東方白望記   作:ジシェ

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寝てた…


七十八話 ~幻想の里~

「……えーとりあえず狐は知人に任せたから安心していい。」

「あの…望さん…」

「もう人間もいないから、平和に暮らせる…」

「望さん!」

「…俺の心配もいらないから…うん…自業自得…」

 

まあ気になるのは分かる。

隙間による全方位攻撃をノーガードで受けて血塗れなのだから。

 

「まあ色々解決したことだし、そろそろ俺は行くよ。元より閉じ込められたのが始まりだしな。」

「…そうですね。まさか偶然閉じ込めた方が、私達の問題を解決してしまうなんて…」

「村一つ犠牲になったけどな…」

「……あの娘…また来るでしょうか…」

「さてな…まあ次来た時は…」

 

俺は踊る妖精達を見て言った。

 

「あの輪に入れてやれればいいな。」

 

―――――

 

妖精達の輪から抜け、空飛び続け海の上―――

 

「………」

 

海の上生活三ヶ月目。

 

「おかしいってこれ…」

 

前は妖精に惑わされて森に一ヶ月。

今は海に三ヶ月だよ。

はっきり言って異常だ。

いくら方向音痴でも海をぐるぐる…可能性はあるが、三ヶ月は長い。

しかも孤島の一つもないとは…

 

「やっぱり海はコンパスとかいるのか…?」

 

以前妹紅の居たときは人魚のおかげで島に着いたが、あれは運が良かっただけか。

この辺に別の人魚の集落でもないものか…

 

「……ん?」

 

やっとの思いで何か見つけた。

というか…浅瀬の集落?

 

「何だあれ…?桟橋で繋いでるのか…?こんな海のど真ん中で?」

 

家と家を橋で繋いで、釣り堀みたいなものやら公園…まあ遊具はないが似たものがある。

飛びながらどこか着陸出来そうな場所を探したが、どこに着地しても崩れそうだ。

いっそ水に…

 

『――――!――!』

「?ここ来てから疑問しかねえ…」

 

とてつもない音量で崇められている。

ひれ伏して手を上下に仰ぐ者。

手を擦り合わせ祈る者。

中には両手を挙げ咆哮する者も。

 

「…何言ってるか分からん…」

『静まれ!』

 

大騒ぎの中でも一際大きい一喝により、その喧騒はすぐさま静まった。

 

「おほん!申し訳ありません!御使い様…!」

「えーと…御使い?何それ?」

「我々の里には予言がありました。」

【四千年の時を経て、我らは皆楽園へと至る 】

【楽園の使者大空より参り、主への道を開かん】

 

「つまり空から来た俺は使者と。」

「はい。」

「……」

 

十中八九紫のことだ。

楽園は理想郷…つまりは幻想郷だろう。

だが四千年の時…?

確かそれは古代の都市である現月の都の移動から俺が目覚めた時の経過時間だ。

そのことで天使にイラついたのをよく覚えている。

つまりここはそれ以前からあるのか?

 

「…まあ細かいことはいいか…考えても仕方ない。ただそれでも気になったんだが…」

「聞きたいことはいくつもあるでしょう。まずは部屋を用意至します。どうぞこちらへ…」

 

―――――

 

彼らは全員が能力を持つようだ。

その能力から拒絶され、住む場所を失った人達の拠り所として作られたのがこの集落だと言う。

中には自分に恐怖して旅をしたものや、逆に能力がなくて追い出された者も。

とにかく普通ではいられなかった者達の集落らしい。

唯一言葉が通じるこの老人は、全ての言語を話す能力を持つらしい。

海に集落を作った理由は、陸以上に鎖国状態を維持しやすいため。

 

「他にも何かございますか?」

「いや…とりあえず大丈夫だ。」

「では…こちらの疑問にも一つお答え頂けますか?」

「勿論。」

「貴方は本当に御使い様なのでしょうか?」

「…と言われてもな…楽園の心当たりはあるし、時間も丁度だし…逆に俺以外いるとは思えないが…別に俺は誰かに仕えてるわけじゃないからな…」

「成る程…しかし主の文言以外は当てはまると…」

「そうだな。」

「……貴方以外が来る確証もないというのに、たかが文言一つ違うだけで何を警戒しましょうか。どうか我々をお導き下さい。」

「まあ…とりあえず呼んでみるか。」

 

今回くらいの頻度ならぼこられずに済むだろう。

俺は鈴を鳴らした。

 

 




昼こそ寝たい…
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