東方白望記   作:ジシェ

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熱出た…この夏病気十回くらいなってる…バイト中に意識失いかけるのよね…最近(二ヶ月)


六十五話 ~信頼と約束と~

「どうして…何で生きて…」

「おや?貴方様ならいくらか予想が付いているのでは?例えば…契約について…」

「!そうか…当主との契約…それが体の持ち主が変わった時点で消えたとしたら…吸血鬼の契約は魂の契約。監視はあれど『目』さえ潰せば自由も同然。」

「私は自由に動ける。ましてや…死んだ者のことを、誰が警戒しますか?」

 

彼は呑まれたように見せ、その実潜伏していたのだ。

時を止める能力は万能に程近い。

俺からの回避も、先の場所からの脱出も、文字通り瞬く間に終わる。

自分ではどうにもならないからこそ、機を見て助けるために、ずっと近くにいたのだ。

そしてそれは成功した。

ノーチェ、父親、そして俺達。

全員の生還は彼の存在なしでは不可能だった。

 

「老獪の策としては…少々粗末なものでしたかな?」

「はは…それを言うならそれ以上の歳の俺らはなんだよ…」

「はて…?お二人は未だ若く思えますが?」

「あら…老獪は誉めるのも上手ねぇ?」

「いえいえ…しかし…私にはこれが限界ですな。あくまで私達は逃げただけ…あの者を屠る…または封じるでもしなければ、この街は無事では済みません。」

「……紫。」

「恐らく考えてることは同じね。」

「多分な。執事。」

「はい?」

「今どの程度力は残ってるのかしら?」

「…七割…といったところでしょうか…」

「妹紅は?」

「…二割。」

「私はほとんど大丈夫ですよ!」

 

恐らく意図が分かるのは俺と紫だけだろう。

簡単なことだ。

力の境界を操れば、紫を経由して俺に力を注ぐのは難しくない。

三人の力を俺に、全て使えばあの場所一つ消すのは簡単だ。

 

「三人とも…最後の仕事を頼むぜ?」

「やるわよ望。三人とも、私の能力に抵抗しないように。今から三人の力の大半を望に注ぐわ。後は私達に任せて、力だけ渡しなさい。」

「どうぞ。この老体、まだ役に立てるのなら本望です。」

「私も大丈夫です。」

「きついけど…多分二割でも二人より強いよな…?」

「よーし覚悟よし。やるぞ紫!」

「ええ。直接消しなさいよ?」

「任せろよ。消滅は俺の得意分野だ。」

 

直後、体が熱くなり、満たされる感覚が来る。

三人…紫が少し入れてくれたから四人分と考えると、正直少ない。

だが、二割もあれば消滅は容易い。

座標を指定して消滅する力は残ってない。

だからこそ…喰らい呑み込む。

 

「紫!」

「ええ!」

 

紫も意図を察し、その場所までの境界を開いた。

消滅は紫の能力も消すだからその身ごと境界を潜り、奴の目の前に姿を現す。

未だ喰らうつもりの死に損ないは、愚直な突撃を俺にする。

 

「今度こそ…くたばれやぁ!」

 

漂う妖気ごと…その身体を、魂を、その全てを呑み込んだ。

厄介な吸血鬼の魂は、数々の人々の命を贄としたが、無事に終わりを迎えた。

 

―――――

 

「……ぐ…」

「!お父様!」

 

元凶の討伐は成功した。

この街も、吸血鬼という種についても、皆終わり。

力を使い切って休んでいる間に、父親が目を覚ました。

 

「やっと起きたか?」

「君は…そうか…本当に…」

「これからどうするつもりだ?予定は?」

「…受け入れてもらえるなら…街の者達に、償いの機会を貰いたい。そのためなら…」

「命でも差し出すってか?」

「はは…それは君が許さないな…」

「…お前が最初に謝るのは、俺や街の奴らじゃないだろ?」

「…ああ。」

 

彼は自分に泣きついているノーチェを優しく引き離し、正面へと見据えた。

 

「すまなかった。ノーチェ…私は…償い切れないことをした。例え自分じゃないとしても、この体がやったことに変わりはない。お前にも…」

「全部覚えてるんだね…」

「ああ。だが、もうこんなことはしない。絶対に…!もしまたあんな奴が来るなら、死んででも抗ってみせる。」

「死ぬのは許さねぇぞ。」

「…そうだったね…だが、私はそれほどの覚悟を決めた。それだけは…伝えておきたいんだ。」

「…うん…お父様…」

「……」

「…しんみりしてるとこ悪いけど…街の連中集めたわよ。」

 

そうこうしていると、紫が戻ってきた。

紫には今回の件の原因、真相、結果、それらを街の人に伝えることを頼んだ。

それを聞いた上で、ノーチェの父の処分を決めようということだ。

 

「……皆、集まってくれたこと、感謝する。それと同時に…すまなかった。この体は、他人に使われてたとはいえ、君達の家族を手にかけた。どんな償いが出来るかは分からない。望まれるのなら、私の命も…いや…」

「……」

「身勝手ですまないが…私は、死ぬことも許されないようだ…命を差し出すことは出来ない。代わりに…それ以上の苦しみでも、黙って受け入れよう。どうか…私に償いの機会を与えて欲しい。」

 

街の人々は、皆それを望んでいないようだった。

 

『昔…妖怪に襲われたのを助けてもらいました。』

『俺も子供の時怪我の治療してもらった!』

 

その後は口々に過去の行いを並べていった。

最後に、代表のように前に出た人が、皆の考えをまとめてくれた。

 

『我々は皆、貴方の苦しみを望んでいません。やったのはあくまでも、貴方に憑いた者のせい…貴方に罪はない。けれど…それでも償いたいと言うならば…これから先も我らを護っていただけませんか?』

「…それほど思ってくれていたとはな…約束しよう。私は、皆を護ろう。今度こそ…」

「…一件落着…かね?」

「そうね。」

「…紫の願いの完成形…こうゆうのかもな…」

「ええ…」

 

 

 




今更ながら妹紅以外は英語です。英語苦手なので書かない。妹紅と紫遭遇時は日本語。そこからは妹紅以外英語。そこからは紫が能力で調整して全員通じるようにしてます。書くの忘れてました。
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