あれから何日か経った。
具体的には十一日間。
霊弾の数を増やし、自由に操作出来るよう訓練し、霊弾以外にも形作ることが出来るようになった。
周囲に展開は出来ないが一点に集中、または一方向に意識を向けるのは出来る。
つまり最初、向いていないことに必死になっていたのだ。
「ふぅ…今日はこれくらいか…」
今俺は霊弾の数を増やしていた。
作り続け、弾けたり消えないよう集中して、二人に見せた時からおおよそ六百増え、計千百の霊弾を二十分継続していた。
「これだけあれば重量で潰せるよな?」
そう俺は思った。
―――――
能力の訓練を終わらせ、永琳(呼び捨てを許された)のところに来ていた。
この十日間夜達と普通に過ごしていて、課題を忘れていた。
達成の…記憶のためにここへ来た。
ちなみに能力を見せた後、夜と永琳の様子からそっとしておこうと思い、結局三日間会えず寂しかった。
「それで、私の試薬の実験台になってくれるのは本当?下手したら死ぬけれど。」
「いやめっちゃ怖いです。ただまぁ……必要なんですよ。」
「そう。なら、これを飲んで貰うわ。」
「これは?」
「聞かずに飲みなさい。効果を知っても、飲むことは変わらないんだから。」
「確かにそうだけど……まぁいいや。」
飲んだ。まずい。体の感覚がおかしい。
「どう?」
「…体の内側で何か…?」
「そう…やっぱり貴方は…」
「?」
「…貴方は、死なないのね。」
「!?」
どういうことだ?誰にも話してない、どころか俺自信死なないかまだ知らない。
「なんで…」
「その薬は、触れてから一分で、触れた場所から体が壊死するものよ。」
「な…!?殺す気か!?」
「死なないでしょ?あれを触れるどころか飲んで、それでも平気でいる。」
「……」
「私も偶然気付いたけど、周囲を消滅するあの霊力。周りだけでなく、体の一部すら消えていた。」
「!そんなはず…!気付かないわけ…」
「あれは成功してたのよ。貴方の体を守るのではなく、消滅することで守っていたのよ。」
「消滅することで……?」
「今の貴方に、痛覚はない。いえ、もしかしたら触覚が…能力で消えていた体の痛みがないのが証拠よ。それに今も…」
「!そうだ!体は…」
「守ると考えた場所、あの場合は体を守ることを考えた場所が、服の上からでも分かるように消滅した。不死だと考えたのはさっき、貴方の消滅した部位をふと見たとき、治っていた。不死と確信したのは、その薬を『飲んで』無事だったから。」
「まさかこの薬…」
「即死級の毒よ。実験はしていないから、本当はどうかは分からないけど、少なくとも、平気でいられるものではないわ。」
「そ、そんなものを……」
「悪いとは思うわ。だけど…私が研究しているのは、人々をどんな病からも救えるもの。それなら薬でなくても構わない。その完成形のようなものが、今目の前にいる。調べずにはいられなかった。」
「……それで、どうするんだ?それを知って、俺を解剖でもするのか?兵器の実験台にでも?それとも、殺す方法でも調べるか?」
「……どうもしないわ。私は自分でそこまでたどり着く。答えをすぐに知ったとしても、私には意味がない。誰にも話しもしないし脅す材料にするつもりもない。」
「……そうか…」
永琳のことは信用している。
たった数日でも、夜や永琳と過ごして危険に思ったことはない。
俺は信じてもいいのか迷ったが、今までの恩も返せてないのに、仇で返すのもおかしな話しだ。
「分かった。信じるよ。俺はこのことを知られていないし、永琳も知らない。」
「望……ありがとう、信じてくれて…」
「…じゃあ俺はもういくよ。」
「ええ、いってらっしゃい。」
「…最後に一つ、何で教えなかった?」
「夜の見る前で言うべきでもなかったでしょう?」
「…治すこと考えなかったのかよ…」
「痛みを感じてないように見えたから、大丈夫だと思って…」
(俺じゃなきゃ死んでるな…)
こんなに簡単にばれる秘密とは思ってなかった。
天使とやらを殴りたい、と考えながら、俺は研究室を後にした。
―――――
「しかし…
即時でなくとも、五分十分程で戻るだろうに、一時間経っても戻らない。
代わりに何か起きてないかとも思うが何もない。
テレパシーみたいなのも来ないし、ポケットには新しい課題も来ない。
次の目的が何もなくなってしまった。
「…とりあえず妖怪探すか。」
―――――
一時間後
―――――
何もいない。
―――――
更に一時間後
―――――
兎が一匹。
―――――
またまた一時間後
―――――
重大なことに気付いた。
「わざわざ探すこともないんじゃ…」
村長の頼みは、『人を襲う妖怪』の退治。
わざわざ探さなくとも、向こうから来るのを待てばいい。
というか逆に妖怪が来る口実を作ってしまう可能性もある。
「見つける前に気付いてよかったかもな。」
俺は帰ることにした。
―――――
結局家に帰り、少し霊力の確認をし、眠ることにした。
明日は妖怪について番の人にでも聞きに行こう。
夜や永琳にも伝えて、村長に一応確認に行こう。
そう考えながら、俺は意識を失った。
「……!うぐ…ぅ…あぁぁ…!ぐぅ…!」
『これが記憶を戻すトリガーとも知らずに』
永琳頭いいのはまぁ当然ですね。不死の薬を禁忌と考えてない時の永琳と考えて、万病に効く薬を目指す永琳ということにしました。意味がないのは調べても無意味と悟ったからというのと、望に多大な迷惑をかけることによる報復を恐れて。そんなことしないと分かってても万が一を考える天才さんです。(この作の設定)
長くてすみません。