攻撃を避け切れてる今がチャンス。
そう断じて足元へ爆破、水の妖精へ一瞬にして距離を詰める。
手数が増えた辺りから少し離れたためそれでも接触までは至らない。
だがゾンビのような動きの鈍さ故に掴むのは難しくない。
だからこそ…多少強引でも飛びかかる。
腕を掴み、俺ごと能力を反転して発動する。
これで水は封じた。
「すまん!」
そのまま勢いよく地面に叩きつける。
動きが鈍いなら、能力を封じて放置すればいい。
幸い座標の固定は出来る。
こればかりは普段の練習を誇りたい。
俺の能力の効果範囲から後ろに飛んで抜け出し、泥の妖精に狙いを定める。
(泥だけなら問題ない!)
地面からの不定期な攻撃を躱し、手の届く距離まで接近する。
(掴…!)
直後…俺の右腕が吹き飛んだ。
咄嗟に後ろに飛び退いた。
地面からの泥の槍。
どうやらそれが俺の右腕を貫いたようだ。
よく見るとこいつの立ち位置は泥に囲まれている。
意識があるのかないのか…意図的なまでの偶然か。
少なくとも接近は死に直結する。
俺が一瞬でも死ねば、水の妖精は解放される。
ゴリ押しは出来ない。
接触抜きの反転発動は不安が拭えない。
吹き飛んだ右腕は既に修復した。
(…地面からだけなら…)
足元を爆破して飛び上がる。
当然の戦略だ。
しかし敵も攻撃はする。
泥に囲まれたあの地点なら、向かってくる俺に対して泥の触手をぶつけるのは簡単。
だからある程度高く飛んだ。
短距離に成る程威力も上がる。
手が触れる程の近距離なら当たれば消し飛ぶ。
だが…そこまではそれほどの威力はない。
可能な限り躱し、真っ直ぐ落下する。
右腕を盾に触手を掻い潜る。
武器でもあれば届く距離。
そこで触手は俺を捕らえた。
噛みつくように囲いこんだ。
両腕はそれと同時に千切れ落ちた。
触手は俺の胴体に食い込み、千切れそうな程の激痛を与える。
だがこいつは知らない。
俺が不死であることも…異様にしぶといことも。
俺は足元を爆破する。
触手の刺さった場所が引き摺られて裂かれていく。
だが構わない。
身体などくれてやる。
腕さえ届けば…
「俺の勝ちだあぁぁ!」
腕を先に千切られて助かった。
おかげで身体を犠牲に腕を伸ばせた。
再生速度が速くてよかった。
(永琳の薬で殺された時より速いよな…今…)
妖精の頭を掴み能力を反転発動する。
触手は全て消滅。
間髪入れずに手をバネにして飛び去る。
着地は…出来なかった。
身体が再生仕切れてないため、足がなかった。
毬のように跳ねて倒れ込む。
「……うぐぅ…」
余談だがめちゃくちゃ痛い。
足元爆破でさえ泣きそう。
身体ズタズタとか痛いじゃ済まない。
だが…とりあえず無力化には成功した。
成功したのは無力化だけだが。
「この後どうすりゃいいんだよ…」
―――――
考えるとゾンビ状態てことは普通じゃないってことだ。
いくら地獄みたいな暮らしでも、この壊れ方はおかしい。
原因が何かあるはずだ。
人か物かは分からないが、手掛かりは最初の妖精だけだ。
ちなみに妖精達は申し訳ないが埋めておいた。
脱出する頭も身体能力も今はない。
能力さえ封じれば脱出不可能な簡素な檻だ。
地面だけ指定して消さないのは調整必要だったが…まあ問題なく機能している。
結論…ごりごり消耗してる。
結局は消し続けてるわけだから能力解除されない。
空飛んでる時みたいな継続。
持って半日だ。
だからそれまでに解決しないと、泥の妖精の無双劇が始まってしまう。
「てことで何か知らないか?」
「そう言われても…」
やはり妖精の情報網は薄い。
そりゃ森住みなら当然だろうな。
「せめて手掛かりの一つもないとな…元に戻せないしな…」
「……あの…望さんの能力では無理なんですか?」
「…………実は可能性はある。やったこともあるし…不可能ではないが…正直な…」
「可能なんですか!?」
「まあな…けど霊力が足りん。今も減り続けてるしな。」
「…それなら妖精全員で抑え込んだら出来ますか?」
「全員で?…まあ霊力全快するまで耐えてくれるなら出来るかもな。でもはっきり言うが賭けに近いぞ?出来ることは知ってるしやったことは一応あるけど…」
「…大丈夫です!要は実験台ですよね…でも助かるなら…可能性に賭けたいんです!いくら妖精が自然そのものでも、仲間意識はあるんです!お願いします!」
本当に仲間思いのいい子だ。
この状況で断れるわけもない。
「……分かった。なら少し作戦練ろう。」
「はい!」
次回望の使いたくないけど絶対最強クラスの切り札の一つ解禁します。はい…作者的には使いたくても絶対使いずらいです。三年間望の成長は留まることを知らなかった…ずっと迷子だったからね。