ノーチェとその父、そして妹紅の三人は、力を使い切って休んでいる。
その世話役として執事は同行。
俺と紫はその間に、ここ数十年の話をしていた。
「これからどうするつもり?」
「そうさな…この街からは出ていく。けど…」
「?何かあるのかしら?」
「…いや…なあ紫…」
「…夢花なら元気よ。鬼の下で順調に育ってる。…萃香は母としては優秀ね。」
「…そうか…」
「ええ。」
俺から言葉は出せなかった。
それを察して黙る紫。
何年生きようが何と戦おうが、俺はこの女性に一生敵わないだろう。
少なくとも、対話においては誰よりも強いだろうな。
「まだ俺にはやることがある…だから会えない。そう…夢花に伝えてくれ。」
俺が不老不死であることは、恐らく誰かが伝えている。まだ萃香の危険までは遠い。
下手に介入すれば、その未来は変わる。
今の俺が夢花達に会えないのは、必要なことなのだ。
人間は欲深い。
萃香達が人間を殺さずとも、酒呑童子の討伐は必ず起こる。
ならもう一つ必要なことは…
「紫…少し…大事な話がある。」
俺のことを話すことだ。
―――――
とは言え全ては話せない。
ここがゲームの世界のようなものだとか天使達のこととか課題とか転生とか。
ほとんど説明は出来ない。
なら、濁しながらも協力してもらう他ない。
幸い東方の記憶は一部戻っている。
これから先起こる異変、問題、現れる人種、全てでなくともかなり知っている。
「それで?何を話すのかしら?」
「ああ…実は…俺には能力が二つある。」
「………は?」
何故だろう凄く不機嫌になった。
と思ったがこれは俺が悪い。
言い方は完全に悪意のある言い方だ…ないけど。
「いや悪い…突然…これから先のことで協力してもらいたいことがあって…」
「…はぁ…別にいいわ。こんなことで機嫌を損ねる程、若いつもりもないし。」
「助かる…それで俺のもう一つの能力なんだが…」
「待ちなさい。そもそも貴方の能力の詳細は聞いたことがないわよ?」
「あれ?そうだっけ?」
考えてみると誰にも話したことなかった。
言われてもピンとこないだろうし。
「そうだな…まあ簡単に言えば、何でも創れる能力?」
嘘は言っていない。
実際大抵のものは何でも出来る。
出来ないのは個人が関係することだけだ。
「へぇ…その上もう一つ能力があると?」
「ああ…それは…」
(待て…どう言えばいい?)
濁し方を考えていなかった。
未来が見える能力…だと今までの行動がかなり不審。
危険が迫ったら何かが…みたいなのは早過ぎる。
個人の運命が見える…だと後々ばれる…主に吸血鬼のせい。
「望?」
「……」
(駄目だ…何て言えば…)
いや…あるじゃないか。
ついでに今までの不審な行動…主に一人言を正当化する能力。
「…ある人物と交信する能力だ。」
天使についてを話さず、ある人物と濁す。
そして未来を見る能力はその者が持つ。
その者との会話が可能な能力。
そいつの干渉には限りがある。
その干渉の制限の内に、いくらか大きな出来事を教えてもらった。
「――例として上げるのなら…都市への妖怪の進行、妖怪と神の戦争、輝夜の逃亡…まあお前は知らないか。」
「そうね…それにそれほどの規模の大きいものなら、吸血鬼の戦いなんて些事でしょうね。」
「ああ…それに全部知ってるわけじゃない。あくまでもあまりの大事…もしくは俺の関わった人の危機。そういった未来を、限りはあれど教えてくれる。」
「そう…つまりはその最悪の未来を回避するため、協力してほしいということかしら?」
「ああ。」
勝手に考えて勝手に納得してくれた。
実際適当言ってるだけだが嘘はない。
未来は知ってるし会話は俺だけしか出来ないしあいつの気分次第でしか話さない制限もある。
嘘は点いていない。
「なら今分かっていることを聞きたい所だけれど…話すことは出来ないのでしょう?」
「……話が早くて助かる。根本から避ければそういったことを未然に防ぐことは出来るが…」
俺の介入で未来が変わるのは…既に実証されている。
起きることは起きる。
防げば知らない危機に瀕することになるだろう。
分かっている未来を、最低限の労力で、最も平和的に解決する。
目指す未来は決まっている。
そのために…当事者にはご協力願おう。
「…そう。ならこれでも渡しておこうかしら。」
「これは…鈴?」
「実験的な物よ。私の能力を、限定的に使える道具。持ってて違和感ない形にしているだけで、実際の形は札よ。」
「…どこに繋げた?」
「私の家の入り口。特別よ?これは…信頼に足る者にしか与えないもの。」
「!」
その意味が分からない俺ではない。
いついなくなるか分からない俺を繋ぎ止めるための…あまりにもか細い命綱。
過去にかなりの事をしでかしたのに、誰よりも俺のことを考えてくれている。
誰よりも…俺を肯定してくれている。
やったことは消えない。
罪は罪として、永遠に枷として背負う。
それでも共に生きるという意思の現れ。
(これが想像でも…こいつだけは、俺を信じ続けてくれるのか…)
それはとても…
「重い贈り物だな…」
「そうよ…肌身離さず持っていることね。」
「…ああ…」
涙が出る程嬉しいじゃないか。
気付いているはずなのに、彼女は何も言わない。
そうして側に居てくれる。
やはり俺は、八雲 紫にだけは…勝てないだろう。
何か紫ヒロインみたいになってる気が…紫ファンには悪いが20~30位くらいです。あれ…?これは予想してなかった…思いつき編集だとヒロインも定まらない…
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1/31追記
活動報告の場所に休載報告を投稿しました。簡単に言えば書き留めの時間を頂きます。