勇義や萃香に会うことに不安を感じながら、時間は無慈悲に進むものだ。
記憶が戻って早一年…何で妹紅の身長伸びてるんだ?
年齢から考えたらまだ伸びる歳とはいえ、不老不死な身が成長するのもおかしな話だ。
変化はその程度。
結局何の進展もないままに、変わりない生活を送っていた。
平和で暇な、そんな一年間。
「たかが一年じゃ代わり映えしないな…」
「急に何?」
「だってなー…」
どこかでしばらく定住していると、慣れ過ぎて変わる気がしなくなる。
何度もしてるから間違いない。
変化が苦手になっていく。
そんな感覚だ。
それに酒呑童子に関してはまだ遠い。
大和に戻るのも、守るために人間を抑えるのも、今からではまだ早過ぎる。
「……」
しかし戻らないにしても、このままここにいるのもどうだろう。
何十年と変わらない姿で、同じ場所に留まり続けるのも難しい。
下手すれば討伐対象になるのはこの俺だ。
いても四、五年が関の山だ。
ここに留まり一年と半年…旅発つには丁度いいか。
「妹紅。」
「さっきからどうしたの?」
「そろそろ旅に出ようと思うんだが…」
「…本当?」
「本当。一ヶ所に留まるのがどうにも苦手でな。暇が嫌いなんだよ…俺は。」
「最近は確かにやることないかも…」
「な?お前を鍛えるなら場所は選ばないし、金が入り用でもない。人と話したいなら次の村でも探せばいい。とにかく退屈でなければ何でもいいんだよ。」
「…私は…退屈も嫌いじゃないな…」
「…そうか……妹紅。俺は旅に出る。お前はどうしたい?」
「……決まってるでしょ?」
「…そうか。」
それから程なくして、俺達二人は旅に出た。
最初から、妹紅が離れるつもりはなかったのだ。
この子の性格は、恩だけ受けて返さないようなことはしない。
(まあ妹紅が残りたければそれもよかったか…)
結局俺の行動は…全て気分だからな。
妹紅が似ないよう気を付けなければ。
―――――
さて…旅に出たとして、目的地なんてものはない。
となれば何か目指すものがほしい。
「……」
「どこに行くか決めてなかったのね…」
「…決めた。海だ海!海目指そう!」
川魚と海の魚の味の違いや海藻など、上手いもの求めて海へ向かおう。
ついでに海を渡れば、この島以外の島や面白い異変があるかもしれない。
「目指すは外海!ここの奴らの知らない世界だ!」
「遠いんじゃない?」
「いーんだよ。腐る程ある時間、無駄遣いしなくてどうする!それに言ったろ?広い世界を見せてやるってな!」
「…方向音痴なんだから…迷わないでね?」
「…保証はしかねる…」
―――――
妹紅がいるため飛ぶことは出来ない。
俺が飛ぶ時は霊力を推進力に、無理矢理逆噴射して飛ぶ。
しかしまだ霊力を推進力にする方法は、妹紅に出来る難易度じゃないからだ。
そもそも力の総量が桁違いだし、制御能力的にも力を使い始めたばかりの妹紅には難しい。
前に一月ぶっ通しで飛んだ時は俺でも地獄だった。
海を越えるのも簡単な話じゃない。
つまり俺のやることは、海を越えるために船を作るか、妹紅の能力を更に伸ばすか。
はたまた紫のような能力持ちを探すか。
まあ…海に出るまでで何年かかるかも分からないが。
まあそれまでにはどうにかなるだろう。
―――――
村を見つけ、度々留まり、再び発っては野宿して、仲良くなっては別れを嘆き、仕事を受けては戦って、海は一体どこにある。
そう…旅に出てから十年近く、まだ海に出ていない。
大和は日本国であることを考えると、大陸にいるというのも考えられる。
昔はユーラシア大陸と繋がれた道があっただろうし、ともなると俺達は、思いの外大陸の真ん中で暮らしていたのかもしれない。
方向を間違えてぐるぐるしてる可能性もなくはない。
とにかく海にはまだ出られない。
その間の妹紅の変化を並べると…
後天的に火の能力を得た。(詳細不明)
空を飛ぶための霊力、能力制御が飛躍的に伸びた。
身体の成長が止まった。
それによって身長が抜かれた。
とまあ…相当変わった。
おかげで海を越えるのも、工夫をすればどうにかなりそうだ。
「でも海に着かないからなぁ…」
「わざわざ聞いたりもしてるのに…」
「本当にな…」
妹紅は別に方向音痴というわけではない。
一度通った道なら、それが道なら覚えてるくらいだ。
林などでは分からないみたいだから、方向音痴とか関係ないのだろう。
はたして俺達が海にたどり着くのは…いつになるのだろうか。
妹紅の口調の変化はかなりですね。
礼儀正しい子供→高校生くらいの女子→皆の知る荒い口調
て感じで変えるつもりです。まあ女子の口調なんて知りませんがね!