町までの案内をしてもらうため、俺達の実力を軽く見せた。
まあ軽く(地面粉砕)見せたことで納得してもらえた。
しかし何に教われたのかこの子は知らなかった。
どころか町の大人も、誰も妖怪の姿は見てないらしい。
気付いた時には気を失い、死んだ者もいたはずにも関わらず死体もない。
噂では死体すら喰っていると…
「でも気を失うなんて普通ある?人間何人いようと強い妖怪一人いれば十分なのに…」
「それに意識を奪いながら連れて行くのが限られるのもおかしいな。つまりそいつは、人間を何人も連れていく方法、もしくは理由がない。戦闘を避けている。何よりも人間を必要としている。」
「妖怪らしくないね。」
「うーん…定期的に人間を喰うために家畜扱いか…?いやそれなら自由にさせないな…」
{あそこです!}
少し高い坂を超えると、荒れていない町を見つけた。
繁栄こそしてないものの、家屋の崩れはなく、人々も普通に歩いている。
問題は光の少なさ、夜の危険は過去見たどの人里より上だろう。
しかしよく見たら家屋の最奥、門から真っ直ぐの場所に、やたら大きい洋館があった。
紅を基調に、正面最上に時計の付いた、窓のない館。
おそらくあれが妖怪の拠点だろう。
「早速乗り込むか。」
「え!?待って待って!いくら不死でも駄目だって!」
「冗談だよ。町民盾にされても困るし。」
「本当に…?」
失敬なそんなことしない。
例え前科があっても毎度することじゃない。
偵察は大事。
「まあとりあえず情報集めからだな。町の人から話聞いたり、可能なら外周だけでも館を調べよう。」
「じゃあ私は館に行ってみる。どうせ言葉分からないし…」
「流石に危険だぞ?」
「いざとなったら炎を空に打ち上げるよ。見たら来てくれれば大丈夫。」
「…絶対に警戒を解くなよ?それから内部には入るな。勝てないって分かったらすぐに逃げる。分かったな?」
「うん。」
「ならよし。」
俺達は別れて調査を始めた。
―――――
何人かに話を聞いた。
外出してる者が少ないが、たまに外れにいる人に話を聞けた。
一応夜以外はそこまで危険はないようだ。
夜以外に襲われた話はなく、他の妖怪などが来ることもない故に、夜を除けば安全な場所ではあるようだ。
どうやらあの館は半年前に突然現れたらしい。
館の主の姿は誰も知らず、何がいるか、どれだけいるか、どう館を建てたのか、何もかも情報はない。
しかし後の世を知る俺なら何となく予想出来る。
夜に活動、窓のない館、英語圏の存在、もはやゾンビか吸血鬼しかないだろう。
となれば話は早い。
日の出と同時に仕掛ける。
最悪は館を吹き飛ばす。
館毎倒してやる。
とにかく方向性は決まり、俺は妹紅を探しに館へ向かった。
「しかし赤いな…」
―――――
「妹紅!」
「あ、望…どうだった?」
「こっちは大収穫。多分種族も分かった。」
「そっか…」
「?何か気になることでもあったのか?」
「……多分…なんだけど…地下に閉じ込められてる人がいるみたい…」
「閉じ込められてる人?拐われた人間じゃなくて?」
「ううん。実はさっき―」
―――――
「これ…凄い大きい…遠目じゃ分からなかった…」
望に言われた通り、壁に沿って歩く。
一周したが何もなく、入り口も一ヶ所のみ。
窓もなく、見る限り隠し通路などもない。
(私のとこにもあったし…抜け穴とかあるかな?)
そう思って更にもう一周したが、特に変哲のない壁が続くのみだった。
「何もなさそう…望のとこに戻ろ…」
『待って!』
身を翻して帰ろうとするも、何者かに呼び止められる。
『突然ごめんなさい!でも…助けて欲しいの!』
「?もしかして拐われた人?良かった…すぐに…」
『違うの!』
「え…」
『私はノーチェ・スカーレット…この館の…主の娘…』
「!?」
館の主は村々を滅ぼした張本人。
その娘ならば、警戒するのは当然だろう。
「助けてって…あなた達が何をしたか…」
『分かってる!お父様が何をしたのか…全部…!』
「…なら…」
『でも助けて欲しいの!お父様は…数年前から変わった…とても優しくて、家族思いだった父は…』
彼女は震える声で、衝撃的な話を続けた。
『母を殺し、私を閉じ込め、人間を殺して回った!』
「!」
『あんなのがお父様とは思えない!数年前は、人間と友好的だったのに…そんな父を、皆慕ってたのに…』
「…何か変わった原因…もしくは別人の可能性は…」
『分からない…だけど…これ以上お父様が何かする前に、殺して欲しいの…』
「……助けて欲しいのは…この町の人間?」
『…そう…そして出来るなら…父を苦しまずに殺して…お願い…!』
―――――
「成る程…しかし嘘の可能性もあるしなぁ…」
「分からないけど…嘘じゃないと思う。」
「根拠は?」
「あの館の構造と、種族が吸血鬼ってこと、それから、町の人の捕らえられた場所、全部分かった。」
「おお…!大収穫じゃないか!でも…今更ながらどう会話したんだ?閉じ込められてるんじゃないのか?」
「分からない…はっきり聞こえたし…何かの能力とは思うけど…普段会話するときと同じ聞こえ方だし…」
「…まあ、探索する内にその子も助けて、その時聞けばいい。とにかくそこまで分かったのなら、日の出に館の主に直行しよう。」
「うん。あ、ねぇ望?」
「何だ?」
「あの…吸血鬼って…何?」
ノーチェ…スペイン語の『夜』
時期的にレミフラは生まれてないです。ただ思い付きで書きたくなっただけです。ちなみに本人達いないけど親先祖の話出てるのはこれで三人目…かな?