「二年ぶりの呼び出しが頼み事とはいい度胸してるわね?」
「いや…悪い…でも頼れる奴他いないしさ…」
「で?私経由でスカーレット家に厄介払い?一体何様なのかしら?」
「……」
「全く…まあ貴方が強制したわけじゃないのでしょう?あの子から言ったことなら、貴方を責めるのはお門違いね。」
「じゃあ…!」
「協力はするわ。ただし…ちょっとした実験に付き合ってもらおうかしら?」
「じ、実験?」
「そうよ?以前から気になっていたのだけれど…貴方の耐久性はどれほどなのかしら?」
「あ…これ許されてないな?」
―――――
「えー…とりあえずこの人について行けば大体希望通りにしてくれるから…じゃあな?」
「あ、ありがとうございます…あの…?」
「気にするな。ちょっとお灸をすえられただけだ。」
「……」
笑顔で無言なのがとても怖い。
紫によってぼろぼろの体は、普通なら死ぬレベルの状態だ。
それをお灸で済ませるくらい慣れたことにもある意味恐怖した。
というか耐久性測るとか言って弾幕と混ぜて鉄塊やら槍やら境界で投げまくるのは酷いと思う。
しかも防御禁止とか勘弁してくれ。
ただまあ…過去のこともまとめて水に流してくれたし…妥当なのかもしれない。
協力するとか言って音沙汰なし。
長く離れたくせして頼る時は真っ先に頼る。
しかも家までの鈴貰ったのに二年も放置。
そりゃ怒るよ。
(たまには家行こう…)
「とりあえず行きな。大丈夫だから。」
「は、はい…」
紫の境界に入る直前、しずしずと振り向いた。
そのまま駆け足で俺のところまで走ってきた。
「どうした?」
「あ、あの……」
「…?言いずらいなら紫に頼みな。後から伝えてもらうから。」
「…あ、あの!私の…名前…を…」
「名前…?ああ!そういえば名前もないのか!」
いつの間にか村にいたなら、家族などいないだろう。
意識を得たばかりで名前などあるはずもない。
「分かった。なんか考えようか。」
「!あ、ありがとうございます!」
まあかといってセンスなどないが。
というか何か見覚えがある気が…
赤い瞳に赤い髪…偶然とは言え紅魔館にメイド…
…もしかしなくても美鈴では?
ただの他人の空似かもしれないが…確か出身不明の妖怪のはずだし…
類似点が多過ぎる。
…よし。
「紅 美鈴。で…どうだ?」
「あら。良いと思うわよ。でも随分珍しい名前ね。しかも名字は貴方とは違うの?」
「夢花にもなかったろ?同じ名字とかは止めとこうと思ってるんだよ。綺麗な紅い髪と瞳。美しく育つようにという願い。ちゃんと考えたぞ?」
「…鈴は?」
「……俺らの繋がり。」
「……ま、まあいいんじゃないかしら……」
互いに少し顔を赤くしてそっぽを向く。
なんでこんな言い訳がピンポイントであるんだよ。
すまないが実質脳死で考えた名前だし少し気まずいぞこっちは。
(頼むからもう行ってくれ…)
「美鈴…!」
「気に入ったか?」
「はい!今日から私は紅 美鈴です!」
「じゃあもう行くわね…」
「お、おう…」
―――――
二人を見送り早……三年だよ。
長生きすると寂しいとかも思わない。
そして…紫の家に行くことはなかった。
多分次会ったらまたぼこぼこにされる。
正直忘れてた。
「つかまた迷ったよ…」
今回は大分珍しい。
普段なら何もないところでぐるぐるしてたり海渡ったら知らない土地だったりだが、だだっ広い森を一ヶ月さ迷っている。
これは流石に異常だ。
真っ直ぐ行っても空に飛んでも全く意味がない。
真っ直ぐ行くと終わりなく、空に行くと木が伸びる。
これに三日前に気付き未だ脱出出来ていない。
「仕方ない…ぶっ飛ばすか。」
三年あって能力が増えてないと思ったか。
物質創造に関連するなら能力じみたことは大抵出来る。
旅をしながら色々想像しながら歩くことで、通常の能力者の劣化能力ならいくらか真似れる。
森を吹き飛ばすなら火を放つのが普通だが、実験兼ねて火は使わない。
慣れたものより初のもの…吹き飛ばすのに使うのは暴風。
火のような形あるものなら簡単だが、風みたいな形ないものは難しい。
だから三年練習した。
まあはっきり言って無駄だが…形ないもので使えるのなんて風くらいだし、概念じみたものや人に関係するものは能力上不可能だし。
「さーて…やるか!」
手元に白い空間を…創るのは風。
限界まで空間を風で満たす。
解き放てば暴風となろう。
「ぶっ飛べぇー!」
『待ってえーーー!!』
美鈴どこで出すか迷ってた。後美鈴はなんかレミフラより強い存在として置きたかった。ちなみにここでも種族不明です。