「それじゃあ全員で飛びかかる。能力はその直前に解除。あとは俺が全快するまで奴らの能力を封じてくれ。俺の奥の手の一つだが…コスパの悪さが恐ろしくてな。全快でも長くはない。」
「回復まではどの程度の時間が…?」
「全快までならおそらく三十分程…奥の手は精々五分しか使えん。」
「五分…」
「ああ。だから最低でも四十分は抑えてもらうことになる。妖精は何人いる?」
「二十人程です。だから交代しながらなら大分…ただ能力を抑えるのがどれほどか…」
「だな。それとさっきも言った通り、これは賭けだ。五分で終わるかも分からないし、原因が魂や心に関連した場所から干渉出来るかどうか…もし無理なら、もう一度能力の回復を待って封印しか出来ない。」
封印術は紫から習った(というよりパクり)から使える。
どうせなら能力だけ封じる方法も知りたかった。
とにかく上手くいかない場合は彼女らに覚悟してもらうしかない。
妖精を封じることで自然にどう影響するか分からない。
「チャンスは一度…なんて言うつもりないけどな…奴らの影響力によっては森の放棄は覚悟しろ。」
「そうですね…水の妖精はこの森の水分全て…しかも巡りまで失うことになります。」
(…え?マジで?)
「それに沼…などと呼んでいますが、実際土の妖精…二人共いなければ森は滅びるでしょう。」
(……)
予想はしてたが…これは予想外だ。
沼じゃなくて土とは…単に泥の操作が得意なだけか…
しかし封印したらどうなるか本当に分からないな。
「……失敗が許されなくなったんだが…」
「い、いえ…確かに成功を願いたいですけど…失敗して封印しても私達は誰も恨みません!」
「いやそうじゃ…まあいいか…」
―――――
「それじゃ…始めるぞ?」
『はい!』
五人ずつ飛びかかる。
それと同時に能力を解除する。
「今だ!」
「はい!」
泥攻撃の抑えのため重力を強める。
水攻撃を抑えるため火をぶつけて蒸発させる。
空間と火の妖精が今回の要だ。
というか聞き慣れない妖精が何人かいた。
しかも能力を把握してなかった。
うち一人が空間の妖精だ。
「これなら数日でも持ちそうだな…」
「そうもいかないです…なにせ妖精の能力は自然から吸収してるも同然…あまり時間が経てば、一部を除く自然が崩れます。」
「…頑張ってくれ…」
―――――
「………よし。」
回復完了。
つまりここからが本番だ。
「ここから俺も始める。何とか抑えてくれ。」
「はい!」
さあ使おうか。
七つある切り札の一つを。
七大罪の一角を。
全てを創る『強欲』を。
「……」
能力の中で、切り札に成りうるものを考えていた。
想像しやすいものとなると、やはり七大罪は想像しやすい。
だから作った。
七つの切り札を。
未だに二つしか決まらない奥の手だ。
強欲の能力は…他者の能力の使用。
これをやるために想像力を鍛えた。
自身の持つ能力を…つまり存在しないものを心にキャンパスとして創りだし、過去に見た能力を当て嵌める。
『能力』というキャンパスに、他者の能力を映す。
散々苦悩の末に、数年掛けて作ったこの力…
使うものは同然…
(いなくても助けてもらえるなんてな…紫)
空間を操る程度の能力。
偶然だが使用出来る能力は紫と妹紅のものだけ。
以前吸血鬼騒動でやったことをもう一度やる。
心が捕らわれてるなら解放する。
心が離れてるなら連れ戻す。
心が壊れてるなら…努力はしよう。
既に消えてこの世にないなら諦めるしかないが、能力を駆使して出来ることをしよう。
操る境界は…魂と肉体の境界。
俺の魂を切り離して二人の魂に接触する。
今俺が出来る唯一の方法だ。
あとは…
(単独でやったことがない!)
いくら俺が不老不死でも魂が死ねば多分死ぬ。
そして失敗してもし俺まで巻き込まれれば…魂が肉体に戻れない可能性もある。
だから以前紫がいて助かったのだ。
第三者が操ってくれれば帰るのは確実に出来るから。
つまりこれは、賭けは賭けでも命懸けだ。
妖精達には言わなかったが…チャンスは一度なんだ…
(さあて…初めて本当に命を懸けるな…やってやるよ!)
夏バテなのか1日の水分冬の3倍は摂ってる