二つ目の課題が表れてから、一週間程が経過した。
実際に二人のところまで行き、親も見てはみたが、武器というのに関係のあることがない。
親は確かに防衛隊(に近いもの)の者ではあるが、危険を知る親が、自分の子供…しかも女の子を戦闘に出すだろうか?
課題を考えたのが俺である以上、将来的には確実なことなのだろう。
本当にそうか?
課題と天使の話しから推察するに、この世界の未来を、過去の俺が知っているのは確実だろう。
記憶で聞いた会話で、ゲームというものが言われていたが、思い出せる限りでは、物語を自分で進めるものに思える。
ゲームに関する記憶、いや一つ目の記憶に関することはなんとなく分かるが、だからこそいくつかの仮説が新たに表れる。
ここは物語の世界、もしくは…ゲームにおける主人公が、自分になった世界なのでは?
その場合、主人公と別の行動を俺がとったら?
物語に関することを無視してしまったら?
もし過去の俺が知るこの世界の未来を、俺が変えてしまったら?
確実とは言えない。
課題を作ったのを自分と決定しても、信じることは出来ない。
「早々に詰まったか…?」
その可能性を、頭から排除するには、根拠が少な過ぎた。
―――――
俺は課題は一旦保留(多分十年くらい)し、目下別の目標を立てることにした。
つまりここに来たときから頼まれていた妖怪退治。
まぁそれすら迷っているけど。
というのも、妖怪が危害を加える様子を見たことがない。
それに見たことがないから姿も分からない。
(もし妖怪が良い奴だったら、俺は戦えるのか?)
実際に襲われたときでも、守るためにしか戦えない。
殺すことなんて、俺には出来ない。
育った環境が違うと、考え方は変わる。
この街の考えは、環境は、俺とは違う。
妖怪と実際に対峙すれば……
と考えていると、けたたましい鐘の音がした。
『東門襲撃!繰り返す!東門襲撃!』
ここから程近い門が襲撃されたらしい。
この鐘は、危険を伝える音であり、防衛隊は門前へ、民間人は避難することの合図である。
つまり今俺がやることは決まった。
「行くか。」
俺は音のした方へ走った。
―――――
着いた頃には始まっており、そこには…凄惨な光景が広がっていた。
人妖違わず血を流し、人は肉を抉られて、妖怪は体を貫かれ、尚倒れない両陣営。
初めての戦場に俺が感じるのは、恐怖と後悔だった。
何故来てしまった。
自分も同じように死ぬのか?
(あれが…妖怪…)
だが止まれない。
止まっちゃいけない。
これもこの世界で生きる限り、必要なことなんだ。
俺は思い切り手を握りしめ、弾幕を撃った。
人を避けるよう上手く制御し、妖怪を殺さないよう加減して、後方からの支援に徹した。
それが功をそうしたのか、妖怪は撤退し始めた。
殺さないよう加減したのは、いつでも殺せるという脅しでやっていた。
実際自分が他者を殺すのは難しいが、それを奴らは知らない。
個人の性格など分かるはずがない。
だからこそ致命傷すら避けて、『支援』に徹した。
同じ手が何度も通じはしないだろう。
俺は勝利を喜び合う人達を見ていた。
怪我人に目を向け、治るよう祈り、家へ帰った。
その後永琳が帰る時間を見て、永琳の元へ向かった。
この頼みが出来る者が、彼女一人だから。
―――――
「永琳いるか?いるなら開けてくれ。」
戸をノックし、声をかけた。
程なくして、永琳が姿を表す。
「今日はどうしたの?」
「いきなりで悪いが、頼みがある。」
「頼み?」
「………俺を…殺してくれ。」
「……………え?」
「自分が死ぬ恐怖…死ぬことに対する覚悟…それをどうにかしたい!」
「自害すればいいじゃないの。」
「自分じゃ確実には死ねない。」
「………まったく。それなら何度か殺してあげるわ。」
「え?」
「毒殺刺殺溶解爆殺…他にもあるけどどう死にたい?」
「え?待っえ?」
「ついでに実験台にさせてもらうわ。今回怪我した人の中には、今じゃ治しきれない人もいるからね。」
「………」
永琳のマッドさが如実に表れた日だった。