東方白望記   作:ジシェ

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夏が終わることを願いながら生きてます。


七十四話 ~初めての賭け~

「それじゃあ全員で飛びかかる。能力はその直前に解除。あとは俺が全快するまで奴らの能力を封じてくれ。俺の奥の手の一つだが…コスパの悪さが恐ろしくてな。全快でも長くはない。」

「回復まではどの程度の時間が…?」

「全快までならおそらく三十分程…奥の手は精々五分しか使えん。」

「五分…」

「ああ。だから最低でも四十分は抑えてもらうことになる。妖精は何人いる?」

「二十人程です。だから交代しながらなら大分…ただ能力を抑えるのがどれほどか…」

「だな。それとさっきも言った通り、これは賭けだ。五分で終わるかも分からないし、原因が魂や心に関連した場所から干渉出来るかどうか…もし無理なら、もう一度能力の回復を待って封印しか出来ない。」

 

封印術は紫から習った(というよりパクり)から使える。

どうせなら能力だけ封じる方法も知りたかった。

とにかく上手くいかない場合は彼女らに覚悟してもらうしかない。

妖精を封じることで自然にどう影響するか分からない。

 

「チャンスは一度…なんて言うつもりないけどな…奴らの影響力によっては森の放棄は覚悟しろ。」

「そうですね…水の妖精はこの森の水分全て…しかも巡りまで失うことになります。」

 

(…え?マジで?)

 

「それに沼…などと呼んでいますが、実際土の妖精…二人共いなければ森は滅びるでしょう。」

 

(……)

 

予想はしてたが…これは予想外だ。

沼じゃなくて土とは…単に泥の操作が得意なだけか…

しかし封印したらどうなるか本当に分からないな。

 

「……失敗が許されなくなったんだが…」

「い、いえ…確かに成功を願いたいですけど…失敗して封印しても私達は誰も恨みません!」

「いやそうじゃ…まあいいか…」

 

―――――

 

「それじゃ…始めるぞ?」

『はい!』

 

五人ずつ飛びかかる。

それと同時に能力を解除する。

 

「今だ!」

「はい!」

 

泥攻撃の抑えのため重力を強める。

水攻撃を抑えるため火をぶつけて蒸発させる。

空間と火の妖精が今回の要だ。

というか聞き慣れない妖精が何人かいた。

しかも能力を把握してなかった。

うち一人が空間の妖精だ。

 

「これなら数日でも持ちそうだな…」

「そうもいかないです…なにせ妖精の能力は自然から吸収してるも同然…あまり時間が経てば、一部を除く自然が崩れます。」

「…頑張ってくれ…」

 

―――――

 

「………よし。」

 

回復完了。

つまりここからが本番だ。

 

「ここから俺も始める。何とか抑えてくれ。」

「はい!」

 

さあ使おうか。

七つある切り札の一つを。

七大罪の一角を。

全てを創る『強欲』を。

 

「……」

 

能力の中で、切り札に成りうるものを考えていた。

想像しやすいものとなると、やはり七大罪は想像しやすい。

だから作った。

七つの切り札を。

未だに二つしか決まらない奥の手だ。

強欲の能力は…他者の能力の使用。

これをやるために想像力を鍛えた。

自身の持つ能力を…つまり存在しないものを心にキャンパスとして創りだし、過去に見た能力を当て嵌める。

『能力』というキャンパスに、他者の能力を映す。

散々苦悩の末に、数年掛けて作ったこの力…

使うものは同然…

 

(いなくても助けてもらえるなんてな…紫)

 

空間を操る程度の能力。

偶然だが使用出来る能力は紫と妹紅のものだけ。

以前吸血鬼騒動でやったことをもう一度やる。

心が捕らわれてるなら解放する。

心が離れてるなら連れ戻す。

心が壊れてるなら…努力はしよう。

既に消えてこの世にないなら諦めるしかないが、能力を駆使して出来ることをしよう。

操る境界は…魂と肉体の境界。

俺の魂を切り離して二人の魂に接触する。

今俺が出来る唯一の方法だ。

あとは…

 

(単独でやったことがない!)

 

いくら俺が不老不死でも魂が死ねば多分死ぬ。

そして失敗してもし俺まで巻き込まれれば…魂が肉体に戻れない可能性もある。

だから以前紫がいて助かったのだ。

第三者が操ってくれれば帰るのは確実に出来るから。

つまりこれは、賭けは賭けでも命懸けだ。

妖精達には言わなかったが…チャンスは一度なんだ…

 

(さあて…初めて本当に命を懸けるな…やってやるよ!)

 




夏バテなのか1日の水分冬の3倍は摂ってる
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