苦節二年…そう…更に二年だ…海に出た。
妹紅は更に成長し、頼りになる助手になってくれた。
さて海を渡る方法だが…飛び続けるより楽な方法を思いついた。
飛ぶことは変わらないが、海を消滅させながらなら楽ではないか。
簡単に言えば着地、一部消滅、壁の創造、一休み。
この工程を踏めば休憩が出来る。
こんな簡単なこと早く気付けばよかった。
無駄に疲労し続けたのが悔しい。
まあ気付いたのも妹紅だけど。
…馬鹿で悪かったな。
「さてと…行くか。」
「うん。」
俺はいつも通り空へ。
妹紅は…俺とは違い、炎の羽を形成して飛んでいる。
霊力は不形不重、故に空気のように自由自在に形を変え、空間に漂っている。
体内にある霊力も固定されているわけではなく、空気となんら変わりない。
もし体内の霊力を操れるようになったら。
水に浮く船のように浮力を与えられるなら。
霊力の量は必要になっても、風船のように浮かぶことが出来る。
俺がやらない理由は、単純に出来ないからだ。
体内の霊力など扱えない。
放出して操作する方が楽だ。
見えない力を操作するために集中するより、うっすら見える力を感覚で操作する方がましだ。
多分性格的に向いてないのだろう。
俺のやり方も、妹紅には出来なかったしな。
本人曰く…
『左右で同じ力じゃなきゃ変に飛ぶし、勢いとか…あと霊力減り過ぎても分からないよ。』
だそうだ。
バランスにスタミナ、妹紅はそうゆうのは苦手そうだ。
能力が後天的に得られたことから、体内で完結する力の使い方は、感覚で分かるようだがな。
タイプは違えど、割りと俺と妹紅は似てるのかもしれない。
―――――
「そろそろ降りる?」
「そうだな…妹紅はあとどれぐらい飛べる?」
「二十分くらい。」
「ならもう少し飛ぼう。」
既に十日程飛んでいる。
一日飛んでは一日休む。
だから実質五日程度か長くて七日程飛んでいるが、未だに島は見えない。
前は一月ぶっ通しだったが、妹紅が太陽の位置や水の流れから方角を示してくれる分、前より直線に飛んでいる。
俺には本当に分からない。
方向音痴ってのは方角すら分からないものさ…
「よし…降りるぞ。」
海の消滅なぞ簡単だ。
水のある空間を削るだけ。
そこに能力で削った跡に沿って空間を作って、水の流れない休憩地点の完成。
飛び立つ時に沿って張った壁を取り払えば水が流れて元通り。
能力で作った壁は飛ぶのに放出し続けるよりはるかに効率がいい。
回復の方が早い程度に力を抑えられる。
妹紅はしっから休めるから、次に飛ぶのに憂いはない。
「それじゃ、しっかり休めよ。」
「うん…うん!?」
「どうした?」
「後ろ…」
「……うお!?」
人がいた。
海のど真ん中に、船も近くになく。
しかし…
「よく見ると…足が魚?…人魚って奴か…」
「人魚?」
「ああ。俺のとこじゃそう呼んでた。昔話や伝説といった類だったけど…まさか実在したのか…」
『――!―……――!……』
何か喋っている。
しかし相手は水の中、壁もあるせいで全く聞こえない。
それに気付いて少し落ち込んでいた。
まあ別壁を消すだけだが。
「聞こえるか?」
穴を開けて声をかける。
頷いているから聞こえているだろう。
「話してみたいから上に上がってくれるか?人間は水の中じゃ生きられないんだ。」
流石の俺も呼吸困難になったら死ぬ。
人魚は急ぎ目に上に向かってくれた。
「話出来るの?」
「理解はしてるみたいだな。言語は同じなのかもな。」
「……怪我。」
「え?」
「あの子…怪我してた…何かあったのかも…」
「…話してみないとな。」
―――――
「さて…とりあえず聞きたいのは…人魚で合ってるか?」
「陸でどう呼ばれてるか知らないけど、おそらくそう。」
「俺の知る伝説上の人魚は、こんな浅瀬にはいないと思うんだが…何でこんな所に?」
「……貴方達が何者か知らないけど、早く立ち去った方がいい。」
「何で?」
「私達の…戦に巻き込みたくない。」
「戦?」