東方白望記   作:ジシェ

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クリスマスは更新したかった…何故バイト…


六十話 ~楽しく永い夜~

執事を看取り、赤い館を歩く俺に、もはや主の加減はない。

利用出来る駒も、封じる場所も、監視する必要さえなくなった。

今や俺一人殺すためだけに、眷属たる獣達は総攻撃。

狼は吠え、蝙蝠は噛み付き、本体は出てくる気配もない。

じわじわいたぶるつもりなのだろう。

そう見えるよう体は傷だらけのままだから。

 

「…見えてるよな?どんなになろうとお前は殴る。だからそれまで…精々そうやってビビってろ!」

 

見ているであろう主にそう告げる。

この体は、どんなに傷付こうが辿り着くという意志の現れ…今の俺の、怒りの証明だ。

その宣言から、獣が少し散って行った。

その内の一匹の蝙蝠が近づき、なんと言葉を発したのだ。

おそらく伝達か何かだろう。

 

『貴様ごとき矮小な存在…我が敵にあらず…その怒りごとねじ伏せてくれよう…』

 

そう言い残し蝙蝠は破裂した。

小動物にしては血が多い…肉もないことから吸血鬼らしく、血液から作られた獣なのだろう。

奴は手札を一つ晒したのだ。

 

「雑魚扱いか…」

 

俺は笑みを浮かべ歩き始めた。

 

―――――

 

「…こいつは…」

 

獣を引いた理由はここにあったのだろう。

それと同時に、俺に絶望を与えるために。

最上級に向かう途中、仁王立ちの如く立ち塞がる一体の獣…いや化け物。

血液で作られた巨大な虎だ。

虎ってここいたのか…

 

「なんて場合じゃないかっと!」

 

素早い動きで爪を振るう。

その爪も牙も奴の血…触れればどうなるか分からない。

なら触れる必要はない。

弾幕で削り取る。

肩を、胴を、頭を、次々に撃ち抜く。

しかし撃ち抜かれた部分はすぐに再生され、止まることはない。

奴の体が血で出来ている以上、再生を止めるのは不可能だろう。

 

「俺には関係ないがな。」

 

人でない化け物なら加減はいらない。

命などない傀儡に、命を奪わない攻撃は必要ない。

ただ得意な消滅をするのみ。

 

「消すだけなら得意分野だ。次からは対策立てるんだな。」

 

その虎を抜ければ、いよいよ大ボスの登場だ。

 

「……」

「待っていたぞ。」

「そうか。俺も楽しみにしてたぞ。」

「貴様の力は見せてもらった。消滅に創造…人知を逸しているな…寄越せ…その力全て…」

「…何となく予想してたけど…お前…他人の能力奪えるのか?」

「知ってどうする…貴様はここで死ぬのだ…さあ…我が力にひれ伏せ…」

 

辺りに血が飛び散る。

戦闘の始まりのようだ。

 

―――――

 

無数に増え続ける血の軍勢…一体一体弱かろうと、こうも多いと煩わしい。

どれだけ消してもまた増える。

弾幕の嵐、血の軍勢、更には地面や壁から針が飛び出、風は刃となり斬りかかる。

一体いくつの能力を持っているのか。

真意は分からないが、まだまだ能力はあるようだ。

証拠に…今度は炎の球を打ち出してくる。

壁や床に当たる側から爆発する。

別々の能力の組み合わせだろう。

地面が鞭のようにしなり、血が付いたところは溶け、多過ぎる攻撃に舌を巻く。

 

「我が力は無限!貴様如き凡百の者に、抗える術はなし!大人しく身を捧げよ!」

「凡百か…俺をその他大勢に例えるには…少々難しいな…」

「何…?」

 

奴は動かない。

座った椅子から動くことはない。

余裕の現れからだろうが、それで勝てる程甘くはない。

奴の能力の全てを消滅、奴の前まで走り出す。

ただ一発…決めたことを遂げるために。

 

「貴様…!何!?」

 

走り込むのではない。

瞬間移動の如き速度で目の前に踏み込む。

 

「おらぁ!」

「ぐぁっ!」

 

横顔にめり込む程本気で殴打を決める。

 

「これで一発…あと二発だ…お前は絶対に殴る。」

「…ならば…貴様は八つ裂きだ!」

 

互いに宣言し戦いを再開する。

片方は相手の苦しみを望んで。

片方は怒りを携えて。

 

「永い夜を見せてくれよう!」

「楽しい夜にさせてもらう!」

 

第二ラウンドの開幕だ。

 

 




遅くなりましたがメリークリスマス!
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