海に出ていない。

大和は日本国であることを考えると、大陸にいるというのも考えられる。

昔はユーラシア大陸と繋がれた道があっただろうし、ともなると俺達は、思いの外大陸の真ん中で暮らしていたのかもしれない。

方向を間違えてぐるぐるしてる可能性もなくはない。

とにかく海にはまだ出られない。

その間の妹紅の変化を並べると…

 

後天的に火の能力を得た。(詳細不明)

空を飛ぶための霊力、能力制御が飛躍的に伸びた。

身体の成長が止まった。

それによって身長が抜かれた。

 

とまあ…相当変わった。

おかげで海を越えるのも、工夫をすればどうにかなりそうだ。

 

「でも海に着かないからなぁ…」

「わざわざ聞いたりもしてるのに…」

「本当にな…」

 

妹紅は別に方向音痴というわけではない。

一度通った道なら、それが道なら覚えてるくらいだ。

林などでは分からないみたいだから、方向音痴とか関係ないのだろう。

はたして俺達が海にたどり着くのは…いつになるのだろうか。

 




妹紅の口調の変化はかなりですね。
礼儀正しい子供→高校生くらいの女子→皆の知る荒い口調
て感じで変えるつもりです。まあ女子の口調なんて知りませんがね!
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