「今回は早かったわね?」
「偶然必要でな。」
「…――……」
(何か言ってる…どうせ恨み言だろ…便利に使ってるし…)
「それで?」
「ああ。」
これまでの経緯を説明してついでに現状の幻想郷について尋ねる。
「…成る程ね…」
「この際だし色々聞かせてくれ。」
「そうね…まずここの人達を連れて行くことは可能だしありがたいわ。ただ…今の時点で問題は多い。」
「問題?」
「ええ。まず理想郷の完成がまだまだ程遠いことね。世界自体は存在しているけど、百に満たないとはいえ、この人数を受け入れる体制は出来てないわ。」
「そういえば試験的にいくつか村を入れてたか…まだそこまで広くないんだな…」
「ええ。いずれ一つの国以上に世界を広げるつもりではあるけど、今は快適に暮らすとなると三、四百で限界よ。既に村十つの人数がいる以上、ここの人全員は難しいわ。」
「収容人数の問題か…しかしその様子だとそれだけじゃないな?」
「ええ。次に立地。既にある村の配置から考えて、この集落まるごと移すのは不可能に近いわ。この浅瀬のままとなると余計にね。」
「そりゃそうか。あとは?」
「…能力のことよ。」
「まあ…これだけの能力者が人里を発展させるとなると、妖怪との睨み合いは避けられんか。」
「私の能力で封印することは出来るけど、納得するかは別ね。少なくとも村長の言語能力は奪うべきではないし…」
「大きいのはその三つか。他にも細々したのは多いのか?」
「そうね…まあ少なくはないわ。今言ったものさえどうにか出来たなら、残りはあとからどうにかなる。」
「分かった。村長含め少し話そう。」
―――――
唯一言葉の通じる村長を呼び、村長の家で話し合う。
とりあえずは幻想郷に関する問題点。
またその解決策としてまとめて話す。
「――ということなんだが…はっきり言って妖怪を嫌うならこの世界は推奨出来ない。共存は絶対条件だからな。」
「そうですね…ここにいる者達は大半、危険な生物は恐れるものという認識。嫌うなどではありません。」
「つまり『共存』ではなく『隔絶』なら可能と?」
「はい。」
「まあ言葉も通じないしな。」
「言語に関しては村長の方で指導は出来るのかしら?村間の連携…果ては統合も考えているのだけど…」
「統一する言語に決まりがあるなら教えることは出来るでしょう。しかし言語を覚えるのにどれほど時間がかかるかは未知数です。」
「個人差も考えると数年覚悟ね。」
「言語に関しては理想郷完成までに指導してもらえばそれでいいだろ。というか完成まではほとんど無理だろ。」
「…それもそうね。」
その後細々とした問題の解決案を出しながら、数時間が過ぎた。
―――――
「それじゃあ私は可能な限り完成を急ぐわ。それでも慎重に創るから時間はかかるけど、完成次第この集落にまた来るわ。」
「お願いします。」
「俺も騒動とかはなかったしな。明日になったら旅に戻るよ。いる間は何でも言ってくれ。出来ることはするから。」
「ありがとうございます。では部屋を用意します。後程私の家へお越しくだされ。」
「おう。」
「それじゃあ…またこれくらいで呼びなさいよ?」
「…………善処する。」
多分無理だろうと沈黙が伸びたのを、紫が見逃すわけがない。
少し苦笑しながら、紫は隙間に姿を消した。
他も更新したいけど書く気がしない…書留て大事だなぁ…