加減を止めた奴の攻撃は、威力も数も桁違いだった。
同じように能力を乱射してくるが、その一つ一つが必殺…範囲も広く、もはや回避の選択肢すらなくなった。
消滅させ続けてもじり貧だ。
しかも館は粉微塵…太陽に当てられて平気そうだ。
弱点も宛にならない。
正直負ける可能性を考えたのは鬼子母神以来初めてだ。
最も今回はこちらの加減が前提…実力は遥かにあいつの方が上だ。
(まだか妹紅…!)
耐え続けて時を待つ。
笑みを浮かべながら攻撃を受け続ける俺の姿は、端から見れば不気味の一言に尽きる。
そんな様子に怒りを、苛立ちを露にする吸血鬼が一人。
「貴様…いつまで防ぎ続けるつもりだ!何故戦わん…!?何故そう我を嘲る…!?誇りも信念も…執念すらない貴様が!我を愚弄するかぁ!」
「…そんなに戦いたいならやってやるよ。」
激化する攻撃を防ぎ続けたのは、苛立たせるため。
苛立たせて攻撃を単調化させれば、周りへの注意はなくなる。
そも最初から俺がしてるのは、あくまでも時間稼ぎ。
殺さず生かし、俺にだけ集中させること。
これが俺の目的だ。
故に…
「かかってこい。」
「――!沈め!人間がぁー!」
―二つの意味での時間稼ぎだ。
「!?」
「気付いたか…そうだよ…俺が無駄に防ぎ続けてたと思うか?」
「この…!どこまでも卑劣な…」
「狡猾と言ってもらおうか。さぁ…防ぐか避けるか…どこまで出来るかな?」
攻撃を無力化させるための消滅の障壁。
そしてじわじわと呑み込み、俺の世界に引き込む創造の結界。
そこに待つのは…奴の能力を越える数と力。
「ようこそ…俺の世界へ…!なぁに安心しな?この空間で死ぬことはないさ。即座に蘇えらせてやるよ…」
「……っ!」
無限の弾幕…無限の世界…奴は攻撃するだけじり貧だ。
「――!嘗めるなぁー!」
どうやら吸血鬼本来の力を解放したようだ。
血が辺り一帯に広がり、槍や獣になって防ぐ。
ほぼ全ての血液を消費しているだろう。
(それで死なれたら再生も出来ないし…厄介な…)
まあ体が残れば血は輸血でもすればいい。
生きてさえいればそれでいい。
精神的にも身体的にも苦しみ続けろ。
例え能力の全てを使おうと、自らの最高の力を使い切ろうと、苦しむのはお前だ。
大小様々、形もバラバラ、威力は軽く国を滅ぼせる程であり、数は過去最高。
奪った力で、体で、地位で、好き勝手した略奪者は、ここで終わりを迎えるのだ。
(そろそろか…)
その考えと同時に、妹紅と過ごした仮拠点から、巨大な火柱が上がる。
手紙は届いたようだ。
『この手紙を見たら、ノーチェや他の人を巻き込まないよう、全力で力を使え。全部燃やし尽くすつもりで本気でな。』
説明もほとんど無しに力を使えっていう指示、良くやってくれた。
ほんの少しでも紫が注意を向ける程度…それが重要だった。
これなら十分…
「なあ吸血鬼…もし今能力を解除したら…ここはどうなると思う?」
「何…?」
こいつとしては好都合だろう。
自分を縛った空間を解除すると言っているのだから。
しかし安直過ぎる。
能力を解除し、その答えを示す。
この空間は、俺の能力…力の全てで作られている。
詰まるところ力の制御を失い、暴走した俺の霊力が、空間を突破して放出される。
そして俺の力は無駄な程に強力であり、あり得ない程多い。
空間から放出されるなら、空間の中にいた奴はどうなるか。
強大な力の奔流に飲まれることだろう。
それこそ、無限に続く牢獄だ。
「貴様…我を道ずれに…!?」
「そうでもしないと止められないだろ?」
「おのれぇ…人間風情がぁ!」
止めようと攻撃するが、もう遅い。
逃れることはもう出来ない。
「俺と一緒に死に続けようぜ?」
死の牢獄の完成だ。
最早制御も効かない。
捕らえるために力をほぼ全て注ぎ込んだ故に、放出が終わる時は俺にも分からない。
貯めた力を放出しただけだが、俺がここにいる以上、俺が力尽きるまで永遠に続く。
そして霊力の限界は、到達したことのないもの。
吸血鬼の牢獄にはこれ以上ない。
しかしここからが本番だ。
―――――
望の手紙を見て、倒れる程火柱を上げたけれど…何の意味があるか分からない。
それ以前に置いて行ったことが一番許せない。
ノーチェが心配してるけど、倒れるのは慣れてる。
だから大丈夫…
「人間には過ぎた力ね。」
「!?」
「……?」
伏せた私には見えない位置から、ノーチェじゃない声が聞こえる。
女性の声だ。
「望の今の同行者ね?」
その声はとても通る綺麗な声で…そしてとても、不快な声だった。
思い付きで書くには間空き過ぎで内容覚えてない。空くほど自分で分からないです…