この子もきっと分かってる。
今のままじゃ駄目なことも、これからする話も。
分かりながら、俺に聞くんだ。
まるで答え合わせのように。
「…思えば色々あったな…」
「……」
「長々旅して散々迷って…海でも陸でも戦って…」
「…もう…大丈夫…」
「…ああ…妹紅…これでさよならだ。」
やはり分かっていたのだろう。
涙を隠すために、妹紅は両手で顔を覆う。
紫が現れた時から、この娘は何かを予感していただろう。
「…どうして…?きっとそうだと思ってた…けど…!それでも…離れたくない…!」
「…俺だって…別れは辛い…けどな…必要なことなんだ。」
「…また…会えるよね…?」
「ああ。それは約束する。例え何年何十年何百年掛かろうと、絶対に…」
「…そんな待たせないでよ…」
涙を拭うこともせず満面の笑みで笑ってみせた妹紅の姿を、俺は一生忘れないだろう。
それに俺と離れることを理解して、すぐに決断したこの娘なら、きっと大丈夫だ。
「妹紅。これからお前は、紫に着いて行くんだ。」
「うん…」
「…実を言うと、紫に連れて行かせるのには理由がある。」
「輝夜。」
「…何だ…まあその…つまりは復讐相手と会って…復讐をやめろって暗に言いたいんだけどな…」
「……」
「…まあ好きにするといい。そうだな…いっそ不老不死同士だしな。気の済むまで挑むといい。」
「復讐…止めないの…?」
「止められない。そんな権利はないからな。勿論やめて欲しいが…まあ無理だと思う。だから逆に、気の済むまで戦うといい。全部任せるよ。」
「…うん。…じゃあ望…最後に約束と、お願い聞いて?」
「うん?」
「まず約束。私より先に死なないで。」
「…あー…まあ分かったけど…誰か死ぬってなったら絶対庇うぞ?俺は。」
「……いいよ…死ぬのは許さないけど…それで…お願い。」
「何でも言いな。」
「抱きしめて。」
「……おう。」
別れの抱擁とでも言うのか。
正面から堂々とされると大分照れる。
たじろいでも許してくれ。
そう思いながら、手を広げる妹紅を抱きしめる。
…身長的に胸に顔が行くのが欠点だ…決してわざとではない。
「今までありがとう…さようなら…望…」
頭に水が滴る。
最後の最後で耐えきれなくなったんだろう。
「ああ…でもさよならじゃないな…また会おう。次に見るのが、お前の笑顔なのを願ってる。」
「うん…うん…!また…またね…!」
雰囲気ぶち壊しだが…痛い。
抱きしめるにしたって力加減が…
(我慢だ…雰囲気壊すな…てかいつの間にこんな腕力を…)
「はいはーい♪楽しそうな所悪いけど、そろそろ行くわよ~♪」
台無しだよ。
―――――
二人を見送った後、ここで出会った連中にも別れを告げた。
止まる暇はない。
まあ普通ならあるだろうが…迷うことも考えると大分遅れよう。
最悪の場合は紫がどうにかするかもしれないが…自分でどうにかしたいのが本音だ。
ならのんびりしてる余裕はない。
まあ…どうせ道中厄介事もあるだろうし。
「本当にありがとう。これからの君の安泰を願う。」
「おう。」
「紫殿から理想郷の話は聞いた。当然ながら私達もいずれ…少なくとも、ノーチェは送ろう。しかし今は…しばしの安寧に身を投じさせてくれ。」
「勿論だ。まあ紫が次現れたら行きたいって言えばいい。」
「そうだな。その時に…また会おう。」
「ああ。ノーチェもまたな。」
「はい…」
きっとノーチェも別れは辛いのだろう。
生い立ちからして慣れるものでもない。
「…なあノーチェ。妹紅と俺の約束と、同じ約束を俺としよう。」
「同じ約束…ですか?」
「ああ。例え何百年かかろうと、必ず再会する。俺達ならまた会えるさ。」
「……分かりました…!絶対ですから…!」
「ああ。まあそれまでは…あそこのじいさんにでも頼りな。もう一人じゃないしな。」
「はい!」
また約束が増えてしまった。
しかし…悪くない。
望一人旅開始…つまり東方キャラが出ないわけですが…え?オリキャラ書くの?また?