「彼はもう人間ではないのかしらね…」
「だ…れだ…?」
「そんなに警戒する必要はないわ。望が呼んだのよ?」
「望さんが!?」
「ええ。最も…『友人』なんて…近しい間柄じゃないけれど…」
「!…望さんの宛って…」
「?何か聞いてたのか?」
「望さんが…協力してくれそうな人がいるって…」
「そうね…どんなことでも、彼に協力するのは吝かではないわ。それも…見るに貴女のためのようね。」
「あ…そうですよね…一から説明します。」
―――――
「成る程ね…」
「協力…してもらえますか…?」
「そうね…私も慈善事業じゃないしね~…」
「!…そう…ですよね…」
「だから対価が必要ね。」
彼女は私に顔を近づけ、嬉々とした声でそう言った。
それに対して反発したのは、私ではなく妹紅さんだった。
「今の聞いて…協力しない選択肢があるか!望の知り合いなら…なんで全部見捨てるなんてこと出来るんだよ!」
「あら?貴女は何か勘違いしているわね…」
「何が…」
「私は
「!」
そうだった。
妹紅さんや望さんは、妖怪でも人間でも接し方を変えない。
だからこうして頼ることが出来た。
だからこそ…信じることが出来た。
しかしそれは二人だから…
人間は他者を考える思考を持つ。
しかし妖怪は、一人で生きる生物だ。
彼女のように望さんと行動を共にしても、考え方まで同じになるはずがない。
妖怪にとって他者を助けるのは…自分の利になる場合のみ。
そして今利益を得るとしたら…
「貴女達…私に従いなさい。」
「……」
私達の全てを奪うことだろう。
―――――
どれ程の時間が過ぎただろう。
一時間か一日か…はたまた一ヶ月か…
自分に殺され続けるとは夢にも思わなかった。
それは奴も同じだろう。
目の前で、もはや塵と化した吸血鬼も、同じことを考えているのではないか。
早く来てほしいものだ。
『こんなことする必要あった?』
『檻が必要だったんですよ…生半可じゃ壊されますし…』
『まあ分かるけどね~…自分巻き込まない方法は?』
『内側から更に力を放出し続けてるから…』
『大体もっと準備しなさいよ。先に力貯めた護符でも作ればよかったのに。』
『………(反論出来ない…)』
(さっきから煩ぇ…退屈しないけども…準備する時間なかったんだよ知ってんだろ…)
『当然!』
(くそ殴りてぇ…)
『今のあんたに殴られたら私でも死ぬわよ。』
(はぁ…紫早くしてくれないか…?)
―――――
「従う…?」
「ええ。正確には協力関係だけれど。」
「協力?」
「私は妖怪と人間が、共に暮らす世界を夢見ている。そのための準備も着々と進めているわ。」
「……」
「不可能と思うのでしょう。馬鹿らしいと吐き捨てるのでしょう。それでも…それが私の願いよ。」
「…何すればいいんだ?」
「既に試験的に、そういう地域をいくらか作ってあるわ。そこに住んでくれればいい。どのみち吸血鬼のお嬢様は…もうここで暮らせないでしょう?」
「……分かりました…こちらとしては得しかありません。でも…父も一緒でなければ…その約束はしません。」
「強かね…勿論助けるわ。…ついでに望もね。」
「なら早く行けよ。正直…あんたと一番共存出来る気がしないよ。」
「あら…相性が悪いのかしらね?ふふ…」
「…行けよ。」
「ええ。」
「お願いします。」
―――――
『……来たわね。』
『はい?』
天使が何かいう前に、俺の体は引きずり出された。
見覚えのある目玉空間。
ある種不快感にも似た感覚を過ぎた目の前には…
「よぉ…いつぶりだっけ?」
「相変わらず変わらないわね。」
数年ぶりの旧友の姿があった。
一応次で吸血鬼は終わり。文字数増やしてもいいんですけどね…何気に毎回二時間とかで書いてますし。読み返すの面倒いんでやっぱりこのままで。空くのは許して…